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パァンッ
夢「アガッ」
騎士「はぁっ、はぁっ悪魔め!!悪魔共め!!やったぞ…!やってやった…!!」
ギィ「は?」
状況が理解できなかった。夢が俺に抱きついてきたすぐ後、大きな音が鳴ったかと思えば、夢から赤い液体が流れていた。返り血ではない。夢の血だ。
目の前には拳銃を構えた騎士らしい男が一人。
なんで夢の傷が再生しない?
なんで防御系のスキルが発動していない?
リムル「ギィ!!、夢?!!」
リムル「夢、血が…なんで…?」
騎士「ひ、ヒィッ」
結界は貼り終わった。
ギィに加勢しなきゃな、と思いつつ生存者を確認しながら街を歩いていた。やっと元の場所に戻ってきたかと思うと、そこには苦しそうに生き悶える夢と、ボロボロのギィ。そして騎士らしいやつがいた。
騎士が拳銃を構えた。
パァンッ
俺の頬を掠めた。
前の人間の鎮静化を推奨します。
リムル(あぁ、そうだな)
騎士はその場に眠るように倒れ込んだ。
リムル「何があったんだ?!」
ギィ「…そこの騎士に撃たれた。」
リムル「なんでお前はボロボロなんだよ!!」
ギィ「夢に不意を突かれてな。だが俺は平気だ 」
リムル「ならいいが…」
リムル「夢は?大丈夫なのか?」
ギィ「魔王への進化で寝てるが…」
リムル「簡易だが止血しておく。」
ギィ「あぁ。」
暗い。寒い。痛い。
ここはどこ?ギィは大丈夫なの?
体の感覚が妙に研ぎ澄まされている。
体が変わっていくのを感じる。
種族、天間から上位種族、天神華への進化__成功しました。
成功に伴い、魂の器を再編成__成功しました。
各種スキルが進化に挑戦_成功しました。
究極能力、防御神乱が進化に挑戦_成功しました。
進化に伴い、究極能力防御神乱は究極能力、護神殺技を獲得。
夢「…魔素、魔力の器の強化を申請」
受理しました。個体名夢が身体の強化に挑戦。
__成功しました。
進化に伴い、新たなスキルの獲得。
夢「これで終わり…?」
その途端、視界が明るくなり、体温が温かくなった。
夢「んん…、」
ベェルドラ「お?夢よ起きたのか」
夢「ベェルドラ…?」
長い間、寝ていた気がする。目覚めるとそこにはベェルドラがいて、私のいつもの部屋にいた。
ベェルドラ「今リムルを呼んだぞ」
夢「リムル…」
眠る前の記憶を辿る。私は…人間をみんながいた国を…ギィを。
壊してしまった。
人間やギィ、魔王達に嫌われたって仕方がないことをした。
それでもリムルは私をここに…。
リムル「夢!!」
夢「リ…ムル」
ベェルドラ「我はダンジョンに戻るぞ」
リムル「おう、ありがとな」
リムル「夢、おはよう」
夢「うん…」
リムル「体調は?どっか変なとことかないか?」
夢「うん…」
リムルは私が寝ているベッドに近づいて、ぎゅっと私を抱きしめた。
リムル「大丈夫だからな。」
夢「うぅ…(泣)」
涙が溢れる。悲しいわけじゃない。何故か溢れ出す。
そんな私を見てリムルが「よしよし」といって頭を撫でてくれた。
夢「ごめんなさい。ごめんなさいッ」
リムル「事情はギィから聞いたよ。大変だったな。」
夢「ギィ!!ギィは大丈夫なの?!」
リムル「ギィか?大丈夫だけど…呼ぼうか?」
夢「良かった…。」
リムル「って言っても白氷宮からだからちょっと時間かかるけど…」
夢「…」
リムル「どうする?」
夢「呼んでくれる…?謝らなきゃ」
リムル「分かった」
リムル「連絡するから待っててくれ」
夢「私も行く」
リムル「夢はまだ動くなって…」
背中が痛い。白い包帯に血が滲む。再生しない。なんで…?
リムル「傷口…また開いたな。待ってろよ、医者を呼んでくるから」
夢「なんで…再生しないの…??どうして…」
リムル「…お前が撃たれた弾丸がたまたまある花の毒が使われててな…。それが、天間にとっての弱点なんだ」
夢「花の毒…」
リムル「…再生はしない。自然治癒で治るだろうが痕は残ると思う」
リムル「だからもう少し安静にしていてくれ。」
夢「うん…」
その後リムルが呼んだ医者に再度傷口を縫ってもらい、「絶対安静」と怒られた。リムルからギィが明日の午後には来ると連絡を受け、明日の午後までリムルと話していた。
リムル「なぁ、夢」
夢「なぁに」
リムル「お前はどうしたい?」
夢「、」
リムル「今は暴れまわる魔人を魔王二人掛かりで止めたと言われてるが…」
リムル「俺やギィからは何も公表していないから、噂にすぎないが…」
夢「…私は…どうしたらいいの…(泣)」
分からない。やってはいけない事をした。たくさんの人が死んだ。一つの国を滅ぼした。なんの考えもなしに。どう処理するのが正解なのか、私には分からない。
泣いてても何も変わらない。でも、そんな私をリムルはずっとなだめてくれていた。
復讐なんてしなくても、私は満たされていたことに今気がついた。血の繋がりも、なにもないのに私を家族のように扱ってくれて、愛してくれる人がこんなにもいるのに、私はそれを捨てる覚悟で勝手なことをした。
リムル「すまん。今聞く質問じゃなかったな。」
夢「うんん、ごめんなさい(泣)」
リムル「そんなに泣かなくていいって、また傷口が開くだろ」
もう寝ろと言い私を横に倒した。いつまでも泣いてる私を見てリムルは寝るまでトントンと胸を叩き、手を握ってくれていた。