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朱那と別れ、隣の部屋とさらにその隣の部屋も調べたが事態が進歩するようなものは見つけられなかった。代わりに見つけたものはマッチ箱とランタンを二つずつ。館内は確かに灯りはあるがそのどれもはほのかに照らすだけのもの。辺りがしっかりと見えるとは限らないのだ。では、スマホのライトを使えばいいのではないか?と考えるかもしれないが、どうやら夢とはいえスマホの電池も限られていた。そのためそう易々とはスマホを使うことは出来ない。だからスマホのライト以外の光源が欲しかったのだ。

その後他の部屋を探索するも鍵が掛けられており、中を探索することは出来ず諦めてエントランスにと戻ることにした。その途中で朱那に先程手に入れたランタンとマッチ箱を渡し、役割分担をして館内を探索することに。朱那は二階を探索、湊は一階を探索し鍵が掛けられていた場合は二階の西側から探索するという流れに決まった。

エントランスに向かう途中ふと【亜人が現れたと思われるあの廊下はどうなっているのか】それが頭をよぎり、ランタンに火をつけ明るくしその廊下を進む。すると、先程まであったあの血溜まりは綺麗さっぱり無くなっていて壁に飛び散った血痕に、亜人が歩いたと思われるあの足跡も残っていなかった。それこそ、自分が目にしたもの嗅いだ匂いそれさえ幻………ないし夢であるかの如く。疑問を残しつつもそれを追求する間もなく次なる目的地に歩を進める

エントランスに戻り、入らなかった扉を片っ端から開けてみようとするもやはり、鍵が掛けられており素直に開く扉はなかった。仕方なく湊も二階に行き朱那とは反対方向の西側を探索する……はずだったが二階にある人影が映る。しかし、その人影は人の形をした『何か』であったのだ。確かに二足歩行で歩いているが身長が人のそれではなく、予想では2mは超えていて両腕は異様に長く、指先は気味が悪いほど細い。恐らくアレが『亜人』なのだろう。幸いなことに彼はこちらに気づいてはいない。

湊はすぐに身を隠し亜人について考える。まず、大前提としてあいつに掴まれば命はないということ。確実に人間が太刀打ちできる相手ではない。彼を見かけ次第逃げるのが得策だろう。しかし、愚直に逃げるのも危ない可能性がある。というのも、彼が何に反応するのかが分からないからだ。視覚でこちらを捉えて襲ってくるのか、聴覚を頼りに音の鳴るほうに向かうのか、はたまた嗅覚で匂いを頼りに動くのか。可能性がいくつもあるため、素直に逃げるのは得策なのかどうかはなんとも言えない。情報がないなら得るしかないが、それはリスクがある。だが、リスクを犯してまでも知らないと行けない事もある。怖くないと言えば嘘になるがそれを超えてまで情報を得る必要があるのだ。幸いなことに多少無茶をしても最初に探索していた部屋に隠れる場所があるのを確認している。もし、何かあればそこに逃げ込めば何とかなる可能性があるのだ。今は少しでも情報が欲しい。ここは覚悟を決め体を張って情報を獲得する。

まずは聴覚から検証する。近くにあった木の破片を手に取り、亜人の近くに投げ込む。木の破片は「カランッ……」と音を立てて転がり、壁にぶつかり動きを止める。亜人はその音を拾い音のした方にと歩を進める。このことからどうやら聴覚は人並みにあるようだ。

次は視覚を試してみる。あまりにも怖いが物陰から体を出して亜人が気づくか試してみた。体を出して亜人をよく観察してみて初めて気がついた。彼の目元は汚れた布で覆われており視覚はほとんどないと言っても問題は無いだろう。つまり、視覚は使えないということなので彼が頼りにしてるのは聴覚か嗅覚の二択になったが、さらによく見てみると鼻もどうやらそれほど効かないらしい。となると、頼りに来てるのは基本聴覚でそれを補うように手で辺りを触りながら移動しているようだった。これはかなり貴重な情報を得れた。忘れないうちに朱那に連絡をするためエントランスを離れ、最初に探索していた部屋に隠れることにした。


『朱那さん無事ですか?』

『一応無事ではありますが、先程謎の音と足音が聞こえてます。』

『そのことについて僕からお話があります。』

『まず、先程の物音は僕がものを投げた音です。次に足音は亜人のものです』

『やっぱりそうですか』

『それで、亜人の見た目や彼の生態について少しだけですが共有させてください』

『彼の見た目は2mほどあり、手が異様に長く指先は気味が悪いほど細いです。』

『彼自体全体に細身なので猫背なのですが、背中が妙に肥大化しておりそれが嫌悪感を逆撫でするような見た目になってます。』

『……随分気持ち悪いですね。』

『次に彼の生態ですが、視覚は失われていると思って問題ないです。』

『目元は布で覆われており、使えるものでは無いですが代わりに、聴覚が良いようです。とは言っても、常人よりも少し良い。程度のものだと思います。』

『聴覚頼りなのね』

『嗅覚もあまり良くないと思いますがこちらは予想に過ぎないので過信はしないでください。』

『わかったわ。』

『僕から言えることはこれだけです。』

『じゃあ私からも一つお話がある。』

『それは?』

『何者かが残したメモと鍵です。』

『こちらはまだなんとも言えないので詳しくはお話できませんが、解読し終えたら共有します。』

『分かりました。お互い死なないように頑張りましょう。』

『はい。そちらもお気をつけて』


彼女と連絡を終えて次の行動を考える。二階に続く道は亜人が居るため向かうことは出来ない。なので仕方なく再度この部屋を探索してみる。前回はサラッと探索したので、今回は隅々までしっかりと探すことにする。

まずは机の上にあるものを見て周り、たまたま見つけた白紙のメモ帳を手に取る。これを常備し気になることをここに記して置くことにする。ペンもその辺にいくつも転がっているため有難く使わせてもらうことにした。また、周りを再度見渡すと不気味な程にぬいぐるみが置かれてる。一つ一つは可愛らしいぬいぐるみ達だが、こうも数が揃うと不気味で仕方ない。その中で一つ気になることぬいぐるみをみつけ手に取り全体を見て見る。すると、背中の方に不自然な縫い目を見つけた。まるで何かを隠蔽するために一度背中を引き裂き急いで縫い合わせたようなもののためか、ほつれた糸が出ており手で引きちぎることが可能なようで躊躇なくそれを引きちぎりぬいぐるみの中身を確認してみる。中からはやはり、綿が出てきたがその綿をかけ分けると何故か鍵がでてきた。その鍵は上の部分が優美な姿の鷹を模していた。鍵というのに何故かこれ単体で美術品としての価値がありそうなものなのだ。とにかくこの鍵をポケットに入れて、この部屋を去る。一度探索していた部屋でも再度しっかりと探すことで何かが見つかることもあることをここで知れたため、亜人が去るまでの間1度訪れた部屋を探索し時間を潰すことにした。

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