領域…何を言っているんだこの人は。
全く理解が出来ず男が発した言葉をオウム返しにすれば目の前の男は態とらしく大きな溜息をついた。
「俺の心の中と言い換えてもいい。
本来なら貴様のような呪力の欠片も無い奴が容易に入ることは出来る場ではない。」
私を見下ろしたまま男はそう述べる。
呪力、心の中。作り話のような言葉が次々と並べられますます困惑する。
周りは1面赤色、時計なんてものは無い為時間は全く分からない。
しばらく硬直していれば前の男が屈み片手で自分の頬を掴み無理やり目を合わせられる。
『…え、え』
目の前の男は自分を喰らうのでは無いかと思う程に此方を睨みつけている。
『いひゃい…。はなして…、!? 』
余程力加減が下手なのだろう。頬が痛むので手を話してもらうように頼めば更に力を強められた。男の長い爪が自分の頬の皮膚をきり薄らと血が流れ、水飛沫を上げながら赤色の水に消える。最早遊びの”それ”では無い。
やり返してやろうと男の頬に手を伸ばすが届く事は無く自分の腕は空をきる。
宿儺side_
小僧の中に囚われ退屈な今日も一日が始まる。
と思っていたか…案外そうでもないらしい。
突如領域内に現れた感じたことの無い気配に腰を上げ気配を辿れば見ず知らずの女。
呪術に無知な事に加え呪力の欠けらも無い。
つまらん。入ってきたのが呪術師であれば殺し合いでもできただろうに…。
己に頬を捕まれている小娘を見下せば反抗的な視線を向けた為力を加えてやった。
必死にもがいている様が実に滑稽だ。
…久々に人肉を喰らうのも悪くないか。
なんて考えれば、小娘の頬を掴んでいた手を離して立ち上がり、頭蓋骨やらで作られた山に腰をかける。
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