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ジェヴィン「………タナーさん」
絶望感溢れる表情でタナーの死体を眺めた後、ブラックをギロと睨んだ。
だが、ジェヴィンは戦える気力がないようだ。
ウェンダは既に興味をなくしたそうで、小石を蹴りながら闇の中へ消えていった。
ブラック「…戦意喪失………か」
曇った目で、天を仰ぐ。
ジェヴィン「ぁ、あーぁ………」
ブラック(違う………)
ブラック(精神崩壊か………?)
ブラック「…だが、それなら丁度いい」
ブラック「ジェヴィン。私のものになれ」
ジェヴィンの頭が、コクン、と縦に振られた。
ブラック「………はは」
ブラックがその細い指をジェヴィンの口元に近づけた。
その時だった。
ジェヴィン「………っ!」
ブチッと、肉が千切れた音がした。
ブラック「……は?」
ジェヴィンが、ブラックの指を思いっきり噛み砕いたのだ。
千切れた指を吐き出し、口を拭いながら言った。
ジェヴィン「私がそんなに弱く見えますか?」
ジェヴィン「確かに、タナーさんの死亡による心の傷は一生癒えないでしょう」
ジェヴィン「ですが私はそのくらい、あなたを憎んでいるんです」
ブラック「………」
ブラックが口を開ける暇もなく、ジェヴィンはブラックの体を切り裂いた。
周囲に赤黒い血が飛び散り、青色のローブに付着した。
ジェヴィン「これで全部終わった………」
ジェヴィン「………終わったんです」
だんだんと、赤黒く目玉の浮いた空は快晴に。
いつのまにか、枯れた草木はいつも通り鮮やかな色で、暖かい風に揺れていた。
ジェヴィン「こんな馬鹿らしい世界も」
ジェヴィン「タナーさんも」
ジェヴィン「………タナーさん」
ジェヴィンは地面に転がったタナーを持ち上げ、ツリーの元へ歩き出した。
ジェヴィン「………ピンキーさん達は生きているでしょうか」
ピンキー「………ジェヴィンさん!!!」
こちらに向かって手を振るピンキーの姿が見えた。
ジェヴィン「ピンキーさん…!!!」
ジェヴィン「いや………」
ジェヴィン「皆さん………?」
ツリーの下には、自分とタナー以外の全ての仲間たちが集まっていた。
ジェヴィンがそこに到着し、タナーをツリーの幹にそっと座らせた。
ジェヴィン「なんで、全員生きて………」
ジェヴィン「……死んでいたはず…」
ジェヴィン「傷も無くなっているし…」
タナーを横目に見る。ふと気づいた。
ジェヴィン「タナーさんの肩の傷がない……?」
間違いなく、タナーの肩には深い切り傷があった。
その証拠に、その部分だけ服が切れている。
ピンキー「ジェヴィンさんが元凶を倒した時」
ピンキー「空や地面が元通りになっていったの」
ピンキー「多分、その時ね」
ピンキー「気がついたら、全員周りで自分の体を見つめながらポカンってしてて…」
またタナーを見てみた。
口が震え、呼吸をしていた。
ジェヴィン「よかった………」
ジェヴィン「よかったです………!」
タナーが目を覚まし、辺りを見回した。
タナー「あれ………俺死んだはずじゃ」
タナー「倒れてた人たちも生きてるし」
タナー「ジェヴィン!もしかして、ブラック倒した?」
ジェヴィン「…はい、おかげさまで」
タナー「……!!!」
タナー「う、うわぁぁぁぁぁ」
タナー「よかった!!!よかったよおおお…!」
子供のように泣きじゃくりながら、ジェヴィンに思いっきり抱きついた。
ジェヴィン「た、タナーさん………」
ジェヴィン「皆さん見ていますから………」
汗をかきながら、赤面した顔を手で隠した。
タナー「だって、だって…!」
タナー「みんな生きてるし…!元に戻ったし…!」
ピンキー「…ふふ」
ピンキーが微かに笑うと、オレンがつられて微笑んだ。
いつしか、全員がお互いに微笑み、笑い合っていた。
タナー「…あはは」
ジェヴィン「……ふふっ」
二人も、この状況がおかしかったのか、つい吹き出してしまった。
ジェヴィン「………よかったです。本当に!」
ウェンダ「あ、みんな………」
グレーの後ろから、ウェンダが現れた。
グレー「うわぁぁぁぁぁ?!?!?!」
グレーは驚きすぎて腰を抜かし、地面に倒れ込んだところをスカイに助けてもらった。
スカイ「ウェンダ…」
ウェンダ「ご、ごご…」
ウェンダ「ごめんなさい!」
涙を流しながら、深々と頭を下げる。
ウェンダ「スカイとか、ヴィネリアとか」
ウェンダ「ほとんど全員、私が殺しちゃった…」
ウェンダ「操られていたからって、許されないことをした!」
ウェンダ「謝って許されることだとは思ってない!」
ウェンダ「でも…!」
ウェンダ「ごめんなさい………っ!」
タナー「やめよう、ウェンダ」
タナー「君らしくない」
タナーがウェンダの目の前に素早く現れた。
スカイ「そ、そうだよ。」
スカイ「痛かったけど、ウェンダ、操られてたんでしょ?」
スカイ「じゃあウェンダは悪くないじゃん」
タナー「スカイもそう言ってるんだ」
タナー「大丈夫。誰もウェンダを恨んでなんかない」
精一杯の優しい言葉をかけた。ウェンダは肩を振るわせながら、何度も何度も頭を下げた。
ウェンダ「ありがとうみんな………」
ウェンダ「こんなことをした私にまだ優しくしてくれて……」
タナー「いいんだよ…」
タナー「ジェヴィンが、ブラックを倒してくれてよかった」
サイモン「…俺からも謝りたいな」
サイモン「ブラッドごめん。食べちゃって」
ドキドキしながら、ブラッドを見つめた。
ブラッドは首を横に張った。
ブラッド「ううん。大丈夫だよ」
ブラッド「いたくないし、サイモン死んじゃったけど生き返って、よかった、!」
サイモン「ブラッドおぉぉぉ…」
震えた声で、ブラッドの手を取って涙を流した。
その後、世界は前と全く同じように動いていた。
友達とゲームをしたり
恋人にプレゼントをしたり
趣味に没頭したり
ぼーっと外を眺めたり
好きなことをして、喜びを分かち合って、ずっと幸せに暮らすことができている。
ジェヴィン「タナーさん」
世界が元に戻ったにも関わらず、なぜかジェヴィンはいつもより低い声でタナーを呼び止めた。
タナー「ん?どうしたジェヴィン?」
ニコッと微笑みながらジェヴィンを眺めた。
ジェヴィン「………」
ジェヴィン「………今夜私の家に来てくださいっ」
顔を隠し、早口になりながら足早に去っていくジェヴィンをポカンとした様子で見つめながら、タナーは察した。
タナー「あぁ、そういうことね」
タナー「………行こうかな」
空はまだ、澄んだ水色のままであった。
完
ってことで分岐の一つが終わりました。
平和そうで何よりです。
ジェヴィンはなぜタナーさんを家に呼んだんでしょうね。
タナーさんはイくらしいです。
はいすみませんふざけました反省してますさーせん
次回はノーマルエンドですね。
テスト期間の割には頑張って書いてるので応援よろしくお願いします。
ではまた
…作者が自我出してくるなだって?
しゃらっぷ