テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ある日、祐希が練習から帰宅すると、テーブルの上に封筒が置かれていた。
「……これ、藍の字?」
リビングを見渡すと、当の本人は照れた顔でソファに座っている。
「……読んで……?」
「何? ラブレター?」
「……ん。声に出しては言えないから、書いてみた」
不思議そうにしながらも、封を開けて読み始めると――
『祐希さんへ。
今日もすっごくかっこよかったです。
実はちょっと、面と向かって言い出せなくて、なので、書くことにしました。
祐希さんが隣にいると、安心して甘えたくなる。
俺、祐希さんのことが、ほんとうに大好きです。
だから、これからも……たくさん甘やかしてください。
ずっとずーっとわがまま言わせてください。
藍より。』
「……」
祐希は手紙を読み終えて、ゆっくり藍を見た。
「なにこれ。可愛すぎるんだけど」
「……言うの恥ずかしかったの」
「じゃあ今、言わせてやる。ほら、『ゆーきさんのことが好き』って言いなよ」
「むー……ずるい。読んでくれたなら、わかってよ」
「……仕方ないな、よしよし」
「……甘やかしてくれる?」
「もちろん」
言葉で伝えたわがままは、しっかり祐希さんに届いた。