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セレスティアの淡い金色の髪がふわりとなびく。

彼女は目を丸くさせ、思わずその人影--少年の姿に視線を止まらせた。

自分と同じくらいの年だろうか。

少年が、広場でひとり剣を振るっている。

その俊敏かつ流麗な剣さばきに、セレスティアは思わず見惚れた。

セレスティアのすっきりとした水色の瞳が揺らぐ。

なんて美しいのだろう。

セレスティアは、心の底からそう思った。

同時に、かっこいい、とも思った。

彼の黒髪が風になびいて、彼の赤い瞳が研いだ刃物のように鋭い。

セレスティアの中で、何かが揺らめく。

彼女は、少年に淡いある感情を抱いた。それは綿菓子のように甘いような、胸がくすぐったいような、そんな感情。この感情には、ちゃんと名前があることを彼女は知らない。

と、強風が吹き、セレスティアは我に返る。

少年の方を見ると、彼も剣を振るうのをやめ、休憩しているようだった。

戻らないと。迷子になる前に。

セレスティアは彼に気づかれないよう、静かにその場を後にする。

が、彼女が広場を離れていくことを、少年は気づいていた。

剣を振るっていた間は夢中になっていて彼女に気づかなかったが、休憩をしているとき、ふと辺りを見渡すと彼女の姿を見つけた。

そして、目を疑った。

嘘だろ?本当に彼女が、ここに?

始めは幻を見ているのだと思った。

しかし何度目をこすっても、彼女の姿は自分の視界に写ったまま。

話しかけようと彼女に近づこうとすると、彼女は裏庭の方に消えていく。

彼は剣を自分の腰に下げている鞘にしまい、走って彼女を追いかけた。


裏庭の方に抜けた私は中庭の方に行き、再び花々を観賞していた。

その時だった。

腹の底から何かがこみ上げてきて、私は口元を押さえる。

何かを吐き出し、恐る恐る手を見ると、赤い液体が付いていた。

……呪いの影響だ。

どうしよう。手袋が汚れたけれど、今は予備を持っていない。

フレイアは茶会の準備を終えただろうけどどこにいるかわからないし、予備は馬車に積んでいるし。

……とりあえず手を洗おう。

私は汚れた手袋で口元を拭い、日傘を血が付かないように閉じ、腕に抱える。

そして、道行く侍女に駆け寄った。

「あの……、少しよろしいでしょうか?」

私は彼女ににこりと微笑む。

すると、彼女も笑みを返してくれた。

「はい、何でしょう?」

「井戸はどこにありますか?できるだけあまり使っていないものを使いたいのですが……」 

「ああ。それなら、あの道をまっすぐ行って、突き当たりを右に行けば、全く使っていない井戸がありますよ」

親切に教えてくれた侍女に、私は笑みを深める。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

それから私は彼女の言った通りの道を行き、井戸に向かった。

炎の貴公子と海姫

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コメント

3

ユーザー

大丈夫、別におかしくないから!

ユーザー

何でやろ。なんか最近文章下手……。

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