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バスルームの湯船に浸かる祐希の背中に、ふわっと柔らかな気配。
藍が、そっと後ろからくっついてきた。
「……こーら、藍、湯船でくっつくなって言ってるだろ」
「だって……ぎゅーってしたかったんだもん」
「だもんって、お前……」
「ダメ……?」
背中に感じる、素肌のぬくもり。
祐希の耳元で、わざと息をかけるように囁く。
「ねえ、祐希さん。逃げないでよ。俺、甘えたいんだから」
「……逃げてねぇよ」
「ほんと? じゃあ、ぎゅーさせて」
「……好きにしろ」
ぎゅっとしがみついて、首に頬を寄せて、
甘える藍の気配に、祐希の肩も緩んでいく。
「……こうしてると、全部どうでもよくなるね……祐希さんの背中だけで、もう満たされる」
「……お前、ほんと反則だよな。甘え方が」
「えへへ、知ってる」
お湯の音と心臓の音が、重なる夜。
恋人の体温は、何よりも深く優しかった。