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「……え」


耳を疑った。

突然過ぎて冷静になれない。

頭の中でプチパニックを起こしている間に、次第に背中へ腕が回された。


「如何してだろう……君を見ていると、胸が締め付けられるように痛くなる。 ふふ…そろそろ私にも末期が来たのかなぁ?」


どう云う事だろう? 体に異常でも出たとでも云うのだろうか。

そうとなれば、一秒でも早く首領ボスの元へ行かなければ。

でも__


「太宰さん、…あの」

「なぁに?」

首領ボスに診てもらった方が宜しいです。…疾く行かないと、太宰さんが死んじゃうかもしれません!」

「如何して?」

「え?」


素っ頓狂な返事が返って来て、また疑問符を投げかける。


「如何して森さんの処へ行くの? 別に身体に異常は無いし……私は死にたがりだろう? 良い感じに死ねるなら構わない」

「そう云う問題じゃ___」


すると太宰さんに後頭部をゆっくり撫でられ、云い切る事も出来ない儘硬直してしまった。


「若しかして、こう云う経験無い?」

「…いや…その、流石に恥ずかしいと云うか宜しくないと云うか…… 私は唯の下級構成員ですし、幹部殿とこう云った経験を遂げるのは良くないかと思いまして… 私なんかがこんな事を__」

「そうかい」


私がそう云うと、太宰さんは柔らかく一言を溢した。


「__私、君に惚れちゃったみたいだ」



***



__彼は五大幹部。私は下級構成員。

それ以外には何も無い。

私は彼の部隊の一員でも無いし、彼も私の教育係でも無い。

先日、一言二言交わしただけの仲。今日はほぼ初対面だと云っても良い。

そんな彼が、私に“惚れた”?

有り得ない。

だって“あの薬”がそんな効果を発揮する訳がない。適当に混ぜただけなのだから。

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