蒼sid
ある真夏の日の事だった。
突然、君は俺の目の前に現れた。
『あれ、俺の事見えてるの…??』
白い翼が生えた君を一目見て思った。
あぁ、君は….
俺の天使なのか。
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俺はいつも通りの日常に飽き飽きしていた。
疲れる人間関係
愛想振りまく笑顔
そして
何の変哲もない生活。
息を吸って吐くだけの人生。
全てが俺を退屈にさせる為だけに生まれたようだった。
小さい頃から家は裕福だったからか
周りには自然と人が集まってきていた。
幼い俺は、喜んで接して居たが、今じゃこうだ。
父も母も優しい人だったが、数年前、不慮の事故により他界した。
俺の心の拠り所
たった2人の大切な家族を失った俺は、ショックにより閉じこもっていた。
そして、少しの月日が経ち
俺は、両親の分まで生きなければならない、そんな使命感に満たされた。
そして、いざ外の世界に再び足を踏み入れるとこうだ。
みんな俺の財産と俺の整った顔、そして地位と名誉の為に寄ってくる。
気持ち悪い
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…!!
そんな嫌悪感に苛まれた。
次第に外に出るにつれ、慣れてきてはいたが、余計に人の醜さを目の当たりにし吐き気がした。
けれど、時は止まってくれない
そしてクソみたいな月日は流れ行き
8月の真夏の日。
俺は学校の帰り道、少し山に行きたいとそう思った俺は、山に行くことにした。
電車に乗って、山へ
着くと、気持ちの良い空気にいい天気
清々しい風に俺は気持ちが落ち着いた。
やはり、都会の濁った空気よりも、山の自然な空気の方がよっぽど良い。
自然を堪能した後、俺は山に足を踏み入れた。
どれだけ歩いたのだろうか。
体感だと軽く1時間は歩いている。
「看板…」
この先、頂上。
と書かれた木の看板。
それを頼りに少し歩いていくと、山の頂上に出た。
「綺麗…」
言葉には表しようのない程に。
夕日が沈みかけ、山は紅く染まる。
綺麗な夕日。
「神社…???」
ずっと遠くを見ていたからか、側に神社が建っていた事に気付かなかった。
「まぁ、とりあえず」
参拝に行こうと思い、鳥居に足を踏み入れた、その瞬間。
目の前が真っ白になった。
「ゔっ…」
徐々にぼんやりと浮かび上がってくる景色。
目の前がまた真っ白になる。
「なんだ…??」
そう思い、目の前を見ると、羽根があった。
視界を白く埋め尽くしたのはこれだろう
「羽根…??なんでこんなところ…に……」
バサッ
『ん…??』
『人….??』
そう言いながら、俺の目の前に近付いてくる。
『ん???』
「え、あ…」
『なんて言ってるんだろ』
「あ、アンタは…??」
『あれ、俺の事見えてるの…??』
それが、彼との出会いだった。
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『あれ、俺の事見えてるの…??』
「え、うん…」
『えぇ…』
「あ、あの…」
「誰ですか?」
『そっか、自己紹介してなかったね』
『俺は….天使、天使だよ。』
「天使…??それって名前….??」
『違うよ』
「名前は?」
『….教えられないんだ、それだけは』
『ごめんね』
「いや、俺こそごめん」
『いや、良いよ全然』
「そう…あ、それより」
「なんで天使なんだ?」
『あー…』
『…人間は、死んだ後6ヶ月だけこの世に留まれるんだ』
『勿論、霊体でね』
「じゃあなんでアンタは…」
『…カミサマにお願いしたんだ』
『一年だけで良いから』
『大切な人にもう一度会いたいって』
「大切な人…??」
『…うん、大切な人に』
「じゃあアンタはもう死んでるのか?」
『そうだね』
「なん….いや、やっぱりいいや」
『あ、そうだ』
『お願いごとがあるんだけど』
「ん?なんだ?」
『俺をさ』
色んな所に連れて行ってくれない?
「なんで??」
『…生前、家から出たことがなかったんだ』
「….」
『だから、消えるその前に、色んな景色を見てみたくて』
『って…ダメだよね….』
「…よ」
『え?』
「いいよ」
「アンタを連れて行ってあげる」
『え…!!!?』
『本当に良いの!?』
「良いって言ってるじゃん」
『え!じゃあ俺、動物園に行きたい!』
「良いよ、行こう」
『やったぁ!!!』
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続く
コメント
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え!めっちゃ良い!続きを早くみたい!!
オリリ…?! 天シッッッ()タノチミィ!