テラーノベル
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⚠️注意⚠️
ハッピーエンドを読んだ後にこれを読むと、キャラが生きてるのか生きていないのかわからなくなりややこしいので、この話を読む場合は第五話をもう一度視聴することをおすすめします。(皆様にはこの物語を楽しんで読んでほしいので、結構本気です)
この話は第五話の続編であり、別ルートです。
本編始まります
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ジェヴィン「………ブラック」
濁った瞳で、ブラックを上から睨みつけた。
触手に捕まられ、高く持ち上げられているのだ。
ブラック「………大切なものを失った目だな」
ブラック「あの_保安官@愚か者_は、お前にとって大切な人だったのか?」
ジェヴィン「………答える必要がありますか」
ブラック「いいや?」
ブラック「答えなくてもわかるさ」
ブラック「君からは、私へのとてつもない憎悪を感じるよ」
ブラックがジェヴィンの近くに歩み寄り、耳に顔を近づけて囁いた。
ブラック「もうその愛する者はいない」
ブラック「悪いようにはしない。私のものになれ」
ブラック「ジェヴィン」
ジェヴィンはまだ、ブラックを睨み続けていた。
ジェヴィン「…知らない!知らない!」
ジェヴィン「私は貴様のものになんてならない」
だが、目の前の敵の後ろには、タナーの死体。
嫌でも目についてしまう。
ジェヴィン「………タナーさん」
ブラック「ほら、もう限界そうじゃないか?」
ブラック「神なんていない。いたら、こんなこと起きていないだろう?」
ジェヴィン「…誰のせいだと」
ブラック「さあな」
ブラック「私がこうなったのは私のせいじゃない」
ブラック「だがジェヴィン」
ブラック「私に屈し、信仰することもアリだとは思わないか?」
触手からパッと離し、ジェヴィンは地面に叩きつけられ、激しく咳き込んだ。
ジェヴィン「………思うわけないじゃないですか」
ジェヴィン「私は、貴様が世界一大っ嫌いだ」
ブラック「……そうかい」
黒スーツのその男は、諦めた様子で、近くでその様子を眺めていたウェンダの顔を掴んで、遠くに放り投げた。
ブラック「あの小娘は、あと数分もしたら元に戻るよ」
ブラック「私も暇じゃないのでね」
ブラック「さようなら」
いつの間にか、ブラックは視界から消えていた。
辺りを見回すが、倒れたウェンダとタナーしか見当たらない。
ジェヴィン「…ブラックが、いなくなった」
そう呟くと、真っ黒だった地面は鮮やかな色を取り戻し、赤黒く変色した空も、だんだんと元の色を取り戻していった。
ジェヴィン「もしかしたら………みなさん元に戻るかも!」
目に輝きを表し、近くに倒れていたタナーを見てみた。
無表情で、口をぽっかり開けながら、頭から赤黒い血を流し続けている。
ジェヴィン「………そうですか」
ジェヴィンは、倒れているタナーを抱え、生存者のいるツリーの元へ向かった。
ウェンダ「…あれ」
ウェンダ「ここは…」
気づけば、見覚えのある草原の真ん中で、ウェンダは横たわっていた。
ウェンダ「背中痛………」
ウェンダ「っ…!」
記憶が蘇る。
自分がしたことを全て。
ウェンダ「……私がやったの?」
ウェンダ「……私がみんなを?」
手に持っていたナイフを地面に落とす。
歩き出そうとしたその体はぐったりと倒れ、膝を地面につけて絶望の表情を浮かべた。
ウェンダ「ああっ、ああああああああ」
ウェンダ「ごめんなさい」
あまりにも悲しかったのか、涙一滴すら流さず、ただただ後悔しながら謝り続けた。
本人達には届かなくても。
ウェンダ「ごめんなさい、ごめんなさい」
ウェンダ「本当にごめんなさい」
ウェンダは今度こそ、地面に倒れてその綺麗な青空をずっと見つめた。
ジェヴィン「…良かったです。まだ生きていて」
ツリーの下に着くと、生存していたピンキー、グレー、ファンボット、ファンコンピューター、ブラッドが集まって、出迎えてくれた。
その周りには、惨たらしい姿で死亡した仲間たちが倒れていた。
ジェヴィン「…申し訳ございません」
深々と、頭を下げる。
ジェヴィン「私がもっと早く気づいて、皆さんを避難させていれば」
ジェヴィン「もっと強くて、皆さんを守れていれば」
ジェヴィン「こんなことにはなっていませんでした」
ジェヴィン「申し訳ございませんでした」
何度も何度も、ピンキー達に頭を下げ続けた。
ピンキー「………みんな、死んじゃった」
ピンキー「オレンも…ヴィネリアも……」
ピンキー「ウェンダが…」
ピンキー「遊んだり話したりはもうできないの」
ピンキー「なんで…なんで…」
ピンキー「顔も、こんなことになって」
ピンキー「ブラッドは食べられちゃったし、グレーは震えて動けそうにない」
ピンキー「オレン………」
ピンキー「こんな世界で、生きていけるの?」
ピンキー「こんな世界で、生きる意味があるの?」
オレンの死体を抱きしめながら、血だらけの顔から涙を流し、傷の痛みと心の痛みに悶え苦しんだ。
ジェヴィン「…はい、ピンキーさん」
ジェヴィン「…私も、同じことを思っています」
ジェヴィン「ですが」
元々低い声を、さらに低く響かせてこう言った。
ジェヴィン「生きる価値や希望はあります」
ジェヴィン「…タナーさんを失った」
ジェヴィン「私にとって、最悪のことです」
ジェヴィン「ですが他の皆さんも、大切なものを無くしました」
ジェヴィン「本物の家族のように大切だった恋人や友人」
ジェヴィン「体の一部」
ジェヴィン「その現場を見たことによる心の傷がある方もいます」
ジェヴィン「ですがここには、生存者が6人」
それを聞いていたピンキー達は、ハッとした。
ジェヴィンの首には汗が流れる。
ピンキー「みんなごめんなさい…こんな空気読めない発言しちゃって」
ピンキー「そうよね…。みんな辛いものね…」
ファンボット「………ピンキーさんが言ったことは、事実なんですよ」
ファンボット「私も、私とコンピューターを作ってくれた、何よりも大切な生みの親を二人ともなくしてしまいました」
ブラッド「……」
全員が俯き、誰も喋らなくなってしまった。
そこで、ジェヴィンがまた口を開いた。
ジェヴィン「………でも!」
ジェヴィン「あんな状況で、私とタナーさん二人だけで突破しようなんて考えた私が馬鹿だったんです」
ジェヴィン「もっと早く皆さんの元へ向かっていたらよかったんです」
ジェヴィン「…全部私が悪かった」
ジェヴィン「全部、私が決めたこと。私のせいです」
ピンキー「ちょっと、ジェヴィンさん」
ピンキー「……斧持って、どうするつもり?」
皆が見ている中、ジェヴィンは手に持っていた斧の刃先を自身の首にあてがった。
ジェヴィン「………ふふ」
ジェヴィン「矛盾してますよね」
ジェヴィン「貴方達には生きろと言ったのに」
ジェヴィン「貴方達も私と同じ筈なのに」
ジェヴィン「………耐えられません」
細い首に血が滲み、刃先にも血がつたっていく。
ジェヴィン「申し訳………ございませんでした」
ピンキー「ジェ、ジェヴィンさん………やめ」
斧は一層深く、首に入り込んでいく。
ブラッド「ジェヴィン……やめて!」
ブラッドが口を大きく開けて叫ぶ。
これにはジェヴィンも止まらざるを得なかった。
ジェヴィン「…何故止めるのですか、ブラッドさん」
痛みに顔を顰ませ、汗を流しながら歯を食いしばった。
ブラッド「…ごめんね」
ブラッド「じぶんかって……?で」
ブラッド「でも、嫌だもん」
ブラッド「一番たよれるのはジェヴィンだけだし」
ブラッド「ジェヴィンいなかったら、ボクたちだけで生きていけるかもわかんないし」
ブラッド「だからやめて」
呆然としながらブラッドを見つめた。
斧を持ったその手は下ろされ、斧は地面へ放り投げられた。
その手の代わり、流血する今にも落ちそうなその首を支える。
ジェヴィン「………いいえ。自分勝手なのは私でした」
ジェヴィン「また、迷惑をかけてしまいますね」
ジェヴィン「ブラッドさん。ありがとうございます」
ジェヴィン「今度こそ、皆様をお守りいたします」
ジェヴィン「タナーさんが、いなくても」
目に大粒の涙を浮かべ、芝生には一滴の雫が溢れ落ちる。
ピンキー「…よかった」
ピンキー「ありがとう…ブラッド」
ピンキー「みんなも………」
ピンキー「生き残ってくれて、ありがとう………!」
ファンコンピューター「…よかったよ。本当に」
ジェヴィン「えぇ………」
ジェヴィン「この世界はまだ動いています」
元通りになった世界で、生存者達は楽しげに音を奏でる。
真っ黒な前の世界で出した不気味な音とは違う。
心の底では全員辛いであろう。
だが生き残った仲間達がいる。ただそれだけで生き永らえている。
これからも、ずっとそうだ。
胸に押し込めた辛い記憶も、体に残るヒリヒリとした痛みも、全部背負って。
19人のうち、たったの6人は「普通」に生きていく。
〜完〜
あとがき
ノーマルエンドです!
個人的に、結構いい感じな終わらせ方できたと思いますよ。
幸せでも不幸でもない…まさに普通!!!
これが本来の物語なんだと思います。
では、次回が最後になりますね。バットエンドです。
どうなるかは予想がつくと思います。
今回もご視聴ありがとうございました。
また次回!!!
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