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どうにも、うまくいかないものだな。……。
そろそろ、潮時かも知れん。
これ以上、無駄なことを繰り返すよりは……
他の方法を探すべきだろう。
そもそも、こんなこと自体無意味なんだ。
何をやっても変わらないなら、 もういっそのこと諦めてしまった方がいい。
それに、この場所では……いつにも増して思考が乱れるようだ。
どうやらここでは、時間の経過が異常らしい。
ここは、時間が止まっているように感じる。
あるいは……すでに時間は流れていないのかもしれないな。
だが、いくら考えてみても、 ここで起きていることを理解することはできないし、 ここから抜け出す方法もわからない。……。
そもそも私は、どこから来たのだっけ……?……また、新たな断片が見えてきた。
これが私の見ている幻覚なのか、それとも別の何かなのか……それはわからないが、とりあえず記録しておくことにしよう。……少女は笑っていた。
楽しげに笑いながら、道を歩いていた。
空高く舞う、天使のような白い羽……。
しかし、その姿はすぐに霞んでいき、消えてしまった。……少女は泣いていた。
悲しみに打ちひしがれるように座り込み、声を上げて泣き続けていた。……少女は何も言わなかった。
涙を流すこともせず、ただ静かに座って俯いていた。……少女の姿はなかった。
代わりにあったのは、血に染まった黒い染みだった。……少女の声が聞こえた。
だが、姿はない。……少女はそこにいるのに、姿が見えない。
悲鳴を上げていた。身体の内側で、無数の蟲が這いまわっているように……。
だが、それも一瞬のことに過ぎない。
すぐに痛みも苦しみも引いてゆき、後には空っぽの穴が残るだけ……。
その穴を埋めようと、 必死になって他の感情を押し込めるのだけれど……
それは所詮、焼け石に水のようなものだった。
押し込められたはずの感情は、 再び外の世界を求めて暴れ出す。
そうして生まれた隙間を埋めるために、また別の感情を押し込むのだが、 それはただ苦痛を増やすだけの行為に過ぎなかった。
こうして生み出された穴の数は、 いつまで経っても減ることがなく……
結局のところ、わたしの中身は、ずっとこのままなのだ。……いっそ、全部壊してしまいたい。
だけど、そうしたところで、どうせ無駄なんだってことはわかっていたし、 そもそも壊れるほど強くもないっていうことも知っていた。
だから、やっぱりわたしは何もしない。
たとえ何をしようとも……
どんなことがあっても……
この世界が終わることはないんだろうなってことを、心のどこかで感じていて、 それが嫌だったから、余計なことばかり考えていたのかもしれない。……本当は、もっとシンプルに考えるべきなんだろうけどね。
自分の内側にあるものをすべて吐き出したら、あとに残るものはきっとそれだけだと思う。
だって、それ以外に残せるようなものなんてないし、あったとしても意味はない。
それに、本当に大切なものは目に見えないものだから、言葉にしてはいけないんだよ
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