テラーノベル
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金曜日の放課後。
下駄箱へ続く廊下、人通りはほとんどない。
帰ろうと歩く僕の背中に、強く名前が響く。
滉斗『元貴!』
無視する。
帰るだけだ。
そう思って歩き続ける。
だが、突然、腕を掴まれ、
強く後ろへ引かれた。
元貴『痛っ……っ』
若井が、僕の腕をすごい力で掴んだ。
滉斗『…ふざけんなよ!』
そのまま、容赦なく壁に押し付けられた。
元貴『……何、するの』
睨みつけようとした瞬間、
若井が勢いのまま、唇を僕の唇に強く重ねた。
元貴『んっ……!』
頭が真っ白になる。
意識がショートしたみたいだ。
もがこうとしたけれど、逃げられない。
両手を若井の大きな手で塞がれて、
暴れることすらままならなかった。
呼吸が苦しい。
涙がまた溢れてきた。
なのに、心のどこかで、
待ち望んでいた気持ちもあった。
キスが長く続いた後、若井が唇を離す。
元貴『……離せよ…っ、//』
涙で曇った目のまま、精一杯若井を睨みつける。
でも、頬は火のように熱く染まっていた。
元貴『なんで、そんなこと……いきなり…』
抵抗しようとする僕の肩を、
若井は乱暴なほど強く掴んだ。
滉斗『お前、何も分かってないだろ、
……ちゃんと聞けよ、元貴』
いつになく強い口調だった。
若井の目は、怒りと、苦しみ、
そして何か決意のようなものをたたえている。
滉斗『…俺だって限界なんだ、
お前に冷たくされて、無視されて、
軽蔑するみたいな目で見られて…
だけど、本当のことも、
聞いてくれなかったよな?』
僕は返事ができないまま、
ぐっと唇を噛みしめた。
肩が小さく震える。
滉斗『……俺はお前だけが好きなんだよ、
他の誰でもない、
涼ちゃんにははっきり断ったし、
お前のことが一番大事なんだよ、
なのに、どうして信じてくれなかった?』
怒りに滲んだ声。
だけど、その熱に、胸が苦しくなる。
元貴『……本当に僕、だけ、?』
滉斗『何度でも言う、元貴、お前だけだ』
涙で霞んだ視界も、
若井の瞳だけははっきり見えた。
コメント
6件
うわぁぁぁん久々の会話ぁぁ……もう仲直りしてくれぇぇ…😭 主さん私知ってるんですからね55話らへんから色んな意味でやばいって…(前仰っていたので)知ってるんですから…!!!(←だから何)
うわぁぁ…もうどうなるんでしょう、ほんとに… (初コメがこんなのですみません)