「湊ー。メシ食おうぜ。」
はぁ、
またうるさいヤツが来た。
実はこいつと僕は幼なじみ。腐れ縁だ。
たしか、こいつと出会ったのは、
「今日から、お隣に住むことになりました、霧谷(きりたに)と申します。よろしくお願いします」
「いえー、こちらこそ!」
今日から、僕が住んでいるのマンションの隣に引っ越してきた人と、お母さんが挨拶を交わしている。
「ほら、湊、挨拶しなさい。」
お母さんが、ポンっと背中を叩く。
「獅子野(ししの)湊です。よろしくお願いします。」
ん?お隣さんの後ろに、誰かいる、?
「ほら、颯馬も挨拶しなさい?」
チラッと様子を伺っているのか、なんにも喋らないそいつ
「ほら、颯馬?」
「き、きりたにそうまです、」
僕よりもちっさいそいつ。声も高くて、一瞬、女かと思った。
「では、今日からよろしくお願いしますね」
「ねぇ、」
つんつんと、背中をつついたそいつ、じゃなくて、颯馬
「何、?」
「その服、カッコイイね、」
っ、!
そんな、ウル目で、言わないでくれっ、
「うん、ありがとう、颯馬、」
名前で呼ぶと、パァァっと顔を明るくさせる
「えっと、みなと?くん。よろしくね、」
「うん、」
その日以来、結構な頻度で遊ぶようになった。
そして、こいつを嫌いになったのは、小5らへんの頃。
「まぁ!凄いわ!颯馬くん!また100点ね!」
くっ、また、僕よりも上の点数、
颯馬は、俺よりも背が高くなり、声変わりも早かった。
「凄いよねー!颯馬くん!」
「本当!羨ましい!」
前まで僕が1位だったから、勝手に、僕が「頭悪い」と言われているような気がして、嫌になった。
「湊ー!何点だった?」
颯馬が勝手に覗き、「あ!95点だ!」と、言った
「すげーじゃん!」
は、?凄い、?
1位のお前に言われても、バカにしているようにしか思えない。
_________その日から、こいつのことが、大っ嫌いになった。
中学に上がると同時に、僕は、引っ越した。
父の仕事の都合で。
正直、僕にはありがたすぎた。
中学は、小学校よりも勉強、運動で比べられると思う。
だから、あいつとは居たくない。
あの日以来、アイツを避けることが多くなった。
一緒にいるだけで、空気が重くなるような気もしていた。
だから、アイツとは、、
中学に入ると、僕はみんなよりも上で、優越感が溢れている。
もちろん、告白されることもしばしあった。
でも、今恋人が出来たら、勉強に集中出来ない。
今は我慢だ。
「入学生代表、霧谷颯馬。」
っえ、?
鈍器で殴られた様な衝撃がはしる。
いや、同姓同名の可能性だってある、
「皆さん、ご入学おめでとうございます。」
っ、嘘だろ、?
なんで、
また、こいつに、抜かされるのか、?
「あっ!湊っ!」
入学式が終わり、帰ろうとしたら、颯馬が駆け寄ってきた。
「誰ですか?」
知らないフリしとけば、なんとかなるよな、
「俺、ずっとお前を探してた、やっと!見つけた、」
は?僕を、?
「うるさい、極力、僕に近づくな。」
いつもより低い声をだし、玄関方向へ小走りで向かう
次の日
「湊ー!おはよう!」
なんで、こいつが僕の家の前にいる、
住所教えたっけ、
「昨日の意味が分からなかったのか?」
「あぁ、分からない。」
は?こいつ、入学生代表ってことは、僕よりも頭良いって事だろ
「俺、何したか知らないけど、お前と仲良くしたいんだ、」
なんで、そこまで、
「お前、だって、俺の1番目の友達だからさ、」
嬉しそうにニコッと笑った颯馬
っ、?!
無意識に、その笑顔が、「可愛い」と思ってしまう、
いや、気持ち悪いだろ、
てか、僕が、1番目、
悪い気はしないと思ったのは、心に溜めておこう、
「あっそ、じゃあ、僕は学校行くからな」
「あ、おい!待って!」
まぁ、避けるのは、可哀想だから、話すくらいなら、いいかな、
そう言ったら、調子にのりそうだから、言わないでおこう
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