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私には秘密がある。……まあ、秘密というほどたいしたものではないのだが。それは……部屋が汚いということだ。

たいしたことではない、と言えばたいしたことはないのだが、やっぱり女としてどうなのだろう、とは思ってしまう。あとけっこう汚い。絶対人を部屋に呼べない。なんか最近、部屋に虫がわいたような気がするので、さすがに片づけようと思うのだが、なかなか行動に移せなかった。

しかし、いつまでもそうは言ってられない。というわけで、今日は覚悟を決めて部屋の片付けをすることにした。まずは床に散らばったゴミから。雑誌やチラシ、ダイレクトメールの類いをぽいぽいとゴミ袋の中に突っ込む。すぐにゴミ袋はいっぱいになった。と、いうより部屋にはすでにいっぱいになったゴミ袋が大量に置いてあった。まずこれを何とかしないといけないのだが、今日ゴミの日だっけ?

と、そんなことを考えていたら、「ピンポーン」とインターホンが鳴った。しかし、私はこういうとき居留守することに決めている。なぜなら部屋を見られたくないからだ。

しかし、今日の相手はしつこくインターホンを押し、ドアをドンドンと叩く。それでも私は無視し続けた。しばらくたつと静かになった。

「あきらめたかな?」

私は外を覗こうと、ドアに近づいた。そのとき、「プシュ―」という音がした。すると、急に意識が遠くなった……



気が付くと私は後ろ手に腕を縛られた状態で床に寝ていた。ガムテープで口もふさがれ、声も出せない。でもここは……私の部屋だった。ガスのようなもので眠らされて、どこかに連れ去られたのかと思ったのだけれど……。犯人は何が目的なんだろう? そんなことをまだぼんやりする頭で考えていて、ふと気づいてしまった。

「!?」

私、服を着ていない! 寝ている間に何かされたんだろうか……。どうにか上半身を起こし、座った状態になる。すると、体のあちこちに何かうっすら黄色い粘液のようなものがつけられていることに気づいた。これはなんだろうと、よく確かめようとしていたとき……

ガサガサッ

私の目の前に、大きなゴキブリが現れた。

「ひいいいいっ!!」

私は思わず悲鳴を上げた。しかし、その悲鳴はガムテープに阻まれ、くぐもった声にしかならない。

ゴキブリはそんな私をあざ笑うかのようにカサカサと動き回る。そして……なんと私に向かって飛んできたのだ!

「いやああああ!」

もうパニックだった。動かない体を必死に動かし、何とかゴキブリから逃れようとするが、縛られているせいでうまく動けない。そして、ゴキブリは私の上半身に飛び乗った!

「ひいいい!!」

私は必死で体を振って、ゴキブリを振り落とそうとした。しかし……

「うぐっ!」

ゴキブリは私の胸の上に着地した。そして、今度は胸の辺りを歩き始めた。

「むうっ! ううー!」

そんな私の悲鳴を無視して、ゴキブリは胸のあちこちを歩き回る。ゴキブリは胸のすぐ下あたりも歩き回ったあと、脇腹やお腹の方へも動き始める。

「ううっ!」

ゴキブリは私の胸のあたりまで来ると、一旦動きを止めた。そして……

「いやッ!」

私の胸の上にとまったのだ!

「むー! むー!」

もう私は半狂乱だった。しかし、ゴキブリはそんなのお構いなしに、私の胸をはい回る。そして、ついに胸の先にある突起にとまったのだ。

「うう……」

ゴキブリは突起から動こうとしなかった。そして、突起のまわりをゆっくりと歩き回る。

「うう……」

私はもう泣きそうだった。しかし、私は覚悟を決め、思いっきり体を揺らした。止まっているのが胸の突起だったこともあり、今度はうまく振り落せた! よかった、と思った瞬間……

ガサガサガサッ!

「!!」

なんと、そこには大量のゴキブリが待ち構えていた。そして、そのままゴキブリたちは私の体に飛び乗ってきた!

続く

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