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「やっぱり岩場か…」
俺達は6階層の岩亀を攻略して、今は7階層を目の前にしている。
5階層は2.5キロくらい。6階層は岩場で計れなかったが、多分2.5キロよりも短くはなかった。
つまり、この階層は3キロくらいあるはずだ。
「岩場といってもさっきとは違うね」
「はい。岩のサイズが桁違いに大きくなっていますね」
先程はテトラポットサイズの岩が、ランダムに空から降ってきて出来ました!みたいな階層だった。
今回の階層は岩山だ。所々に突き出た岩山がある。一つ一つの岩の大きさも、大きいモノだと10倍くらい大きくなっている。
「ここは何がいるんだ?」
「ここは岩蠍ですね。岩亀と同じく岩と同じ色をしているそうです。魔法は使いませんが、音もなく忍び寄り、毒のある尾を獲物に刺すという攻撃方法を取るようです」
「毒って、どんな?」
「石化毒のようですね」
あるのか石化…メデューサとかもいるのかな?もし美女なら抗えんぞ?
「じゃあ私達のチームの敵じゃないね!」
「そうです!そうです!セイさんの索敵とミランの視力があれば、私達は無敵です!」
うん。役に立たない二人が一番偉そうだ。
ミラン。二人でがんばろうなっ!
「セイさんどうです?」
ミランが聞いてきたのは・・・
「うーん。凄いな。確かにダンジョンの魔物は必要以上に群れないって聞いてたけど、コイツらは数が凄いな」
「そんなにですか…」
どうもコイツらは小さそうだ。それでも地球にいる蠍よりは大きいだろうが。
「ああ。群れているわけじゃないと思うが、そこら中にいるな。多分陰にいて見えないんじゃないかと思う」
「虫がウジャウジャ・・・・帰ってもいいかな!?」
「バ◯サンもアー◯ジェットも沢山あるから頑張れ」
聖奈さんは苦手だからな。俺も別に得意ではないが。
大体蠍のような昆虫(?)に殺虫剤って効くのか?デカい飛蝗には効いたけど。
「岩蠍は音と振動に反応するようです。なので、ここからあの辺りの岩場に石を投げてもらえませんか?」
「わかった。炙り出せたらみんなで撃ってくれ」
近寄らずに済むのなら、それに越したことはないからな。
『身体強化』
俺は手近にある石を掴み、全力で投擲した。
「うぉぉおお!!」
ビュン!
バゴッ
「どうだ!?」
ミランが指示した遠くの岩場に着弾したのを確認した。後は、奴らが釣られるかどうかだが・・・
カサカサカサッ
実際には離れていて聞こえないが、そんな音が聞こえそうなくらい、フナムシが集まってきた。いや、岩蠍だったか……
「ひぃっ!?」
聖奈さんは遂にスコープから目を離してしまった。
「ここから見ると小さいが、多分30cmくらいあるよな?」
「そうですね。あれなら当てられます」
「アイスブロックがあそこに落とせたらいいのですが…私の魔力だと無理そうです」
「ん?魔力と距離が関係あるのか?」
俺はどこに落としても変わらないからわからんなぁ。
あれ?エリーが可哀想な人を見る目で見てくる……
「そんなことも知らなかったのです?まぁセイさんには関係ないことですか…」
「い、いやわからんぞ?流石にここから水都には撃てそうにないからな!」
待て!頑張って共感したのに、また可哀想な奴を見る目を…!!
「セイくんならすぐ終わらせられるよね!?」
「いや撃たんぞ?魔石を回収するのに、氷が溶けるのを待つのはアホらしいからな。頑張って撃ってくれ」
聖奈さんはこの世の終わりのような表情をしているが、知らん!
俺も撃つから頑張れ。
その後、この階層に銃声が響き渡った。
「どうですか?」
ミランが確認してくる。
「うん。反応は無いな。全滅だ」
どうやらこの辺りの岩蠍を全て討伐出来たようだ。
岩亀の階層から撃ったお陰か、こちらには1匹たりとも来なかったな。
まぁまだ7階層は始まったばかりだから、どうなるかわからんが。
「じゃあ回収に行きますか!」
「イヤー!」
俺は嫌がる聖奈さんを抱え、岩蠍が大量発生していた現場に向かった。
「そういえば、魔石になるんだったね!」
この子は時々バカだよな。まぁそれだけ虫が嫌いなんだろうけど。
「多分上のレベルの奴らは、この辺の魔物には見向きもせずに駆け抜けていくんだろうな」
「そうですよね。この数をいちいち相手にしていたら時間がかかりますから」
恐らくBランク相当の俺でも、身体強化魔法を使えば戦わずに駆け抜けられる自信がある。
もちろんこの面子だと、聖奈さん関係なく無理だが。
「いや…ミランと二人きりなら出来るか?」
ミランは体力があるし、目も良い。目が良いのは強くなる為に必須なくらい重要なことだと、爺さんも言っていたし。難しい場面だけなら俺が抱えれば良いしな。
「ん?」
なんかミランが顔を真っ赤にして、熱い視線を向けてきている。それは良いんだ。それよりも……
「何で二人は睨んでいるんだ?」
聖奈さんとエリーが、俺に睨みをきかせてくる。俺はヤンキーじゃないから、物語は進みませんよ?
「ミランちゃんと二人っきりで冒険する気なの!?」
「私達は置いてけぼりですっ!?」
ん?
「もしかして、口に出ていたのか…?」
「はぃ…」
いや、ミラン。顔を赤くして俯かなくていいから、助けてくれ。
「あれは他の冒険者がどうしているのか考察していただけだ。俺達には俺達のペースがあるから気にするな。これからも四人で頑張るぞ」
「それなら良いけど…」
「わかったですっ!」
うん。エリーは良い返事だ!返事はイエッサーかイエスだけだぞ!
俺の心の中の鬼軍曹が出たところで、魔石の数を数えた。
「52個か。何とか5階層の分を取り返せたな」
「はい。ですが集めた情報との違いが気になります」
それはダンジョンの魔物が群れないってやつか。
「別に群れてたわけじゃないからな。コイツらは集まってきただけだ。それにここの階層はみんな通り抜けるだけかもしれないから、聞いた相手がそういう認識だったのかもよ?」
「はい…その可能性は捨てきれませんね。しかし、その習性は利用したいですね」
この後、この階層に再び聖奈さんの悲鳴が木霊した。
「もう…いや…」
聖奈さんの名誉の為に言うが、ギリギリ漏らしていない。
「もう終わったようだぞ?良かったな」
「森、草原、岩場の次はこれですか…」
まだ少し先のほうだが、どうやら次は砂漠らしい。
「セイくん。もう夜になるから一度帰ろ?」
「そうだな。砂漠の手前まで行ってから帰ろう」
「結局、鉱石はどこにあったのでしょうか?」
そういやそうだな。
「岩って言えばここら辺がそうなんじゃないか?それ以外だと見当たらなかったな。もしかしたら鉱石ゾーンみたいなのが探したらあるのかもしれないけど、興味ないからな」
「それもそうですね」
うん。誰も金に興味ないとは…ある意味では健全で、ある意味では不健全なチームだな。
目的の場所に着いたので、リゴルドーの家へと転移して今日の冒険を終えた。
俺と聖奈さんは地球へと戻り、各々の役割を果たす。それが済むとみんなで仲良く寝た。
「じゃあ、今日も元気にいきますか!」
翌日。今日も今日とて、俺達はダンジョンへと転移した。
〓〓〓〓〓〓〓〓小話〓〓〓〓〓〓〓〓
エリー「ホントですか!?」
ミラン「ホントですよ」
聖奈「ホントにセイくんはしたんだね?」
ミラン「はい。してくれました」
聖(えっ?何の話し?寝てて聞いてなかったんだけど…このまま狸寝入りするか…)
エリー「凄いです!でも、ずるいです!」
聖(なんだ?俺はいったいミランに何をしてしまったんだ!?)
ミラン「絶叫マシーンは凄かったです」
聖「えっ?なにそれ?」(あっ…寝たフリしてたんだった…)