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「雅輝、江藤さんと話し合いをしている途中なんだ。邪魔するなよ」
橋本のセリフに、宮本が信じられないといった表情を浮かべた。
「邪魔って……。俺は邪魔するつもりは全然なかった。江藤ちんが陽さんを責めてるのを見て思ったんだ。俺だって、悪いところがたくさんあるのにって」
「そんなのお互い様だろ。それに俺はおまえよりも年上で、リードしなきゃいけない立場なんだ。その俺がこうして注意を受けてる現状は、どう言うことかわかるだろ?」
説得する感じで話しかけたというのに、宮本は渋い表情のまま首を横に振る。
「雅輝、どうしてわかってくれないんだ?」
「江藤ちんはただの友達で、第三者だからだよ。俺たちの付き合いに、首を突っ込むべきじゃないと思ってる」
きっぱりと言いきった宮本のセリフを聞いて、江藤は満足げに微笑みながら口を挟む。
「そう思っていたなら、話し合いの冒頭で反論しろよ。というか雅輝としては、橋本さんの本音を聞きたかったっていうのもあるんだろうけど」
江藤はやれやれという感情を表すように、ひょいと肩を竦めてから、宮本の頭を軽く小突いた。
「そんなの聞かなくたって、陽さんの本音くらいわかっていたよ。江藤ちんの剣幕に、ちょっとビビっちゃっただけ」
「おまえらしいというか、本当にマイペースだよな。あとは、橋本さんに任せることにする。それじゃあお邪魔しました!」
見惚れるレベルの笑顔を振りまいた江藤に、橋本が釘付けになっていると、大きなものが橋本の両目を覆った。
「じゃあね、江藤ちん。音信不通にならないように頑張るから」
背後で宮本の声が響いたことで、大きなものが恋人の手だというのがわかった。
扉の閉まる音がした途端に、視野が解放された瞬間、ふたたび大きなものが橋本の視界を塞いだ。押しつけられる唇の熱に、心臓が早鐘のごとく鳴りはじめた。
(ああ……俺は本当に、コイツのことが好きなんだな――)
唐突になされた奪うようなキスに、橋本はされるがままでいた。痛いくらいに肩に食い込む宮本の両手の力や、密着しているところから伝わってくる温もりは、言い知れぬ不安に苛まれていた橋本を、心の底から安堵させるものになった。
「雅輝っ……」
唇が離れかけた瞬間、引き止めるように名前を呼びかけた。同時に右手で宮本の頬に手を添える。
「陽さん……」
顔の角度を変えた宮本が、ふたたび唇を押しつける。ぬるりと侵入してきた舌に、自分の舌を容赦なく絡めた。自分が言わなくても、してほしいことを悟ってくれた恋人を感じさせようと、深く舌を絡ませながら、宮本の上顎のラインを舌先で擦るようになぞってやる。
「んぅっ!」
唇から漏れ出た声を聞いて、舌を更に出し入れさせてみた。ぬちゅぬちゅという水音と、宮本の甘い吐息が部屋の中に響き渡った。
もっと感じさせようと顔の角度を少し変えた途端に、橋本の額に宮本の右手が添えられ、ぐいっと引き離されてしまう。
「陽さん、こんなことされたら、話ができないじゃないか」
「最初に仕掛けてきたのは、おまえからだろ。止めるなよ」
キスで感じたであろう宮本の大きくなったモノを、ズボンの上から掴みあげ、刺激するように握りしめてやった。
「くっ、駄目だよ! 今はこんなことしてる場合じゃないんだ。きちんと話し合わなくちゃ」
「何を話してくれるんだ?」
その内容によって、掴んでる手を離してやろうと考えた。
「俺が悪かったって話。陽さんにいろいろ注意されてたのに、俺ってば何もせずにいたでしょ。これじゃあ結婚されないばかりか、嫌われて当然かなって思ったんだ」
(なるほど。だから手っ取り早く、室内の物を片付けて、スッキリさせたわけなんだな――)
「偉いじゃないか、見直したぞ」
「ほんとに?」
「ああ。ここに来たときに、部屋が広く感じたからな。ちょっとだけ見直した」
「ちょっとだけ?」
「そりゃそうだろ。俺のメッセージを既読スルーしやがって」
橋本は拗ねた素振りをしながら、宮本自身を握りしめている手の力をちょっとだけ込める。