テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#幽霊
凛道桜嵐 新
193
#日常
がくじゅつてき・あかげ
22,155
わーい
41
485
富貴さんの会社から、そのうちメンズメイク記事を頼むとはっきり言われた。なので、俺はメンズメイク学習をちゃんとやらないといけなくなった。
しかし、咲さん(埼玉9号さん)に頼むにも、狭山さんからどれだけ話が行っているやら。とりあえず、普通にDiscord経由で咲さんにメンズメイクをお願いしたら「ぜひ! うちに来てくれませんか? しっかりメイクしたいです!」と快諾をもらった。俺は、とりあえずホッとした。
千歳に、今度の日曜に咲さんにメイクしてもらうと伝えたら、とても喜んだ。
『よし、口説いてこい! うまく仲良くなれ!』
「いや、そんな、俺だって会ってから考えたいし……」
『まあ、それはそうだけどな』
千歳は腕組みして考え『あのな、考えてたことがあるんだけどな』と言った。
「何?」
『ワシさ、お前が結婚できたら、お前に家買ってやる』
「え!?」
『無理じゃないだろ? 一億だぞ、この辺に土地買って家建てるには十分だろ』
「それは……金額的にはそうだけど、でも千歳のお金だしそこまでしてもらうのは……」
俺が躊躇する素振りをすると、千歳は言い切った。
『ワシは、ワシの金をお前が結婚しやすくするのに使いたいんだ!」
「そ、そう言われると何も言えないけど……」
『家もつくって言ったら、女釣れやすくなるかもしれないだろ? 結婚相手の考えも聞いて、家作るぞ』
あ、相手のこともちゃんと考えていらっしゃる!
「それは……確かに相手の要望聞くのは大事だけども……」
『ワシさ、昨日緑さんに八月分まで組紐渡したから、七千万はもうもらえるんだ。あと三本作ればいいから、一億もすぐそこだ。だから、お前がいい相手さえ見つければ、全然夢物語じゃないんだぞ?』
「う、うん……」
『もしものためにとっておくのも考えてたけど、お前が結婚しやすくするのに使えるならそうしたいんだ、ワシは』
千歳の顔は、真剣だった。ごまかしちゃいけない気がした。
「じゃ、じゃあ……もし結婚が決まった相手がいたらお願いするかもしれないけど。でも、別に咲さんとのやり取りでは、そういう話まだなんにも出てないからね、咲さんにばっかり期待するのは止めて」
ごまかしちゃいけないとは思ったのだが、咲さんと絶対、と言われてもそれはそれで困る。
千歳もそれはわかったようで、頷いた。
『まあ、絶対に咲さんとじゃなきゃダメとは言わんが、婚約できる相手が出来たら、家買ってやる』
「う、うん……」
翌日、富貴さんの会社から宣伝してほしいコスメが届いた。くそー、いよいよ咲さんに会って教わらなきゃいけない。いよいよ後戻りできなくなってきたぞ!
コメント
1件
おお、第370話、ついにメンズメイク本格始動ですね。千歳さんの「家買ってやる」発言には驚きましたが、それ以上に「相手の考えも聞いて家作る」という一言に、千歳さんの本気と優しさが滲んでいてじんわりしました。主人公が「ごまかしちゃいけない」と真剣に向き合おうとする姿勢もいいですね。折り返し地点を超えた物語の重みを感じる回でした。