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俺は一条 翔太いつも通り、周りと好きな女子のタイプを話し、理想は理想なんだなと思ってた時にそれは起きた。
じゃんけんで負けた奴が自販機で飲み物を奢る、という事をして、負けた俺は寒い中、自販機に頼まれた飲み物を買いに行った。
すると、階段の方から大人たちの騒がしい声が聞こえた。
何を騒いでるのだろうと耳を傾けると、昇降口に変な人たちが大量にいるとのこと。
昇降口なら教室の窓からでも見えるなと思い、飲み物を抱え走って教室に戻った。
「あ、翔太ー!外なんか変だぞ!!」
こいつは千堂 拓哉、クラスのムードメーカー的存在だ。
過去に先生たちと丸一日かくれんぼをしてた男で、問題児でもある。
「そうそう」
「すごい人だかり」
こいつらは双子の関宮 蒼泳と紅斗、蒼泳は猫みたく紅斗は犬に似ている。
二人は普段からやらかしまくっていて、一番の問題児共だ。
「人だかりもそうだけど、俺のコンポタある?」
こいつは笹木 百矢、俺の幼馴染でモテまくってる男。
過去に何度もストーカーされ、何故か俺が刺されかけている。
「それ関係でさっき自販機言った時、階段下で先生たちが昇降口言ったから大丈夫だろ」
俺がそういうと四人は、大人が既に対処に向かっているなら安心だ、という表情をし、窓から顔を離した。
その後俺は四人に、それぞれ頼まれた飲み物たちを与え、人だかりができた原因を面白おかしく話して行った。
クレームがきた、不審者、ゾンビ…
バカみたいな事を話していると、廊下が騒がしくなっていく。
大人たちの止める声、生徒の悲鳴、急いで廊下を覗くとそこには。
形容し難い色、見た目をした、おそらく人間たちが蔓延っていた。
“そいつら”は腐った肉の様な、鼻がツンッと痛み、生理的な涙が出てくるほど、異常な臭いを放っていた
「…ゾンビ」
百矢が廊下にいる人たちを見た後、そう小さく零す。
確かにあれを表すならゾンビが一番ふさわしい、それくらい異常な姿だった。
「と、とりあえず!下!!下の階行くぞ!!」
拓哉がそう言い、走り出す、遅れて百矢、そして蒼泳が驚いて動かない紅斗を引っ張り、俺はその後ろを付いていく。
下の階に向かってる最中、他の生徒たちが上の階に行こうとしているのにすれ違う。
すると拓哉は
「上の階は囲まれたらやべぇから下に行け!!!」
と、その生徒の腕を掴み避難させている。
この異常な状況で冷静に考えれるのは流石としか言いようがない。
…流石、というのも少し変だが…
___
下の階は比較的人が少なかった。
多分、拓哉が連れてきた生徒以外はパニックになり、上の階に逃げたのだろう。
学校の外も、”ゾンビ”に溢れかえってるのだろうな、と思っていると、蒼泳が口を開く。
「いちおう、何かあったときのため、武器、あったほうがいい、とおもう。」
と、倉庫の方を指さしながら言う。
「倉庫ならバットもスコップもあるもんな」
紅斗がすぐに同意する。
今は上の階に生徒も”ゾンビ”も集まっているが、いつ降りてくるのか分からない。
俺と拓哉、それと連れてきた後輩たちで倉庫の外で見張りをし、双子と百矢が中から使えそうな武器等を持ってくることにした。
倉庫の前で見張りをして数分、スマホがあることに気づいた。
拓哉の方を見ると、拓哉も気づいたのかポケットからスマホを取り出し、電源を付ける。
早く情報が欲しい、そう思い画面を見る。
だが、スマホは圏外だった。
俺のスマホが壊れたか、”ゾンビ”たちが基地局等を破壊したのだろう。
「まじかぁ…コミックとかじゃあ、こういうので情報入んだけどなぁ…」
拓哉も圏外となると、基地局が破壊されて繋がらなくなったで決まりみたいだ。
「現実はコミックみたいに行かないってことだな。」
俺たちがそう話していると、一緒に見張りをしている後輩の一人が叫び声を上げた。
後輩がいた方を見ると、そこには3体の”ゾンビ”がこちらに向かってきていた。
武器がない以上対抗することはできないが、中に三人がいる為、置いて行くこともできない。
拓哉が扉を開け、三人に”ゾンビ”が来たことを伝えようとすると、中から勢いよく”何か”が飛び出して行った。
「あ、おい蒼泳!!」
飛び出してきたのは蒼泳で、拓哉が呼び止めようとする。
蒼泳が向かった方は、丁度”ゾンビがいる方で、まずいなと思い、手を伸ばし追いかける。
そこで気づいた。
蒼泳の手にはスコップが握られていた。
何をするのかと思っていると、蒼泳は勢いよく、”ゾンビ”の頭目掛けてスコップを振り下ろした。
肉が潰れる音、飛び散る血、後輩の叫び声。
蒼泳は全てを無視し、残りの2体を処理しに行く。
全部動かなくなったところ、紅斗が話し出す。
「見た感じ、脳を破壊すれば行動不能にはできるみたいだな」
紅斗の言った通りだった。
蒼泳は2体目を殴る時、一度は腹を目指してスコップを振りかざしたが、それでも”ゾンビ”は動いた。
続けて頭を殴ると、”ゾンビ”は動かなくなった。
…この状況で、冷静に会話をする俺たちを見て、後輩はついに泣き出した。
きっと”ゾンビ”が怖いだけじゃない、俺たちの倫理観の欠如、そこが同じ人間と思えないから怖いのだろう。
すると、百矢が後輩に近づく。
こういう時に一番適任なのはこいつだ。
「大丈夫、何とかなるよ、さっき大人たちが”ゾンビ”たちを倒してるの見かけたからさ、すぐ元通りになるよ。」
百矢は、嘘を吐いた。
大人たちは”ゾンビ”たちに対抗できてなどいなかった。
でも百矢はきっと、ここで物音を立てていたら危ないと思って嘘を吐いたのだろう。
「だから、もう少し頑張ろう?」
他の三人は百矢の吐いた嘘に気づいたか、何となく気になったので三人の顔を見る。
拓哉はメモでゾンビの考察、蒼泳はスコップに付いた汚れを見て顔を顰めている、紅斗はそんな蒼泳にそこらへんに落ちてたタオルを渡す。
……きっと百矢が何を話してるのか聞いてもないんだろう。
すると、スピーカーから、聞きなれた声がする。
「あーあー、聞こえてるか!?聞こえてなくても気合いで聞け!!上階に居る者全員、外に出ろ!!屋上に居て逃げれない者は待ってろ!私がそちらに向かう!それまで耐えてくれ!!」
「…会長じゃん…」
葛城 右京、この学校の生徒会長で期末でずっと一位を取り続けてる男…
「この状況で音出すのは悪手って会長絶対分かってんだろ。」
紅斗の言う通り、ゾンビが音に反応する可能性は大いにある、もちろん会長だってそれに気づいてるはず。
はずなのに、会長は全生徒を助ける為に賭けに出た。
「…馬鹿だろ」
拓哉がそう言い捨てた。