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翌日、月曜日。
教室へ向かうため、寮の部屋から教室へ移動中のエレナ。
すると、廊下にハンカチが落ちているのを見つけ、拾う。
(ん? ハンカチ……? 誰のかしら。黄色の生地に、黒色で……「M.H.」って、誰かのイニシャル?)
このときエレナの頭に、昨日のユーノリラの言葉が蘇った。
──「フェディス王国第一王子、レヴィス・メル・フェディス様。通称、《黄金の王子》」
──「ハイルヴェリー公爵令嬢、メアリー・ハイルヴェリー様。通称、《漆黒の姫》」
(待って。M.H.は、メアリー・ハイルヴェリー様のイニシャル? だとしたら、生地が黄色なのは、婚約者のレヴィス様の象徴の色よね。……これ、メアリー様の持ち物──?)
エレナは、難題に直面してしまった。
ユーノリラからは、「『九色最高者』には近づくな」と言われているが、落とし物があって見てみぬふりを出来るほど、エレナは神経が図太いわけではない。
(どうすべきかしら。メアリー様に直接届けに行く? でもリラから『九色最高者』に近づくな、って言われてるし……)
こんなときこそ、エレナは、ユーノリラに相談したい気分だった。
ユーノリラは中等科からのエスカレート組だが、エレナは違う。高等科入試を受けて合格したから入学したのだ。
(一番いいのは……メアリー様もレヴィス様も出入りする、生徒会室前にこっそり置くこと、だわ……)
決断したら、即行動。
エレナは生徒会室へ向かって歩きだした。
◇ ◇ ◇
生徒会室前。
エレナは、生徒会室前にある机に、そっとハンカチを置いた。
落ちないことを確認し、その場から去る。
「……」
エレナが去っていくのを柱の陰からこっそり見ている人物がいた。
──王立クラウディア学園『九色最高者』の一人、高等科三年《青銀の姫》シーノ・スイラーヌ。
(エレナ・アスモデウス侯爵令嬢。父は”魔術の博識博士”と名高い、レイン・アスモデウス博士、母は由緒ある伯爵家の令嬢。そんな二人から、どうしてあんな肝が座った令嬢が生まれましたの? アスモデウス嬢が持っていた、黄色のハンカチは、レヴィス様がメアリーに贈ったものですわよね。そんなものを堂々と持って歩くなんて……わたくし達『九色最高者』のことを知らないのかしら? アスモデウス嬢の従姉妹のファンディオーレ嬢は中等科からのエスカレート。対して、アスモデウス嬢は違う。まだ、この学園のことをわかってないのですわね)
「……面白い」
ニヤリと、何かを企むような顔を残してシーノはその場から立ち去った。
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