※ぼんさんサイド
※2日遅れのホワイトデーです。
ほんと遅くなってごめんなさい。
『ホワイトデー、楽しみにしててね。』
1ヶ月前に言った自分のセリフを恨む。
なんであんなキザっぽいセリフ言っちゃったかなぁ…
明日に迫ったホワイトデーのことを考えて頭を抱える。
楽しみにしててって…何したらいいのよ?
まあ寝起きで頭が回ってなかったからがっつり本音言っちゃったんだろうけど。
にしてもあのときのおらふくんかわいかったな。
隠せてると思ってるんだろうけどね。なんか感じ取っちゃうよね。
それに飴渡す意味、俺が知らないと思ってんのかな。
なんか初々しくてかわいいんだよなー。
ただまあ、それが後輩かわいいって感情なのかそうじゃないものなのかは俺もよくわかってないんだけど。
「おらふくん、はいこれ。」
そして半ばそわそわしながらホワイトデーの朝。
「え?クッキー?」
「うん。だって今日ホワイトデーじゃん。」
「いやそうやけど…おんりー渡した側じゃん?わざわざ作ったの?」
「うん。俺はおらふくんからもらったし。クッキー作ってみようかなーと思っててちょうどよかったからね。」
「わあ、めっちゃ美味しそうやんか!ありがとぉ。」
「ふふ。」
「あ、でも僕なんも持ってきとらんよ?」
「いいよ、これは俺の自己慢みたいなもんだし。後で感想聞かせてね。」
「うん、わかった。」
「あれ?ぼんさんだ。」
「っぅえ?!」
「あ、いたいた、おらふくーん。」
ドアの方を見ればぼんさんがこちらに手を振っている。
周りが二年生ばかりの中にいるから、もともと背が高いのが尚更目立つ。
あらぬ期待をしないように、浮かれすぎないように、気を付けて側へ向かう。
「どうしたんすか?わざわざ朝にここの教室来るなんて珍しいですね。」
「ちょっと今から用事ができちゃって。早退することになったから今日の部活出れないって伝えようと思って。」
「あ、あぁ…そうなんすか。」
「なになに?寂しい?俺がいなくて。」
「さ、寂しいですよそりゃあ!だって…」
僕があの部活に入ったきっかけは…と、言いかけて慌てて口を閉じる。
「だって?」
「だ、だって、ぼんさんがいなかったらmenのボケとか誰が拾うんすかぁ!」
「えー?そこはおらふくんが頑張ってよ。」
「誰がヨドバシカメラの歌なんてわかるんすかぁ!」
「あははっ!あーれはね!知らなくてもしょうがないかな?さすがに。」
「そうですよ!逆になんで知ってんすか!」
「まあまあ、とにかくおらふくんは俺がいないと寂しいのね。うんうん。」
「いや、それはっ….寂しい、ですけど。」
「…ふふ、かわいいなぁほんと。」
「なんですかかわいいって。僕男っすよ?」
「いやぁー、まあなんかね。うん。なんとなく思っただけ。」
「な、なんなんすかもう…」
そして予鈴がなった。
「…あ、そろそろ教室戻らんと…もうだれも廊下おらんし。」
「そーだね。」
「じゃ、じゃあぼんさん….」
「あ、その前に。」
「?」
「目閉じて。」
「なんでです?」
「いいから、はーやく。」
「は、はい。」
言われるがまま目を閉じる。
なにかをカサカサ開ける音がする。
「はい、あーん。」
そして言われるがまま口を開けると、何かしらが舌の上に乗せられる。
「あー….?ん、む…む…飴?」
「そ。今日ホワイトデーだし?楽しみにしててねーとか言ったけどこれくらいしか思い付かなかったのよ。ごめんね?」
「い、いや…ありがとうございます。」
「じゃ、いってくるね。」
ぽんぽん、と頭に手を置かれる。
悪い気はしない。むしろ心地いい。
「…はい、いってらっしゃい。」
「あ、それ何味か当ててね!」
「え?あ、は、はい!」
「ん、じゃね!」
と、引き留める間もなく去っていった。
振りかえした手から力が抜けていく。
「…あ、味?….あ、あれ?わからん…」
口の中で必死に転がすも、混乱しているせいか何の味なのかはっきり分からない。
それに飴の方はバレンタインって言っとらんのに。
「….ていうか…ぼんさん、意味知っとった….!?」
もうぐちゃぐちゃだよ。
「どこ行ってたんです?ほんとにもー!間に合うかなぁ…」
「ごめんごめーん。」
おらふくんと別れた後。
今俺はねこおじの車で移動している。
「…ふふっ。おらふくん今頃混乱しているだろうなぁ…」
目をぐるぐるさせながら必死に飴を転がすおらふくんの姿が浮かび、思わずにやついてしまう。
「なににやにやしてんすか?ぼんさん。」
「いーや、べーつに。」
「てか、ぼんさん自分が応募して入賞したのになんで表彰式あるの忘れちゃってるんですか。」
「いやー、うっかりうっかり。menがうちの教室呼びに来てくれんかったらまじでやばかったわ。」
「どーせ、他のことに現抜かしてたんでしょ?」
「ぎぎぎくっ?!やや、そんなことは、な、いよ?うん。」
「図星なんですね…」
「いやー….まあ、青春してるわ、俺。」
「え、なんすかなんすか?やっとキスでもしました?おらふくんと。」
「はっ….?!?!な、ななななんで、そ、んなの、早…?!」
「え?もしかしてやっと付き合った感じです?」
「いや、付き合ってる…てわけじゃないと思う。」
「はい?でも、お互い好きなの分かってるんですよね?」
「バレンタイン・ホワイトデーの飴の意味は『あなたが好き』だからね。飴の味あてて?って言ったからなぁ…今頃頑張ってるんだろうなぁ…ふふ。」
「…もしかして言葉にしてない感じです?」
「え?うん。」
「はぁ…この会終わったらさっさとおらふくんのとこ行ってあげてくださいよ?」
「お、おう。」
「んでさっさと全部言葉にしちゃってください。見てるこっちがもやもやするんで。」
「は、はぁい…」
「てことで、表彰式終わったらぼんさんフリーでいいですよね?ねこおじ。」
「もっちろんいいですよ。一日公欠扱いなんで。」
「じゃあ学校が終わるまでに何て言うか一緒に考えてあげますんで。しっかりしてくださいよ。」
「お、おう。てかなんでmenがそんなにやる気なのよ。」
「そんなの!二人がなかなかくっつかないからに決まってるじゃないですか!」
「うお、びっくりした。どしたどした急に。」
「ずっと思ってたんですよ。なんでこの二人どっからどう見てもお互いに矢印飛ばしてんのにくっつかないのかって…」
「え、そんなバレバレだった?」
「やっと分かりました。人間、長く一緒にいると言わなくても伝わってると思いがちなんですよね。」
「は、はぁ。」
「てことで、頑張ってくださいね。」
「え、な、何て言ったらいいの…?」
たしかに全部伝わってるってどこかで思ってたけど。
改めて言葉にするのってどうしたらいいのか全然わかんねぇや。
「それは式が終わってから考えてくださいぼんさん。ほら、着きましたよ二人とも。」
「あ、ねこおじ運転お疲れ様でした。」
「はーい。てかぼんさん、おらふくんに何味の飴あげたんです?」
「んー?えっとね…これ。」
さっきの飴の袋。
《ミックスフルーツ味》
「うわぁ…おらふくん絶対混乱してますねこれ。」
「だからぼんさんずっとにやにやしてたんですか。」
「そゆこと。ぜーんぶ混ぜちゃったくらいがちょうどいいからさ、俺の気持ちなんて。」
そう、だから隠そうとしてたのにね。
おらふくんから来てくれたんなら受け入れないと。
コメント
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あ、神😇✨💕 あと、どっちも両思いなの好こ (初コメでタメ語すんませんしたぁぁぁ! )
圧倒的なる神様降臨 大丈夫ですよ!!! ホワイトデーって思っとけばホワイトデーなので!!←ごめん何言ってんの?