テラーノベル
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秋。
澪は少しずつ笑うことが増えていた。
休日にコンビニへ行く。
テレビを見て笑う。
そんな当たり前が増えていく。
ある日の帰り道。
前から酔った男が大声を出しながら歩いてきた。
その瞬間。
澪の身体が固まった。
呼吸が浅くなる。
視界が揺れる。
すると。
悠真が何も言わず前へ出た。
澪を隠すみたいに。
男が通り過ぎるまで。
ただ静かに立っていた。
やがて男は去っていく。
「……もう大丈夫」
いつもの声。
澪は涙を零した。
「ごめんなさい」
すると悠真は困ったように笑う。
「だから謝らなくていいって」
そして少し照れくさそうに続けた。
「お兄ちゃん、そういう時のためにいるんだから」
お兄ちゃん。
その言葉を聞いた瞬間。
澪の胸が熱くなった。
家族。
その言葉はずっと怖かった。
でも。
今だけは違った。
コメント
1件
おお……これ、めっちゃ良かった……。悠真が何も言わず前に立つところ、もう彼の優しさがにじみ出ててさ。澪が「お兄ちゃん」って認めた瞬間の熱い感じ、涙腺やられたわ。「謝らなくていいって」の照れくさい口調、最高だよ。兄妹っていいなあってもう。続きめっちゃ気になる!