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(朝食時。こうきとたつきは、向かい合って座っているが、視線は合わせていない。間に挟まれたりゅうきが、困った顔でキュウリをかじっている)
りゅうき
(ボソボソと)
なんか、今日の空気、キュウリが美味しく感じねぇなぁ……。
こうき
(たつきのパンに伸びる手をちらりと見て、冷たく)
おい、たつき。俺のパンに勝手にジャムを塗るな。お前の余計な「縁」で、俺の味覚まで汚染されるのはごめんだ。
たつき
(ムッとして)
はぁ!?ジャムくらいで大げさだな、兄貴!それに、俺は兄貴のパンなんか触ってねぇし!兄貴が朝からそんなブスッとしてるから、パンケーキまで焦げ付くんだろ!
(たつきが指差すと、こうきの皿にあったパンケーキが、何故か突然、焦げ付いたように真っ黒になる)
こうき
(眉をひそめて)
……やはり、お前の縁は厄介だな。
すいれん
(心配そうに)
もう、こうきくん、たつきくん!朝から喧嘩しないの!みんなの心が重くなっちゃうよ!
れあ
(自分のパンケーキを破壊するようにフォークで突き刺しながら)
あんたら双子の縁なんて、どうせ悪縁なんだろ。とっとと断ち切ってしまえばいいのに。
りこ
(れあの肘を軽く叩く)
れあ、そういうこと言わないの。
ひろふみ
(こうきとたつきの心の奥底にある感情を読み取る。心の声:『お互いへの苛立ち……だが、その奥には、複雑な感情が絡み合っている』)
【シーン2】 街の異変 - 縁が狂う世界
(SE: 賑やかな街の音、しかしどこか不協和音が混じる)
(日中。佐世保の商店街。最近、奇妙な現象が頻発している。夫婦が突然別々の方向へ歩き出したり、物が勝手に繋がり合ったり)
(こうき、たつき、すいれん、ひろふみの4人組。クロードの指示で、街の異変を調査している)
すいれん
最近、街の人たちの心がバラバラになってきてる気がする……。みんな、どこかチグハグなの。
ひろふみ
ええ。人々の間に『断絶』のような感情が生まれています。悪霊の仕業でしょう。
(その時、目の前を歩いていたカップルが、突然、口論を始める。その口論は、まるで誰かに操られているかのように、エスカレートしていく)
男性
お前とは、もうやってられん!俺はもう、お前なんかと「縁」を切りたい!
女性
何よ!私がどんなに「縁」を繋ごうとしても、あなたはいつもそうじゃない!
(二人の間に、黒い靄がゆらりと現れる。悪霊の仕業だった)
たつき
(悪霊を見て、焦る)
な、なんだよアレ!?縁を操ってるのか!?
こうき
(冷静に、しかし険しい表情で)
縁結び型か……。厄介だな。
(悪霊は、さらに多くの人々に黒い靄を伸ばし、カップル、親子、友人たちの「縁」を次々と断ち切っていく。街は混乱に陥る)
街の人々
「急にこの人と話したくなくなった!」「何故か、友達の顔も見たくない!」
こうき
(悪霊に向かって掌をかざす)
……断ち切る。
(こうきの能力で、悪霊が伸ばした黒い靄の一部が、文字通り「断ち切られ」、人々の縁が一時的に正常に戻る)
たつき
(こうきの能力を見て、少しだけ驚く)
兄貴……!よし!今だ!
(たつきは、こうきが断ち切った縁を、再び人々や物同士に「結びつける」ように掌をかざす。すると、人々はハッと我に返り、なぜか近くにあった別の物と強く「縁」を結ばれてしまう)
男性
(我に返るが、なぜか近くにあった電柱を強く抱きしめる)
「電柱さん!あなたは僕の最高の相棒だ!」
女性
(近くのゴミ箱に顔を擦り付ける)
「ゴミ箱ちゃん!離れたくないわ!」
こうき
(額を押さえて)
たつき……お前の縁結びは、いつも余計なものを繋ぎすぎる。
たつき
しょうがねぇだろ!縁は繋がなきゃ意味ねぇんだから!
悪霊(縁結び型)
(二人の能力に、わずかに動揺を見せる)
グゥ……!
【シーン3】 双子の過去 - 友情と誤解の始まり
(SE: 小学生の賑やかな声、運動場の音)
(こうきとたつきの小学生時代。運動場で、クラスメイトたちとサッカーをしている)
小学生のこうき
(真面目に、正確なパスを出す)
たつき、次だ。
小学生のたつき
(こうきからのパスを受けて、得意げにドリブル)
任せろ、兄貴!俺がゴール決めてやるぜ!
(たつきはそのままシュート!しかし、ボールはゴールを大きく逸れ、校庭の隅にあったクラスメイトAの大切なラジコンに直撃し、壊してしまう)
クラスメイトA
ああああ!俺のラジコンがーっ!
小学生のこうき
(静かに、壊れたラジコンとたつきを見る)
……たつき。
小学生のたつき
(顔面蒼白)
ご、ごめん!まさかあそこにラジコンがあるなんて……!
クラスメイトA
ふざけんな!どうしてくれるんだよ!
教師(小学生時代)
(駆け寄ってくる)
どうしたんだ、みんな!
(こうきは、その場に固まっているたつきを見て、何も言わず、壊れたラジコンのそばに座り込み、自分の手をかざす。彼の能力が、不完全に発現した瞬間だった。ラジコンとたつきの間の「壊れた縁」を、こうきは「断ち切ろう」とした。しかし、その行為は、周囲から見れば、ラジコンを「破壊」しているようにしか見えなかった)
クラスメイトA
な、なんだよ、こいつ!謝りもしねぇで、さらにラジコンを壊そうとしてるのか!?
クラスメイトB
ひどいぞ、こうき!
(たつきは、兄の行動が理解できず、ただ茫然と立ち尽くす。その時の誤解と、こうきの不器用な優しさが、二人の間に深い溝を作っていく)
【シーン4】 再び街中 - 縁の糸、繋がる絆
(SE: 荒れる風の音、街のざわめき)
(再び現在。街は悪霊の能力で混乱が広がっている。こうきとたつきは、悪霊の幻覚で、子供の頃のラジコンの破損現場を再び見せつけられている)
悪霊(縁結び型)
(不気味な声で)
見よ、お前たちの「縁」は、常に「断絶」を生み出す!お前たち兄弟の「縁」も、いずれ破滅する!
こうき
(幻覚に一瞬動揺するが、すぐに冷静さを取り戻す)
……うるさい。過去の因縁など、今更関係ない。
たつき
(幻覚を見て、顔を歪める。だが、その隣で必死に戦うこうきの姿を見て、ある思いが芽生える)
……兄貴。
(悪霊は、街の人々の「絆」の縁を次々と断ち切っていく。家族が離れ、友人が罵り合う。街は完全に分断されようとしていた)
すいれん
(人々の心がバラバラになっていくのを感じ、悲痛な声で)
このままじゃ、みんなの心が……!
ひろふみ
(悪霊の心を読む。心の声:『狙いは、人々の「希望」の縁……それを断ち切ることで、絶望を広げようとしている!』)
りゅうき
(叫ぶ)
くそっ!あんなデカい悪霊、どうすりゃいいんだよ!
れあ
(毒づきながらも、悪霊に破壊の能力を放つが、悪霊は縁を操って攻撃を避ける)
チッ!逃げ足だけは速いな!
(こうきとたつきは、互いに顔を見合わせる。そこに、過去の誤解ではなく、今、共に戦う仲間としての「縁」を感じ取る)
たつき
(こうきに、真剣な顔で)
兄貴。俺たち、ちゃんと「縁」を繋げられるんだろ?
こうき
(たつきの言葉に、小さく頷く)
……ああ。お前の繋ぎ方は、いつも余計だがな。
(悪霊は、街の中心にあるシンボルツリーと、人々を結びつける「希望」の縁を断ち切ろうとする。その縁が完全に断ち切られれば、街は完全に絶望に沈むだろう)
たつき
(シンボルツリーに向かって、両手を広げる)
俺は、みんなの希望の縁を、この木に「結びつける」!そして、俺たちの絆の縁も!
(たつきの能力が発動し、無数の光の糸が人々からシンボルツリーへと伸びていく。しかし、悪霊はその縁を次々と断ち切ろうとする)
こうき
(たつきの隣に立ち、掌をかざす)
……ならば、俺が不要な縁を「断ち切る」。そして、お前が結びつける縁を、邪魔させない。
(こうきが、悪霊が伸ばす「断ち切りの縁」を次々と消し去っていく。たつきが結びつけた「希望」の縁は、悪霊の攻撃を受けながらも、確かにシンボルツリーへと繋がっていく)
悪霊(縁結び型)
(焦り、混乱しながら)
な、なんだと!?なぜ私の能力が……!
りゅうき
(感動して)
すげぇ!こうきとたつき、喧嘩してんのに、最高の連携じゃん!
ともか
(冷静に)
彼らの能力は、互いに補完し合う関係にある。まるで、最初からそうなる運命だったかのように。
(悪つきは、シンボルツリーから放たれる希望の縁と、こうきとたつきの兄弟の絆に耐えきれず、その体が歪み始める。その隙を、他の能力者たちが見逃さない)
りこ
(地面を硬化させ、悪霊の足元を固定する)
動けないでしょ!
れあ
(毒舌を吐きながら、悪霊に向かって破壊の能力を放つ)
とっとと消えろ、この縁起悪い悪霊が!
(こうきとたつきの完璧な連携と、仲間たちの総攻撃により、悪霊は断末魔の叫びを上げ、光の粒子となって消滅する)
こうき
(息を切らし、たつきに)
はぁ、はぁ……やったな、兄貴。
こうき
(静かに、だが少しだけ表情を緩めて)
……ああ。お前が、余計なものを繋がなければ、な。
(二人は、いつも通りの毒舌と呆れた表情を交わすが、その間に、確かに新しい「絆」の縁が結び直されたようだった)