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~獣人の国 クロヴィス城 玉座の間~
モレクはクロヴィス最強の戦士トーマに勝利し、国王レオのいる玉座の間に入る。
少し遅れて、エレナも合流してきた。
「ごめんね~★」
「先に行ってもらって~★」
「何をしていたのだ?」
モレクがエレナに問う。
「ん~ちょっとね~★」
エレナはモレクの質問をはぐらかす。
「まぁいい―――」
「どうやら向こうの王様は既に臨戦態勢のようだ。」
大柄の獅子が武器を構え、こちらを迎えている。
「貴公がクロヴィスの王レオか?」
モレクはレオに聞こえるように問う。
「如何にも我がこの国の王レオだ!」
「貴様らが我が国の民を傷つけたのは知っている。」
「しかし、これは戦争だ!」
「戦場でのお互いの生き死に、斬った斬られたの恨み合いを我は好まない。」
「だから、我はそのことについては問うつもりは一切ない。」
「だが、我はこのまま負けっぱなしは好まないのでな、相打ちになったとしても貴様らに一矢報いる!!」
レオは自身の持つ大剣をモレクたちに向ける。
モレクは、レオの能力を魔眼のスキルによって確認した。
名前:フィラー=アレクサンドル・レオ
種族:獣人
性別:男
Lv.54
クラス:金獅子
◆パラメータ◆
体力:534
筋力:547
魔力:483
物理抵抗力:475
魔力抵抗力:422
精神力:416
器用さ:393
素早さ:451
◆装備◆
防具:獅子王-レオソード(+110)
:獅子王の鎧(+100)
◆アクティブスキル◆
《大剣Lv.8》《剛力Lv.7》《身体強化Lv.7》《赤魔法Lv.6》《青魔法Lv.6》《緑魔法Lv.6》《黄魔法Lv.6》《黄緑魔法Lv.6》《黄土魔法Lv.6》《統率Lv.6》《野生解放Lv.6》《鑑定Lv.6》
◆パッシブスキル◆
《自動体力回復Lv.6》《毒耐性Lv.6》《混乱耐性Lv.6》《麻痺耐性Lv.6》《恐怖耐性Lv.6》《睡眠耐性Lv.6》《誘惑耐性Lv.6》《石化耐性Lv.6》
◆ユニークスキル◆
《百獣の王による暴力》
◆称号◆
クロヴィス王国の国王
流石は元Sランク冒険者だっただけはある。
今現在もこの世界のトップクラスの実力は持っているようだな。
「だが、六魔将の実力には及ばないな。」
モレクはそう呟いた。
「何だとッ!?」
レオはそのモレクの呟きに対して反応した。
「言葉の意味そのままだ。」
「悪いことは言わない早く降伏するんだ。」
モレクはレオに対して、降伏を勧める。
「そう言って、向かってきたこの国の兵士は大人しく降伏したか?」
「・・・・あぁ、しなかったよ。」
このクロヴィスの兵士はこちらとの実力差を認めながらも全員が戦いを挑んできた。
その点に関しては、悪魔であるモレクには理解が出来ない点であり、憧れている点でもあった。
「人はそれを勇気とは呼ばない。無謀と呼ぶ!」
モレクは、レオにそう言い放った。
「フッ、無謀か―――」
「確かに無謀だな。」
「しかし、戦うことでしかこの世界は自由を勝ち取ることはできない。」
「戦いもしないで、自由は得られない!!戦って勝つ!それしか自由は得られないのだッ!」
「もし、戦うことなく、自由が得られている国、世界があるとしたらその自由は幻想にしか過ぎない!!」
「その自由は他者によって作られた幻想だ!」
「そんな家畜のような者は大人しく飼育小屋で安寧を貪ればいい!」
「だがハッキリ言おう、そんなものは本当の自由ではない!」
「我は、いや我が国は最後まで戦うぞ!例え勝ち目が1片たりともなくても!」
レオの左手は天に向けて力強く握り拳を掲げていた。
「どうした掛かってこい!」
「魔族どもよ!」
レオはモレクたちに向けて怒号を発した。
「それじゃ遠慮なく行かせてもらおうか。」
モレクが攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、モレクの隣に次元の裂け目ができた。
「これは転移のスキルッ!?」
「一体誰?」
そうモレクが疑問に思っていると、そこから出てきたのはなんと未央であった。
「やった!無事王様のいるところまで転移できた!」
「未央様なぜここに??」
モレクはいきなりの未央の登場に驚きを隠せなかった。
「え~だって、一人だけ待ってるのも退屈だったし―――」
「それにモレクもサンドルも他の悪魔たちも皆殺すなって命令したけど~~~」
「殺さないだけでみんな酷いことしてたから早く来て、王権だけ頂いて早く終わらせようと思いました!」
未央はモレクに対して悪気もないようにテヘペロと舌を少し出した。
突然の魔王の出現にレオは怯むことなく寧ろ好機と思った。
そして、今なら油断していると踏む、未央に対して不意に攻撃を仕掛けた。
「まおーーーーう!!!貴様の首取ったり!!!」
未央はその声でレオの攻撃に気付いたが既にレオの大剣が振りかざされていた。
しかし、未央はその瞬間がとてもスローモーションのように感じていた。
それはサンドルのように時間をスローモーションにしたわけではない。
ただ感覚的にレオの攻撃が余りにも”鈍い”と感じただけだった。
「えっ、何その攻撃?遅くない?」
魔王のステータスを持っている未央にとってレオの攻撃程度は、とてもスローに感じ、避けてくださいと言わんばかりの小技。
しょうがないから反撃するか。
未央はハァとため息をつき、どの黒魔法を使おうかゆっくりと選んでいた。
どれなら死なないで気絶させられるかな・・・。
う~ん、よし!これにしよう!
「黒魔法:黒の衝撃(ブラックショック)!」
未央がその黒魔法を放った瞬間攻撃をしてきたレオの全身に稲妻が走った。
「ぐおおおおおぉぉ!!!」
レオの体は全身黒焦げになり、その場に倒れヒクヒクと痙攣を続けていた。
「ふぅ・・・危なかった。」
「未央様!大丈夫ですか?」
モレクは未央の身を心配する。
「うん、私は大丈夫だよ~」
「それよりこの国の王様の方が心配だよ~」
「早く治療してあげないと・・・」
「―――とその前に王権を回収しようか。」
そう言い、未央はレオの体から青白く光る王権のクリスタルを取り出し、自らの王権に吸収した。
その瞬間このクロヴィスは魔族領の植民地として、王権が認識した。
「よし、私はこれで魔王城に帰るけど~~~」
「この国の統治は誰に任せたらいいかな?」
その辺でぷかぷか浮いている先代の魔王アリスに尋ねた。
「そうだな、一番はリカントだが―――」
「奴には魔族領に関する事務処理をしてもらわないといけないから、モレクがいんじゃないか?」
「う~ん、確かにモレクが今回一番働いてくれたし、信用できそうだね!」
「じゃあモレク君!君にこのクロヴィスの統治を委任致そう!」
そう言って、未央はモレクの肩をポンポンと叩いた。
「あっ、くれぐれも民の身は第一で考えて、悪魔が無暗に獣人を傷つけたりしないように注意してね!」
「ハッ!この身に変えても統治を致します。」
「王様は流石にこのままにしておくわけには行かないし―――」
「とりあえず地下牢に入れておいてね。」
「ただし、最低限の生活環境は残しておいて!」
この戦争における戦死者は0であった。
魔王軍の圧倒的戦力差によって獣人の国クロヴィスはこの日を境に魔族に支配されることになった。
そして獣人の国が魔族に堕とされたというニュースはすぐさま全世界に広がり、他国の王を震撼させることとなった。