テラーノベル
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小さい頃から人の目を見ることが苦手だった。
目が合えばすぐに逸らしてしまう。
前を向けば誰かと目が合ってしまう。
だから次第と大人になるにつれ、顔が下へ向いていった。
いつしか社会人になり、就職に向けて面接をしていたがこの性格なもので、どこも不採用続きだった。日は暮れ、アパートへ帰るために、 公園を通る時だった。遅い時間まで遊んでいる子供を見て無邪気でいいなと思った。
子供がこちらを向くと私はすぐに目を下に逸らした。
目が怖い。
あの目が何を伝えているのかが分かるような気がしてたまったものではなかった。
するとその子供がこちらへ駆け寄ってきた。
何か言われるかもしれないと私は何も見ていないように、左ポケットにあるスマホを咄嗟に取り出してスマホを見ているかのように見せた。
それでも子供は近づいてきた。
あぁ、もうダメだ。何か悪口を言われるんだろうな。子供だから躊躇ないもんな。
と思った。
そしてその時がきた。
「ねぇ…ぼく、変? 」
突然の質問に言葉が詰まった。
予想していた言葉とは違ったからかもしれない。
少しその場で考えて頭に出た私の回答がこれだった。
「別に…別に変じゃないよ。」
子供の方をチラッと見ると目からちょっと涙が出そうになっていた。
「え…な..泣いてるの?」
「うん..泣いてるの…やっぱり僕って変だよね…」
訳が分からなかった。
変じゃないと言ったのに変だと子供は勘違いしたのだろうか。何か言い方が悪かったのかとふと自分の言った言葉を思い返してみるとちょっと思い当たることもあった。
「ぼくってさ…いつもみんなから変な目で見られるんだ…ヒソヒソ話ながらこっちを見て…ぼくがこっちを見ると目を逸らすんだ…僕って嫌われてるのかな…?」
私とは違う目の逸らし方だった。
でも、どちらも同じ目の逸らし方だと子供は認識している。
「そんなことないさ…」
「…本当?」
「お兄さんも今とっても悲しいんだ。君と同じ理由ではないけど、でも似てはいるんだ。だから分かる。君の気持ち…それに君は私よりも立派かもしれないよ。」
「どうして…?」
「それはね、こんな私に声をかけてくれる勇気があったからさ。」
勇気ある子供、自信を持つ大人、どちらともしっかりと、目を逸らさず見ていた。
それから2人の人生は少しだけ変わったそう。
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