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茫然としているとギシッとシートが鳴った。真衣香の顔の横に、八木の手が置かれたからだ。

どこを見ればいいのかわからずその手を眺めていると、頬がくすぐったさを感じた。

何だろうと上を見ると、長さのある八木のサイドの髪が真衣香の頬に触れていた……その為の刺激だった。


「ほん、本題って……八木さん?」


熱い吐息が真衣香の鼻先に届いた。唇が触れ合ってしまいそうな距離で、八木の声が聞こえてくる。


「今日はいつまでもウジウジめんどくせぇお前に振られに来てやったんだよ、俺は」

「え? ふ、ふられ……?」

「あ? 前も振ったろって? アホか、あんなもんで納得するかよ、お前男舐めんなよ」


驚きのあまり声が出ない。八木のセリフにも、この体勢にも。


「おい、押し倒されてんの、お前。状況わかってるか?」

「な、お、おし、押し倒され……て?」

「反応遅せぇよ。振られてやるから、俺が納得できる、それ相応の理由な。早く言え」


低く掠れた声が真衣香の耳をくすぐって、膝の辺りまで捲れ上がっていたエンジ色のロングスカート。八木が、それを更に捲し上げてきて、スルリとタイツ越し、太ももに手を滑らせた。


指先に力を込めて、けれど壊れ物を扱うようにやんわりとつたう感触。

ぞくぞくと背中に刺激が走った。


「ひゃ……!? な、や、八木さん、ふざけないで下さいっ」

「ふざけてお前に手出すと思うかよ?」


八木は囁き、真衣香の首筋に唇を這わせる。少しだけ触れる舌先が鎖骨にまで降りてきた。


「や、やだ……」

「嫌なら早く、納得させてみろって」


八木は密着させていた身体を少しだけ起こして、真衣香の肌を愛撫していた舌をペロリと出し、自らの唇を舐める。


そして、ジッと見下ろしてくる瞳が。真衣香を見据え、月明かりと共鳴するように……ギラリと光った気がした。

いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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