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「いーい、エレナ?」
右手の人差し指でエレナ・アスモデウスの顔を指差し、左手は腰に当てているのは、エレナの従姉妹──ユーノリラ・ファンディオーレ侯爵令嬢。
「『九色最高者』に、絶対近づいちゃダメよ」
「九色最高者……?」
エレナは、知らない単語に首を傾げた。
「えぇ、そうよ。この学園──王立クラウディア学園の頂点に君臨している、九人のことを言うわ。もし『九色最高者』の機嫌を損ねたら、明日の命はない、と言われてるの」
「そんな危険な人達がいるの? 危ないじゃない」
「そうよ、危ないのよ。だから私が、『九色最高者』について、説明しようとしてるんじゃない」
ちょっと不機嫌になるユーノリラ。
ここで彼女の機嫌をさらに損ねたら、明日の命がないのは自分かもしれない。機嫌を取ろう。
「そうなの? じゃあ、説明お願い」
「えぇ! まずは、椅子に座りましょ」
「そうね」
椅子に座るエレナとユーノリラ。
「では説明していくわ。──これを見て」
ユーノリラは、すっと一枚の紙を差し出した。
「……?」
エレナは、またもや首を傾げた。
何が何なのかさっぱりわからないが、とりあえずここは黙っておかなければユーノリラに怒られてしまう。
エレナは沈黙することを選んだ。
そんなエレナのことを気付いているのかいないのか、ユーノリラは口を開いた。
「『九色最高者』について、書いてあるわ。口頭でも説明していくわね」
ユーノリラは、小さく深呼吸を一つした。
「一人目。──フェディス王国第一王子、レヴィス・メル・フェディス様。通称、《黄金の王子》。二つ名の通り、金髪よ。そして、高等科の生徒会長でもあるわ」
(生徒会長、《黄金の王子》レヴィス様……)
「二人目。──トワイライト公爵令息、フェリクス・トワイライト様。通称、《紫紺の王子》。二つ名の通り、紫の髪よ。そして、生徒会書記でもあるわ」
(生徒会書記、《紫紺の王子》フェリクス様……)
「三人目。──スイラーヌ公爵令嬢、シーノ・スイラーヌ様。通称、《青銀の姫》。二つ名の通り、青銀の髪よ。そして、生徒会副会長でもあるわ」
(生徒会副会長、《青銀の姫》シーノ様……)
「四人目。──ペイラー公爵令息、レオナルド・ペイラー様。通称、《橙の王子》。二つ名の通り、オレンジの髪よ。レヴィス様の側近だから、生徒会室にいることが多いわ」
(レヴィス様の側近、《橙の王子》レオナルド・ペイラー様……)
「五人目。──ハイルヴェリー公爵令嬢、メアリー・ハイルヴェリー様。通称、《漆黒の姫》。二つ名の通り、黒髪よ。そして、生徒会会計であり、レヴィス様の婚約者ね」
(生徒会会計、《漆黒の姫》メアリー様……)
「六人目。──ノーヴェルデ公爵令嬢、ルミア・ノーヴェルデ様。通称、《白砂の姫》。二つ名の通り、白髪よ。『九色最高者』の中では、一番温厚だけど、危険人物なことに変わりはないわ」
(一番温厚、《白砂の姫》ルミア様……)
「七人目。──ルミナス公爵令嬢、リーナ・ルミナス様。通称、《深緑の姫》。二つ名の通り、緑の髪よ。そして、生徒会会計で、図書委員でもあるわ。普通は、生徒会と委員は兼任出来ないのよね。『九色最高者』って怖いわ」
(生徒会会計、《深緑の姫》リーナ様……)
「八人目。──アイルノーン公爵令息、レイ・アイルノーン様。通称、《紅蓮の王子》。二つ名の通り、赤髪よ。そして、生徒会書記でもあるわ」
(生徒会書記、《紅蓮の王子》レイ様……)
「九人目。──テレサルーア公爵令息、ハレン・テレサルーア様。通称、《桃花の王子》。二つ名の通り、ピンクの髪よ。でもハレン様は、基本的に寮の部屋にいらっしゃるから、あまり会わないと思うわ」
(引きこもりの変人、《桃花の王子》ハレン様……。あ、引きこもりって言ったら怒られるかしら)
「今言った九人目が『九色最高者』よ。うっかり遭遇したら大変だから、気をつけなさいよ、エレナ」
「わかったわ。ありがと、リラ」
「これぐらいお安いご用よ。それより、もう寝ましょうか。明日の活動に支障が出るわ」
「そうね」
エレナとユーノリラは寝る準備を始めた。
このときはまだ、明日とんでもないことが起こるとは思いもしなかった。