【28五条】
「本日補助監督として🌸さんに同行させていただく者です!どうぞよろしくお願い致します!」
『はい、よろしくお願いしますね!』
今日の補助監督さんは新人の女の子らしい。いかにも元気が有り余っているという雰囲気だ。
本日討伐予定の呪霊は、私であれば問題なく払うことができると聞いている。滅多なことが無ければ予定通りに遂行できるため、新人さん向きの任務であると言えるだろう。
「ところで🌸さんって、あの五条悟の嫁って噂の方ですよね!苗字はまだ五条じゃないですけど、いつご結婚なさるんですか!?」
『え…!けっこんっt──」
「婚約はもう済んでるから、年内には式を挙げる予定だよ!」
『さ、悟!?いつの間に。』
新人さんからのいきなりのプライベートに関する質問に動揺を隠せなかった私だが、彼女への返答はどこからとも無く現れた悟によってなされた。任務開始早々滅多なことが起こってしまった…。
「というか🌸、何でさっき答えに迷ってたの?ちゃんと五条悟のお嫁さんだって自覚持ってもらわないと、この先困るよ!」
わかっている、わかってはいるのだが、やはり改めて他人の口から聞くと、どうしても嬉しさと恥ずかしさで動揺してしまう。
…それにしても、いつも通り悟は調子が良すぎる。
「さて、いつまでも照れてる僕の奥さんは僕が運ぶとして、君が今日の補助監督?」
「…は、はい!よろしくお願いします!」
『悟!1人で歩けるから降ろして!』
悟は私をお姫様抱っこしながら移動用の車へ向かった。私の任務に着いてくる必要は無いといつも言っているのに…。
案の定、今日は無難な任務になるはずが悟の登場により寄り道だらけ、食べ歩きだらけになってしまった…。新人さん、ごめんね。
【高専五(夏視点、not離反)】
今年の姉妹校交流会個人戦の初戦は🌸と京都校3年の男子生徒だ。うん、今の🌸であれば余裕で勝てる相手だね。だから悟、心配で🌸に抱き着くのはやめた方が良い。そろそろ🌸が泡吹きそうだよ…。
『東京校2年の🌸です。よろしくお願いします!』
「あー、あの五条悟の嫁とかってやつ?…ふーん、結構可愛いじゃん。だから五条家にも認められたとか?」
うわ…🌸面倒くさいのと当たったな。どうせ勝てる相手でもあの手のイヤミを言われるのは気分が良いものではないよね。🌸と悟の間柄は家が決めたものではなく、お互いしっかり惹かれあってのものなのに。
隣の悟はというと何も喋らずじっと試合中の🌸を見ている。少し前であれば先程の発言にイラついて、試合に乱入してもおかしくなかったのに。丸くなったのも🌸効果なのかな。
そんなことを考えているうちに初戦は終了していた。結果は🌸の圧勝。足の位置を1度も変えず、攻撃も1度も食らわず勝ったらしい。なんかそういう漫画のキャラいそうだな…。
『みんなー!やったよー!…あれ、悟?どうしたの?』
「…五条悟の嫁…俺とあいつのことそんなに知れ渡ってるのか…これはもう結婚しても…いや学生結婚とかあいつはどう考えてるんだ…?」
え、悟?試合中ずっと静かだったのはそういこと?「五条悟の嫁」というワードまでしか聞こえてなかったのか…君そんなキャラだったかな??
【28夏油(not離反)】
今、私は美々子ちゃん菜々子ちゃんと一緒にお夕飯の買い出しに来ている。今夜のメインディッシュはシチュー。スーパーで必要な材料を買い込み、帰路に着いたところだ。傑もお夕飯までには帰れると言っていたし、早く帰って準備しないと…と思いながらも2人との会話に花を咲かせながら歩いている。
「ところでさー🌸さん、前から思ってたんだけど夏油様とはいつ結婚するの?もう10年以上?付き合ってるんだよね?」
「私もそれ、思ってた。」
『え!?2人ともいきなり何を…?』
女心と秋の空とはよく言うが、女の子の話もだ。先程まで違う話をしていたのに菜々子ちゃんがいきなり話題を変えた。しかも私と傑の関係性についてだ。確かに美々子ちゃん菜々子ちゃんと出会い、4人で生活を始めてから10年くらい経った。”美々子と菜々子が大人になるまでは彼女たち中心で生活をする”というのが私と傑の間での約束なのだが…。
その先のこと、傑はどう考えているんだろう。
「もし家族が増えるなら、私は弟が欲しいかなー!外で遊ぶの楽しそうじゃん!美々子はどっちが欲しい?」
「私は妹かな。お人形で一緒に遊ぶの。」
「あー!それも良いね!じゃあそういうことで弟と妹、どっちもよろしくね!🌸さん!」
『ちょ、ちょっと!話の進むスピードが速すぎだよ2人とも!』
「なんだか楽しそうな話をしているね。私も混ぜてくれないかな?」
「「夏油様!!」」
2人の会話に着いていけず、あたふたしている私の後ろから傑が現れた。そのまま後ろを振り向くと、傑は何故かすごくニコニコしていた。これは私たちの話を最初から聞いてたな…。
『傑…!予定より帰ってくるの早いんじゃない?』
「そうなんだよ、想定よりもスムーズに任務が進んでね。…で、🌸と私がいつ結婚するのかという話かい?」
やっぱり最初から聞いていた…。でもこの話、傑はどうやって返すのかな…?
「そうなの夏油様!夏油様と🌸さんが結婚したら、弟と妹はどっちも欲しいなって話をしてて!」
「もう🌸さんに弟と妹どっちもよろしくっていうことも伝えた。」
「うんうん、なるほどね。これは2人には話していなかったが、私たちはね、せめて君たちが独り立ちできるまでは、君たち中心の生活を続けようと思っていたんだよ。けれど、君たちが🌸と私の結婚を望むならその必要は無いようだ。」
え、それってつまり…。
「それに、私は子ども5人は欲しいと思ってるから、きっと弟も妹もできるよ。」
と言いながら傑は私の腰を抱き寄せた。結婚飛び越えているし、その話は初耳なんですけど。というかこれ恥ずかしい…!
「ええ!やったー!じゃあその前に結婚式もしなきゃだよね!夏油様のお嫁さんになった🌸さん、もう今から楽しみ!そうだ美々子!🌸さんのウェディングドレス、私たちでデザインしない?」
「菜々子、それ良い考え。でも、どうせなら私たちで作っちゃおうよ。」
「あー!確かに!そうとなったら、早く帰ってデザイン案出さなきゃ!善は急げだ!!」
「うん!」
美々子ちゃんと菜々子ちゃんはそのまま家まで走って行ってしまった。残された傑と私も、どちらが言うでもなく家までの道を歩き出した。
「もちろん君へのプロボーズは、しかるべき時間と場所を用意して、改めてさせてもらうよ。…それはそうと、夏油様のお嫁さんとは…人から言われると想像以上にクるものがあるね…。できるだけ早く、君を私のお嫁さんにするから、もう少し待っていてくれ。」
そう宣言した傑は私の唇へ軽いキスを落とした。ここ…商店街の真ん中です。私の顔が赤いのは、夕日のせいだと言い張るのであった。
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