テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
14
気がつくと、朝になっていた。
なんとなく体がダルくて熱っぽい感じがする。
やっとの思いで起き上がって、リビングに行く。
学校に行けそうにないから、母親に学校を休むと伝えて、部屋に戻ろうとした。
「今日、お父さんもお母さんも居ないけど大丈夫?」
そんなことを聞かれたけど、特に心配することはないと思って、首を縦に振るだけして立ち去る。
少し悲しそうな顔をした母親が見えた気がしたけど、気にしないことにした。
学校に行かないで、家にいるだけだとやることがなくて、なんとなく机に向かう。
しばらくすると、一つの曲が浮かんで、白紙の紙に書き込んでいた。
作詞・作曲両方が終わった頃には、いつの間にか少し日が落ちていた。
しばらく、ボーッとしていたら、玄関のチャイムが鳴った。
普段は滅多にならないから、少し驚きつつも、ダルい体をなんとか引きずって扉を開ける。
そこには、莉犬とジェルくんが居た。
「るぅちゃん、体調大丈夫?」
心配そうに言う莉犬。
「無理したらアカンで。」
さり気なく僕の体を気遣ってくれるジェルくん。
こんな二人がそばにいるなんて、僕にとっては幸せなことこの上ないけど、今はそれが余計に苦しくなるだけ。
僕は、
「大丈夫ですよ。」
とだけ言う。
そんな僕に二人は違和感を抱いていたのか、
「るぅちゃん、最近変だよ。」
「何かあったん?俺らが相談に乗るで。」
なんて口々に言ってくる。
相談?今の僕の相談に乗ったって、何も変わらないのに…
僕は気がつくと、気持ちをぶちまけていた。
「簡単に言わないでください!!」
「僕の気持ちは、二人には分からないです!!」
「相談したところで、何も変わることはないの!」
「だから_、僕にあんまり関わらないでください。」
僕の言葉を聞いた二人は呆気にとられている。
「今日は、帰って下さい。」
静かに扉を閉じて、すぐ近くにあった、ソファに座り込む。
「やっちゃったなぁ、」
折角、僕のことを心配してきてくれたのに、あんなことを言ってしまった。
もしかしたら、取り返しがつかないことをしてしまったのかも知れない。
でも、僕は一年後に死ぬから。お互いにとっては、それがいいのかも知れない。
余計に周りを悲しませる必要がなくなる。
そんな事を考えていると、またチャイムが鳴った。
おずおずと扉を開けると、今度はころちゃんが居た。
「るぅとくん、大丈夫?」
純粋に心配してくれることが嬉しい。この前まで、自分は死にたいとか言ってたのに。
「入ってもいい?」
僕は、無言で頷く。
ころちゃんが家に入って、少し無言の状態が続く。
沈黙が気まずくなって、僕はなにか話すために口を開こうとした。
それを遮るように、ころちゃんが言葉を発する。
「るぅとくんは、幸せ?」
急にそんなことを言われて、戸惑ってしまう。
「僕の家族のこと、前に話したじゃん。」
僕は、無言でころちゃんの話に聞き入る。
「家族ともう一度、話してみようと思って。」
「るぅとくんの音色に、背中を押された気がしたんだ。」
「るぅとくんは、幸せ?」
「るぅとくんの音色は、たしかに優しかった。」
「だけど、同時に寂しそうな音色を感じた。」
まさか、ころちゃんに聞き取られるなんて、思ってもなかった。
ころちゃんになら、僕の病気を話してもいいのかな?
それで、離れていってしまったらと思うと怖くて。やっぱり言い出せない。
「僕は_。」
「幸せですよ。」
それだけ言って、また沈黙が続く。
僕は、良い家族に恵まれて、良い友達にも恵まれた。
これ以上、幸せと呼べることはないと思う。
でも、友達を突き放した。
自ら選んだ行動だから_、仕方がない。
「そっ、か。」
「今日は、帰るね。」
ころちゃんはそう言って立ち上がる。
あぁ、友達が居なくなっちゃうのかな?
嫌だ、行かないでッ!そう思ったけど、声に出なかった。
急に動悸に襲われて、視界が歪んでいく。
ころちゃんが驚いて、必死に僕の名前を読んでいる気がしたけど、僕の意識は途切れた_。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!