鳥子が首を傾げる。
「なんのために?」
「いや……ほら、お腹空いたし」
「えー、またぁ?」
「だめかな」
「別にいいけどさあ」
私たちは今、小桜屋敷にいる。正確には、屋敷の敷地内にあるガレージだ。
ここに来る前に立ち寄ったコンビニで買ったパンを食べて、お茶を飲みながら、私たちはしばらくぼけっとしていた。ガレージの中には私たち以外に誰もいないから、沈黙が心地よかった。
そういえば、この前、巫女姉のお兄ちゃんを見たよ。あの人、いつも忙しそうなんだよねー。あぁいう人が将来出世して偉くなるのかしら。……ん? いや、ちょっと待って! 今さらだけど、どうしてあいつがここにいたの!? えぇっ!? さっきまで気づかなかったけど、なんでこんな時間にこんなところにいるわけ!? あっ、ほら! 今もなんか変なこと言ってるし! なんだよ、「俺はお前たちの敵じゃない」って!! もうそれただの変人じゃん!!! しかも、よく見たらあいつが着てる服、うちらの学校の制服だし! はっ? なんでそんなもん持ってんの!?……ふふん♪ やっぱり、あたしの推理通りね! あれは絶対、巫女姉のストーカーよ! 間違いないわ! あんなのがいるから、巫女姉は最近ピリピリしてるんだろうなぁ……。
よし、決めた! 巫女姉のためにも、ここはひとつガツンと言ってあげようっと!……でも、どうやって? まずは、こっそり後をつけてみましょう。それで相手の出方を見てみるしかないわね。……よし、行ったわ。今のうちに、巫女姉に連絡しないと。
「もしもし、巫女姉?」
『……』
「ねぇ、聞いてる? 巫女姉ったら!」
『……』
おかしい。電話の向こうからは、いつもと同じ声が聞こえてくる。
今日こそは、お弁当を作ってくると言ってくれたのに……。
何かあったのかしら……心配ね。
さぁて、今日は何を作ろうかしらねぇ〜! おーい、みんなー。
今からみんなでお買い物行かないかい? ほれほれ、そんな暗い顔してないで行こうよ。
なんだよー、つれない奴ばっかだなあ。
あたしだけ仲間外れにする気!? じゃあいいわよ、あたしも一人で行くわ。
あら? そこにいたのね、ごめんなさい。
すぐ終わる用事なのだけれど、少し待っていてもらえる?……そうよね、貴方は私を待ってくれる人よね
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