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「大島君、やっと捕まえた」
ほぼ日参していた総務課の佐藤さんが賢一を捕まえたところだった。
「何か?」
「渡したい書類とか少し聞きたいことがあるので、よかったらお昼を一緒にしながらどうですか?」
この人はずっと気になる人を落とす為にこんな方法をとり続けたのだろうか?
今回は期間限定とは言え自分の恋人で不快感が押し寄せてくる。
「仕事に関することなら今お願いします」
「えっ?あの、書類を持って来てなくて」
「それならメールに添付でもいいですか」
「それは、でも、直接話を」
「俺の昼休憩を無駄にしてまで必要な事ですか?」
「いえ、その」
普段は他人に対してキツい物言いをしない賢一の追及に顔から血の気が引いて行くのがわかる。
「前から思っていたんですが、佐藤さんの仕事の仕方は効率が悪いと気付いてないんですか?もし気づいてないなら、今ハッキリと伝えます。何度も足を運んで頂いていたそうですが、メールで済ませてられるならメールで、メールで対応出来ないのであれはメールで確認をしてもらえれば時間の調整をします」
「メールで送ります」
青かった顔が一気に赤く染まって行く、それは勿論はにかんでの事ではなく、羞恥と怒りだろう。
彼女から恨まれる事で何事も無ければいいけど。
私の心配をよそに秘書課のメンバーが「よく言った」などと声をかけている。
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