リクエスト 有難う御座います 。
ほわほわした日常系は あまり縁がなく 、 これじゃない感で 頭を悩ませながら完成させた一作品です 。 リクエストの趣旨に合ってんのかなこれ ⋯ って一作になりました すいません 。 合ってなかったら 容赦せず 仰ってください 、 直します 。
あと今回も長いです 。 ゆっくり目を休めながら 見てください 。
天乃 絵斗 と 猿山 らだ男 の名を借りていますが 、 世界線は 深く考えなくて 大丈夫です 。 同じ世界線かも知れないし 、 名前が一緒なだけで 違うかも知れない ⋯ そんな感じです 。
猿山とらだの切り替えに ご注目ください 。
※ モブがたくさん出てきます 。
p「 あっぢぃ ⋯⋯ 」
「 おい 天乃 ! 日陰で涼んでないでこっち来て手伝え!! 」
7月前半 、 日向に出れば溶けるんじゃないか 、 と錯覚させられるような熱さから逃げるため 、 俺は 木陰で涼んでいた 。
そんな俺を目敏く見つけた友人は 、 怒ったような顔で こちらへ駆けてきた 。
手伝え 、 とは 明日開催される体育祭の準備のこで 、 友人は体育祭の委員に属していて 、 最終確認の準備をしている最中だ 。 そうして俺は 、 それに 付き合わせれているというわけで 。
頼まれたときはここまで熱いとも思わなかったし 、 手伝う気満々ではあったが 、 もう今は違う 。 絶対に 俺は木陰からでない 、 という意思で満々である 。
p「 嫌だわ 、 外でたら死ぬよ!? 俺 」
「 はいはい 、 俺も死にそうだからお前も道連れにしてやる 」
呆れた友人は 、 こちらに駆け寄っては 、 がし 、 と手を掴み日向へ全力で引っ張る 。
慌てて全体重を後方へ送り 、 日向へ出るのをなんとかして阻止する 。
「 お前 ⋯ っ 、 無駄に力強いな ! がりひょろの癖してよ !! 」
p「 うるせぇ !!! こちとら剣道で鍛えてんだわ !! 」
「 んなら 俺も バスケで鍛えて ⋯ 」
いつも通りの言い合いの最中 、 友人は何かに気づいた様子で 、 じっと俺の後方を見ていた 。
熱でやられたか と問いかけようとした瞬間 、 掴んでいた手を何も言わずに離した 。
p「 おわ っ !? 」
手を掴まれていたことで均衡を守っていた身体は 、 その支えを失ったことで 崩壊する 。
背中から地面に激突する痛みを 想像し 、 恐怖から 目を強く瞑るが 、 いつまでたってもその痛みは来ず 、 恐る恐る目を開き 、 上を見上げると 少し不機嫌そうな顔をした 猿山が立っていた 。
どうやら 、 俺の肩を抱いて支えてくれていたようだ 。
r「 あのさあ 、 あんまし 天乃虐めないでくれる ? 」
「 はいはい 、 でも 今回は天乃も悪いぜ? 係りの仕事サボってんだから 」
そんな様子で 言い合っている二人を他所に 、 俺の顔はどんどん熱を持っていく 。
r「 ⋯ 天乃 ? 何 、 だいじょぶ ? 」
p「 え” 、 あっ 、 う 、 うん ⋯ 」
r「 顔真っ赤だし ⋯ 熱中症 ? 天乃は 熱にやられやすいんだから 、 ちゃんと水分補給してた ? 」
そう問われれば 、 大きく頷いて 目を逸らす 。
そんな俺の耳に 、 友人には聞こえない程の小さな声で 可愛い 、 という言葉が聞こえてきて 、 更に顔が熱くなる 。
実は 、 俺と猿山は周りに内緒で付き合っていて 、 男子高校生らしく 若干不健全なお付き合いをしている 。
猿山は 周りに言いふらしたいそうだが 、 俺がそれを断固拒否した 。 猿山は成績優秀 、 運動もできれば 優しい 。 そのため 女子からモテにモテる 。
そんな猿山が溺愛するカノジョが 男で 、 しかも 特に見映えもしない 俺だと言うことがバレれば 、 猿山は冷たい目で見られるかもしれないし 、 俺は女子から締め上げられるだろう 。 それがどうしても嫌で 、 なんとか秘密にしてもらっている 。
顔を真っ赤にして黙った俺と 、 にこにこしている猿山を 見比べ 、 友人は 呆れた声を出す 。
「 ⋯ そこまで距離近いと逆に 熱中症加速すると思うけど 」
p「 ⋯⋯ あ゙ 、 」
そう言われ 、 今の今まで 俺たちは殆ど ハグをしているかのような距離に なっていたことを思い出す 。
大慌てで 猿山の身体を押し退け 、 その勢いで 友人の居る 日向へと 逃げ出す 。
r「 痛 、 ちょっと 、 天乃 乱暴すぎ 」
p「 う 、 うっさい !! 俺もう 仕事行くから !!! 」
「 はあ? ちょ 、 天乃 !? 」
そう言い放てば 、 決して後ろを振り向くことなく走り出す 。 どこに行けばいいかとかは全く 考えていないが 、 とりあえずこの場から 離れないと 心臓が爆散する 。
その一心で 俺は 止まることなく走っていた 。
r「 ⋯ はあ 、 天乃のこと 、 宜しくね? 」
「 はいよ 、 適度に見とくわ 。 」
そんな 保護者会みたいな会話が 行われたいことは 、 当然知り得なかった 。
そうして迎えた次の日 、 幸いなことに天気は快晴 、 体育祭日和だ 。
今は 、 全校生徒外に出で 、 グラウンドで各々 アップをしているところだ 。
ちらり 、 と隣に目をやると 、 しっかり前屈したりと きちんとアップをこなす猿山がいた 。
本来 、 クラスで固まってアップを行うため 猿山は 違うところでアップをするはずだったのだが 、 抜け出してきたのかなんなのか 、 堂々と俺の隣でアップしている 。
そんな猿山に 、 呆れた気持ちと 、 それよりも大きい 嬉しい 、 という気持ちが芽生える 。
そんなことを思っていると 、 遠くから 女子たちの声と 、 手を振る姿が目に映る 。
「 猿山くーーん ! 頑張って 〜 ! 」
r「 ⋯ はーい 。 」
猿山は死ぬ程面倒臭そうな顔で手を振り返すと 、 応援の声をかけていた 女子たちは嬉しそうに 、 それ見ていた男子たちは 心底憎らしいと言わんばかりの 声を上げていた 。
p「 ⋯ 猿山 、 もうちょい 笑顔で返しな ? 折角 応援してくれてんだから 」
r「 えー⋯ 面倒いからやだ 。 」
そう言って再度俺の隣をキープしたままアップを始める 。
面倒いとか言ってるけど 、 俺が応援したら絶対笑顔で返すんだろうな 、 と心の中で思う 。 心の中で思っただけだからね !? 別に 見せつけようとか思ってないから俺は 。
ぶんぶん 、 と首を振っていると 、 いつの間にか友人が背後に立っていたようで 、 ぽん 、 と肩に手を置かれた 。
p「 うわああ !? 」
「 うっっっさ !!! 肩に手置いただけで そんな驚くなよ !! 」
実際その通りなので 、 返す言葉もなく 、 むっとした表情だけを 返すことにした 。
その表情を受け取った友人は 、 深く溜息を吐くが 、
「 ほら 、 そろそろテント戻んぞ 。 出る枠ないとは言えど テントにいて応援するって役割はあんだから 」
と 、 催促してきた 。 本来 、 俺に突っかかろうとしてるわけじゃなく 、 普通にテントに戻ったほうがいいと伝えに来ようとしてくれていたのだろう 。
こういうとこが コイツの優しいとこなんだよな 。
p「 わかった 、 じゃ 俺行くわ 」
r「 えー ⋯ ? 俺のテントの方 来てくんないの? 」
p「 はあ?絶対嫌だわ 。 お前には たーくさんの応援してくれる女子たちが居るだろ !! 」
不機嫌そうな顔を浮かべる猿山に 、 べーっと舌を出して煽りを入れ 、 友人とともにテントへと歩き出す 。
後ろは振り返ろうとしないが 、 脳内に猿山の不満げな顔と 、 言葉は浮かんでくる 。
いつものお返しじゃい 、 とほくそ笑んでいると 、 友人がまた 深い溜息を吐いた 。
その溜息をなぜついたのか 、 それはわからなかったが 、 問おうとする前に テントについて開会式が始まる号令がかかってしまったので 、 口を紡ぐしか無かった 。
さて 、 体育祭が始まったところで 、 俺の高校の体育祭の説明でもするとするか 。
俺の高校の体育祭は 、 他の高校と大差ない 。 クラスの代表数名が 、 いろいろな競技に出て 、 出なかった人らが リレー に出る という形で 。 そして 、 午後の大目玉 応援合戦のみは全員参加する 、 と言う形だ 。
ただ 、 人数の関係上 、 リレーにさえ出れない人が出てくる 。 そういう人は 係の仕事をするという役目が与えられる 。 そのそういう人こそ 俺だ 。
本来は リレーに出る予定だったが 、 係の仕事が人数より多く捌ききれないということが発覚し 、 係の仕事を押し付けられた 、 というわけだ 。
そんな俺の係の仕事は至って簡単 、 物運びだ 。 リレーに使うバトン 、 玉入れに使う玉と玉入れ 、 ハードル走で使うハードル とか 。
めっちゃくちゃ重いし 、 人が少ないから時間もかかるけど 、 終わってしまえば もう何もやることがないのがこの係の良いところであって 。
同じ係の人とは全く話したこともなかったが 、 全員速く終わらせたいという共通の目標があり 、 謎の一体感が生まれて 想定より30分も速く仕事は終わった 。
現在は 同じ係の数人と 雑談しながらテントに戻っているところだ 。
「 待って 、 あの女子めっちゃ可愛くね?? 」
「 え 、 どれ ? ハードル ? 」
「 そうそう 、 ハードルの !! やばい めっちゃタイプだわ 。 天乃ハードルだったら 誰が一番可愛いと思う? 」
p「 え 俺 ?? えー⋯ 左から2番目の子とか ? 」
適当に目に映った 女の子を指しておく 。 正直 、 女の子はどの子もみんな 怖くしか見えない 。
「 ふーん 、 お前ショートカットが好きなんだな 。 でもあの子そんな胸でかくなくね? 」
「 馬鹿 、 天乃は胸派じゃなくて尻派なんだよ 」
p「 いや別に そういうことじゃねぇよ !? 」
そんなことを言い合っていると 、 ハードル走は終わった 。 そのため 、 スペースができ 、 次の競技の準備が始まった 。
「 お 、 今から何やんだ? 」
「 借り物 。 早く帰んねぇと 借り物で女子から借りられねぇよ? 」
「 やっべそれは死活問題だわ !! じゃ 、 天乃 俺ら走ってくわ !! 」
p「 おう ! 係 お疲れ様 ! 」
「 お前もな 〜〜 !! 」
走っていく2人の背中に 手を振りながら 、 自身もテントへ駆ける 。
俺らのテントは一番端っこにあって 、 今の自分の位置からは最も近く 、 軽く走っていっても 競技の開始には間に合った 。
自身の席に戻ると 、 競技を終えた友人が隣に座っていて 、 軽く手を降って労ってきた 。
「 お疲れ 」
p「 そっちも 。 何でてたんだっけ ? 」
「 走り高跳び 。 なんかよくわかんねぇけど 一番取れたわ 」
p「 うわ えぐ ! よくわかんないけどってのが カッコいいわ 」
「 ありがと ありがと 。 もしかしたら 俺 これから めっちゃモテるかもしれん 」
p「 それはないわ 」
俺の言葉に反論しようとして口を開いた友人は 、 甲高いホイッスルの音に遮られた 。
二人して吃驚して グラウンドに目をやれば 、 もう既に 選手が準備を終えていて 、 競技アナウンスがかかり始めていた 。
『 今から 、 午前の部最後の競技 、 借り物競走を始めます 。 この競技では 、 お題に書かれた物 、 または人を 係まで連れくる必要がありますので 、 観客の皆さんも 準備をなさってください 』
「 ⋯ だってよ 。 お前 連れてかれるかもな 」
p「 洒落になんないから やめてくんね ? 」
明らかに冗談として言った言葉を 食い気味に否定する 。
友人はそんな俺を怪訝そうな顔で見詰めてくるが 、 俺の視線の先に誰がいるのか気づいたのか 、 察したような 目をしていた 。
そう 、 この競技には 猿山が出場している 。 もし 、 もし 俺に当てはまるようなお題 ⋯ 特に 好きな人 や 恋人 関連のものを引いてしまえば 、 真っ先にこっちに来るだろう 。
それだけは絶対に阻止したい 。
だって女子たち 色めき立って 我こそ選ばれようと おめかし始めてるよ !? そんなかで俺が選ばれた ら もう俺 命なくなるから 。
『 それでは位置について 、 よーい ⋯ 』
乾いた銃声が鳴り響けば 、 誰かを応援する声援と 、 選手たちが地面を走る音が 響く 。
この競技は 男子からなので 、 猿山も多分 あの 軍団の中にいるんだろう 。
そう思いながら 走り出した軍団を見ていると 、 お題の置いてある机に着く前に 、 軍団は分裂し 、 先頭集団と 後尾に着く軍団に別れていた 。
もちろん 猿山は涼し顔のまま先頭集団のまさに先頭の方で走っている 。
走る姿にかっこいいな 、 とは思うし 、 応援したい とも思う 。 けれど 、 俺が応援してしまえば 、 周りから白い目で見られるのは確実だし 、 猿山が調子に乗るのも目に見えている 。
なので 、 走り終わった後に 一言だけ掛けてあげよう 、 と心の内で決める 。
そう決めれば特にやることもなく 、 猿山が走っていくのをぼーっと見ていく 。
そうするうちに先頭集団はお題の置いてあるエリアまで辿り着く 。
選手たちは我先にとお題を選び 、 人を探したり物を探したりを始める 。
お題がなかなか難しいのか 、 すぐに走って探しに行ける選手はいないようだ 。
猿山も お題をめくった瞬間 、 思案しているのか 、 その場で固まっていた 。
どうしたんだろう 、 と眺めていると決心した顔つきの猿山は 走り出した 。
しかも 、 結構な速度で 、 行く場所が決まっているかのように 。
「 ⋯ こっち来てね ? 」
p「 絶対違うから 」
そう 、 友人の言う通り 、 猿山は迷うことなくこちらへ向かってきているのだ 。 テントは端っこにあると言うのに 。
希望を込めて 友人の言葉を否定したが 、 その希望は砕かれる 。
猿山がこっちを見ているのだ 。 うん だってもう 目 合ってるもん 完全に 。
「 やばっ ! 猿山くんこっち来てない !? 」
「 だよね !? やばいやばい どうしよ ! 」
テントにいた全員が 猿山がこちらに来ることを確信したのか 、 主に女子たちが 騒ぎ出す 。
頬が赤くなる女子と対照的に 、 俺の顔はどんどん青くなっていく 。
遂に 、 猿山はテントまで辿り着き 、 その場で一瞬 周りを見る 。
そして 、 黄色い悲鳴をあげる 女子たちを無視し 、 男子たちのいるテントへと足を踏み入れた 。
待って 、 待って待って まじでこっち来んな !!!
成る可く身を縮めてクラスメイトの陰に隠れていたが 、 猿山が 俺を見つけられない訳もなく 、 容易く見つけられ 、 側へ駆け寄ってきた 。
近くにいた男子たちも空気を察して退いたせいで 、 猿山は俺の目の前に来ることに 成功してしまった 。
目の前に立った猿山をみないように 、 視線を外しながら 呟くように 声を発する 。
p「 ⋯ 何 」
r「 行くよ 天乃 。 お前の出番 。 」
そう言って 差し出された手を怪訝そうに見詰め 、 無視しようかと考え始めていると 、 猿山は痺れを切らしたのが 、 無理矢理俺の手を掴んだ 。
慌てて振り解こうとするが 、 猿山の力に敵うはずもなく 、 ぐっ 、 と引き寄せられた 。
走りたくなかったのに ⋯ !! てか 、 お題も絶対 恋人とかじゃん ⋯ !!! 終わった ⋯
もう既に女子からなんか声聞こえるし !!!
p「 もうほんっっと 、 最悪 」
手を引かれ走りながらぼそっと呟く 。 最悪という気持ちがあまりに大きすぎて 、 走る速度も段々遅くなって 、 猿山の手を引く力も比例するように 強くなっていく 。
それでも 、 走る速度を緩め続けると 、 猿山が振り返り 、 不審そうな顔で問いてきた 。
r「 ⋯ 天乃 遅いんだけど ? 」
p「 しょうがないでしょ 、 走りたくねぇんだから 」
憎しみ一杯でそう言い放てば 、 軽い溜息が聞こえ 、 猿山はスピードを落とし 、 俺の後ろに着いた 。 不思議に思っていた次の瞬間には 、 俺の身体は宙に浮いていた 。
p「 へっ ? 」
r「 しっかり捕まってて 。 こっちのが絶対速いから 」
足を片腕で抱き 、 もう片腕で背中と俺の腕を支える 。所謂 、 お姫様抱っこ の体勢だ 。
それを悟った瞬間 、 顔に熱が走り 、 心拍数が爆増する 。
p「 ちょ ⋯ っ ! ら 、 らだ 、 降ろし ⋯ っ 」
r「 ごめん喋んないで 。 変に喋ると舌噛むよ 」
俺の身を案じるように言われてしまえば 、 何も言葉を返すことは出来ず 。
左耳からは少し高くなった心拍音が聞こえ 、 右耳からは 号哭にも近しい声が聞こえてくる 。
速く終わってしまえ 、 と心の中で強く強く願う 。 幸い 、 猿山はとても足が速い 。 そのおかげで 俺を抱っこしていようとも 、 意図も簡単に周りを抜かし 、 ゴールへ辿り着く 。
涼しい顔で係りの人のところまで行けば 、 持っていたお題の書かれた紙を渡し 、 次にゆっくりと俺を降ろした 。
きっと傍から見れば怪我をしないようにの考慮に見えるだろうが 、 俺からしたら ただただ見せつける時間を長くしたかっただけにしか思えない 。
そんなこんなでぶす 、 と頬を膨らませていると 、 お題を確認した係りは軽く頷き 、 マイクを口に寄せた 。
恐らく 、 お題を読み上げるのだろうが ⋯ それをされれば 、 きっと俺は ころされる 。 女子たちに 。 主に女子たちに 。
これからやってくるであろう恐怖に 、 ぎゅ 、 と目を塞いで 、 なんなら耳も塞ぎたかったが 、 皆の前でそんな事が出来るはずもなく 、 視覚からの情報のみを遮断して その時を待った 、 が 。
「 さて ⋯ 今回のお題は ⋯ ” 剣道部に所属している人 ” ! 天乃くんは 剣道部所属中 だから 見事クリア !! 」
パチパチ 、 とチームからの賞賛の拍手と 、 どこからともなく 安心したような 安堵の声が聞こえてくる 。
想像していなかったお題に 、 思わず 驚きの声を漏らしてしまう 。
p「 ⋯⋯⋯ は ????? 」
r「 え? 天乃剣道部でしょ? 」
p「 そ 、 そうだけど ⋯ ! その お題だったんなら 連れてくときに言えよ!! 」
そう言って猿山に食いかかると 、 しばらく唖然とした顔をしていたが 、 何かに気づいたのか 、 にやり と口角を上げた 。
r「 ⋯ 何と勘違いしたの? 絵斗 」
p「 ば ⋯ っ !! 名前で呼ぶな ⋯ ! てか 勘違いも何もしてないし !! 」
勝手に変なことを想像してしまった自分が恥ずかしく 、 顔が火照るのを感じる 。
いやでも!!! そんな 、 そんな ⋯ お姫様抱っこされて 、 勘違いしないヤツいないだろ ⋯ !!!
真っ赤になった顔を隠すために俯いていると 、 実行委員の生徒がこちらへマイク片手に駆けてきた 。
「 えぇっと ⋯ 1位には インタビューしてて 。 今回の感想を 、 どうぞ ! 」
そう言って出されたマイクを前に 、 2人で顔を見合わせる 。
俺がこういうの苦手なのを知っているから 、 猿山は迷うことなく それを受け取り 、 自身の口に近づけて 口を開いた 。
r「 えーっと 、 応援ありがとうございました 。 俺が天乃を連れてってる時 、 色んな憶測が飛んでましたが 、 それ全部正解です 」
p「 はあ !? おま ⋯ っ !? 」
驚愕の声 、 落胆 、 絶望 、 そして 喜びの声 ⋯ そんな 色んな感情を持った声が 、 猿山の言葉一つで 運動場を支配する 。
突然 おかしなことを言い出した 猿山に 、 怒りと 、 羞恥が込み上げてきて 、 慌ててマイクを奪い取ろうとするが 、 時は既に遅くて 。
r「 皆さんご察しの通り 、 俺の恋人は 、 剣道部に所属していて 、 すっごい人見知りだけど 、 優しいし明るい一面もあって 、 ほんっと可愛いくて仕方がない 、 俺の隣に立っている 天乃絵斗くんでーーす 。 ということでこの後の競技も全員で頑張りましょう 。 」
そこまで言い終えれば 、 マイクの電源を切り 、 呆然としているインタビュアーに返す 。
あまりにその行動が冷静で 、 一瞬 運動場が静寂に包まれるが 、 直ぐ 女子と一部の男子達の悲鳴と 、 男子達の雄叫びによって崩された 。
そんな混沌の中 、 俺は言葉も出ず 、 身体をわなわなと震わせることしかできなかった 。 なんでかって ? 今まで必死に隠していたことを 一瞬でバラされて 絶望の淵に立たされたからだよ !!
p「 終わった ⋯⋯ おれ 、 もう 学校 来れない ⋯ 」
r「 えー 、 なんで ? 寧ろ公言しちゃったほうが 過ごしやすくね ? 」
p「 それはらだだけだよ !!! 」
最悪だ 、 俺の快適な日常生活が ⋯ と 、 頭を抱えらだに背を向けながら 、 これまでの生活と これからやってくるであろう地獄に対し ぶつぶつ 呟いていると 、 突然 らだが 名前を呼んできた 。
r「 ⋯ 絵斗 。 」
p「 あ ?! な 、 に ⋯⋯ 」
勢いよく振り返れば 、 唇に何かが触れる感覚がして 、 驚いて目を見開く 。
らだの顔面の近さと 、 遠くから聞こえる無数の悲鳴で 、 キスをされたのだ 、 と判断を下した 。
口を 開いたり閉じたり 、 何か言いたくても 何も言えない俺に 、
r「 ⋯ 怒ってんのも 可愛いね 。 」
そう言い放ち 、 目の前で微笑む らだ 。
もはや 、 この混乱を 俺が宥めることはできない 、 寧ろ 火に油を注いでいるような 状態だと言うことに 気づいて 、 もう 、 俺は どうしようもなく 手詰まりになってしまったようだった 。
〆
次 → ♡ 1,500
コメント
6件
リクエストありがとうございます!! いやっもう、言葉に出来ない程最高すぎます!!!こういう話が大大大大大大大好きで、もう今まで見てきた中でめちゃくちゃに好きです!!もうほんとに主様の書き方&ストーリー好きすぎます!ほんとにありがとうございます🙇♀️100回程見返させていただきます😊ほんとにありがとうございます!!
ごめんなさい806までハート上げました……限界っす…… あと、これ尊すぎです!!みんなの前でキスするって……うち心の中で悲鳴上げましたよ!!最初のイチャつきも良かったし、絵斗、顔真っ赤になってる姿想像できます…… あと、うち猿天大好物で、めっっっちゃ美味しかったです😋
今回もホント最高すぎました😭💗🗯️ 隠したいpnとバラしたいrdが解釈一致すぎて…🤭💞