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そして次の日。
琉衣「みんなおはよう…ってまだかぁ…」
昨日、授業が任務の所為で潰れた事が余程残念だったのか、一番乗りをしてしまった様だ。椅子に座り、鞄の中身を机に出し乍みんなを待っていると
???「おはよ~って早いわね、琉衣」
ガラガラと古びたドアを開け、少女が1人教室に入ってくる。
琉衣「あ、野薔薇ちゃんおはよう、早いね」
野薔薇と呼ばれたその少女は琉衣の隣に座り、少し残念そうな顔をする。
野薔薇「今日は一番乗りだと思ったのにぃ…でも彼奴らよりは早かったからいいとしましょうか。」
彼奴ら、というのが誰を指すのか、というのは琉衣にとっては言うまでもない。琉衣達のクラスメイトであり…
今バタバタとやってきた2人組である。
???「おはよ~!!って2人ともはえぇな、負けちったぁ」
???「オイ虎杖、危ねぇだろうが!」
明るく、人懐っこい笑みを浮かべるのが虎杖悠仁、なんとあの『両面宿儺』の指を食べた宿儺の器である。
苛立ちを隠さず大きな溜息をつく黒髪の方は伏黒恵、高校生にして2級となった天才術師である。
琉衣「どうしたの、又何かあった?」
又、と言われる辺り、朝のこの騒ぎは何時もの事なのだろう。
悠仁「いやさっきそこの曲がり角でぶつかりそうになっただけ!なーふしぐ…」
「痛ってぇ!何すんの!?」
言い終わる前に伏黒が虎杖の頭を軽く叩く。
恵「お前「だけ」ってなぁ、あのスピードでぶつかったら骨折れんだろ、馬鹿か。」
悠仁「だから俺ちゃんと避けたじゃん!」
ぶつかっただけで骨が折れる、なんて大袈裟だと思うかもしれないが、この虎杖、50mを3秒で走る化け物である。そんなスピードで走って来られれば確かに骨折も有り得る。ちゃんと避けれた辺り、彼の運動神経の良さが伺える。
琉衣「あはは…」
常人では有り得ない会話に思わず苦笑いを零す。その会話の合間からチャイムが聞こえてくるも、彼等の担任は姿を見せない。
野薔薇「まぁーたあの馬鹿は遅刻?何回目よ、これ」
彼女がそう零すのも無理はない。馬鹿ことこのクラスの担任、五条悟は何時も叱るほどではない遅刻をしてくるのだ。而も毎回。
恵「仕方ねぇだろ。五条先生だぞ。」
野薔薇「確かにそうね。気にしても仕方ないわ。」
慣れている者も数名いる様だが。
???「ひっどいなぁ、僕だって忙しいんだよ~?」
悠仁「うぉっ、五条先生!?」
琉衣「あ、先生おはようございます。」
気配を完全に消して生徒達の後ろに現れたこの男こそ現代最強の呪術師であり五条家当主、そして彼等の担任である五条悟だ。
悟「おはよう、2人だけだよ〜僕に挨拶してくれるの」
完全に気配を消して声をかけたというのにまったく驚かない彼女は大したものだ。悠仁のように驚くのが当たり前の反応である。他の2人は完全に無視。これは完全に自業自得だが。
悟「琉衣、任務だって。今度は1級呪霊の討伐」
琉衣「…またか。今度もあの腐ったミカンですか?」
彼女の言う「腐ったミカン」とは、上層部保守派の事である。悟の例えを使った様だ。それにしても中々口が悪い。
野薔薇「琉衣って実は口悪いわよね。」
そういう彼女も引けを取らない程に口が悪いのは触れないでおこう。
そして驚くべきはその等級である。学生、ましてや1年で1級呪霊の討伐とは、ただでさえ人手不足なこの業界からすれば彼女はとても貴重な人材だ。引っ張りだこになるのも無理はないだろう。最も、彼女自身はクラスメイトとの貴重な時間が潰れるので喜ばしい事だと思っていないようだが。
はぁ、と大きな溜息をついて椅子から立ち上がると、クラスメイト達にひらりと手を振っては背を向ける。それに応え手を振り返す友達に見送られ、彼女は任務地へ赴くべく教室を出ていった。