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肉に埋もれたココロ

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肉に埋もれたココロ

1 - 第1話

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2025年06月14日

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その日は、しつこく風が吹いていた。

教室は三階。毎日重い足を上げて、そこへ向かう。

そしていつも、登る段数が減るに近づいて、心臓は鈍った鳴き声を出す。


戸を引くと、いくつかの視線。

その中には忌むような目線が、静かに私のうなじをなぞる

席に着くと当たり前のように、虫の死骸が置かれていた。

それを見た私の淀む表情に、教室のどこからか笑う声がする。

私は生気がごっそりと抜けた亡骸を睨む。

萎れたからだは惨めで、凹んだアタマは元に戻らない程に歪んでいる。

あなたは最後に何を見たの。

あなたは命が終わって、なにか始まってるの。

薄茶色の机の上に小さくたたずむ姿は、どこかしおらしかった。


私は虫を食べた。

すると女たちが、怖気付いたのがわかった。



 制服は平等を表す。私はこの平等が憎い。

制服を買うお金が無かった私の家庭には、学校が寄付を募り、集まった資金により制服が渡された。

いわゆる公平だ。これが。

なんと皮肉なことだ、ひとつの平等を叶えるためには、望んでもない公平の土台を、私には寄せてもらえるのだ。

そして、その平等も時間の問題。

ひとつのラインを定めることは、逆に、少しのズレを際立たせる。

洗濯もできず、縫えもしない穴が制服に刻まれていき、それは次第に増していく。

ほら、平等なんて私で崩れた。

たやすいでしょ?思ったよりもずっと。


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