頬を掴んでから終始無言だった男が、飽きたのか遂に無言のまま上の方へと登ってしまった。
何も教えてくれないという事は男も帰り方が分からないのだろうか。
この場合ある程度仲良くしておいた方が後々困らないのでは、と考えが浮かびだして。
『わたし、○○です!!貴方は?』
名乗れば男は、
“貴様の名前など聞いていないが?”
と言わんばかりの顔で此方を見詰める。
無愛想な奴、なんて思っていれば男は
「…宿儺。」
と言い捨てる。
なんて無愛想な奴だ。仲良くなろうと思ったのが馬鹿らしくなる。
『無愛想!!』
男…宿儺に向かってそう叫べば目の前にあった頭蓋骨が粉々に砕ける。
恐らく…いや、十中八九宿儺の仕業だろう。
『ぇ…』
と声を漏らせば頭上から
「己の命が惜しければ分を弁えろ。
…俺は容易に貴様を殺すことが出来るし今直ぐに喰らってやってもいいのだぞ? 」
と言葉がふってくる。
冗談に聞こえない。
幾ら背丈のある男と言えど流石に届く距離では無い。
それに一瞬で頭蓋骨を粉々にしたのだ。呪術どうちゃらという話は嘘ではないのかもしれない。
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