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サイド ルネ
俺が本音をマオたちにぶちまけた次の日、気まずくなって声をかけられなくなるのが普通だ。というか、それが目的でもあったのに。
「なぁ〜んでこうなるかなぁ……?」
「モンダイジにな・れ・よー!」
俺はダイキから前以上に熱烈にモンダイジ団に勧誘されていた。
一応ここ学校の廊下なんだけど。
「マオがな!ルネのこと『アイツもいろいろあったんだな。モンダイジ団に入れてもいいぞ』って!!大人とか、胡散臭いヤツとか、あんま信用しないのにだぞ?!」
「ダイチ今さりげなく俺のことディスったよね?」
今まで散々誘っていたのに、他の四人に許可を取らずに団員にしようとしてたの?強引すぎる。
「はぁ……てゆうか、なんでそんなに誘ってくるわけ?」
「あの日屋上にいたから!」
そんな理由でか、って思った。でも、ダイチにしてみれば大切な理由だったんだろうね。
「ルネこそなんでずっと断り続けてんだよ」
「……俺は、少ない仲間より沢山の普通の方が大切だからね」
信用していないから、心の底から笑えない。自分の本当にしたいことが分からない……いや、見つけようとしないから、何も楽しいと感じない。
他人に合わせているから、人を好きになれない。そして、自分自身を大切にしない。でも、これはダイチにも言えることだ。
「ダイチだって、自分を作り変えているでしょ?あの子たちのヒーローでい続けるって、疲れないの?」
ダイチはこの日も真っ赤な帽子をかぶってた。ダイチのトレードマークで、象徴。ずっとそうして変身しているのは……。
「……それだけ、仲間が大切なの?」
「………………ああ」
ダイチは笑った。それはいつもとは違う、明るさがなく、芯のある笑顔だった。
「……そう」
俺は、そんな当たり障りのない返事しか出来なかった。
「そうだ!明日休日だけど会えないかな?」
パッと俺の腕を掴んでダイチはいつもの太陽のような笑顔で笑った。
ダイチはいつも学校帰りに俺を問答無用で家に引っ張る。許可を取るのも、休日に誘うのも、これが初めてだった。
「いいけど……今日じゃ駄目なの?」
「…………明日じゃないと駄目なんだ!」
ダイチの様子がおかしい。こんな切羽詰まっているなんて、今までになかった。
腕を掴むダイチの力が強くなる。少し痛い。
「……分かった。何かあったの?」
「何も無いぜ。じゃあ、明日な!」
ダイチはやっと俺の腕を離した。そして、手を振って廊下の奥に消えてった。
「…………」
Wシャツの袖をめくる。そこにはダイチの手の痕がハッキリ残っていた。痺れがこのときも残っていた。