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突然の雨。りゅうきが窓の外を見ている)
りゅうき
うわ、急に降ってきたな。天気予報だと晴れだったのに。
れあ
(あくびをしながら)
どうせたいちのせいだろ。あいつ、朝からなんか暗い顔してたし。
りこ
(たいちの隣に座り、心配そうに)
たいちくん、大丈夫?何かあった?
たいち
(俯きがちに、小さな声で)
……いえ、なんでもないです。ただ、少し、気分が沈んでいて……。
ひまり
(補聴器をいじりながら、たいちの隣に座る)
ふーん。あんたが憂鬱だと、雨が降るんだ。なんか迷惑。私の髪が湿気でくるくるになっちゃうじゃない。
すいれん
(笑顔で)
ひまりちゃん、たいちくんを困らせちゃダメだよ。たいちくんも、自分の気持ちと天気が連動しちゃうから大変なんだから。
ひでゆき
(唐揚げを頬張りながら)
たいち!天気予報なんてぶっ飛ばして、ホームラン級の快晴にしてくれよ!今日の練習試合、中止になっちまうだろ!
たいち
(さらに俯く)
……ごめんなさい。
つかさ
(たいちの背中を叩く)
気にすんなって、たいち!雨が降ったって、俺たちは仲間だろ!
あやね
(つかさの頭をゲンコツで叩く)
お前は黙ってろ、やんちゃ坊主。たいちの繊細な心に、お前の能天気な声は響かない。
【シーン2】 街の異変 - 感情の嵐と、悪霊の影
(SE: 激しい雨音、風の唸り、人々の悲鳴)
(午後。佐世保の街は、突如として激しい嵐に見舞われている。強風が吹き荒れ、雨が叩きつける。街の人々は混乱し、互いにぶつかり合っている)
ニュースキャスター(ナレーション)
(声のみ)
……佐世保市では、未曾有の暴風雨に見舞われております。気象庁によりますと、これほどの急激な天候悪化は異例とのことです。市民の皆様には、不要不急の外出を控えるよう呼びかけております。
(街の広場。能力者たちが、嵐の中で悪霊の痕跡を探している。たいち、ひまり、りゅうき、れあ、りこ、ひでゆき、つかさ、あやねのチーム)
りゅうき
うわー!なんだこの嵐!目を開けてられねぇ!
れあ
(傘を破壊するように握りつぶしながら)
チッ、傘が役に立たねぇ!
りこ
(風で飛ばされそうになるのを、地面に足を硬化させて耐える)
みんな、飛ばされないように気をつけて!
ひでゆき
(風に煽られながらも、バットを構える)
この嵐、野球で言うなら魔球級の変化球だぜ!
つかさ
(風で飛ばされそうになるあやねの腕を掴む)
あやね、大丈夫か!?
あやね
(つかさの腕を振り払い、顔を歪める)
触るな!お前なんかに、私の絵の具が汚される!
つかさ
(ショックを受ける)
え、あやね……?
(その時、街の人々も、嵐の中で感情的になり、互いに罵り合い、小競り合いを始める。彼らの周りに、黒い靄が漂っている)
街の人々
「あんたのせいで傘が壊れたじゃない!」「どけよ、邪魔だ!」
すいれん(無線)
(声のみ、悲痛な声で)
みんな、気をつけて!悪霊が、人々の感情を煽ってる!怒りや悲しみが、嵐をさらに強くしてる!
たいち
(嵐の中心で、苦しそうにうずくまる。彼の感情が、嵐の激しさと連動している)
……僕のせいだ……。僕が、みんなを怒らせて……。
ひまり
(たいちの隣で、補聴器をいじりながら、嵐の音量にイライラしている)
もう!うるさすぎる!こんな大音量じゃ、私のわがままが聞こえないじゃない!
(悪霊(嵐を呼ぶ型)が、嵐の中で姿を現す。その体は、風と雨で構成されているかのように揺らめいている)
悪霊(嵐を呼ぶ型)
(嵐の音に紛れて、低い声で)
……憎め。争え。お前たちの負の感情が、我らを強くする!
【シーン3】 嵐の中の攻防 - 感情の暴走と、音の制御
(SE: 激しい嵐、雷鳴、悪霊の唸り声)
(嵐の中、悪霊が能力者たちに襲いかかる。悪霊は、強風や落雷を操り、能力者たちを吹き飛ばそうとする)
りゅうき
(飛んでくる看板を念動で弾き飛ばす)
くそっ!強すぎる!
れあ
(地面を破壊し、悪霊の足元を崩そうとするが、悪霊は風で体を流す)
体が掴めねぇ!
ひでゆき
(バットを構え、悪霊に向かって突進しようとするが、強風に煽られ転倒)
ぐわっ!風が強すぎて、まともに走れねぇ!
たいち
(悪霊の攻撃で、りゅうきが吹き飛ばされそうになるのを見て、心が激しく揺れる。その感情に呼応して、嵐がさらに激しさを増し、雷が頻繁に落ち始める)**
りゅうきくんが……!僕が、もっと強くならないと……!
ひまり
(たいちの隣で、嵐の音量に耐えきれず、補聴器のダイヤルをマックスまで上げる。そして、わがままに叫ぶ)**
うるさい!静かにしなさいよ!
(ひまりの能力が暴発!彼女の耳元から放たれた大音量が、嵐の音をかき消し、悪霊の体を直撃する!)
悪霊(嵐を呼ぶ型)
(ひまりの爆音に、体がバラバラになりかけるかのように揺らぎ、苦悶の叫びを上げる!嵐の勢いも、一瞬だけ弱まる)**
りゅうき
(驚いて)
ひまりのワガママが、悪霊に効いた!?
れあ
(呆れ顔)
まさか、あのワガママが、こんなところで役に立つとはな……。
たいち
(ひまりの能力で嵐が弱まったのを感じ、ハッとする。そして、ひまりの顔を見る。彼女は、ただ「うるさい」という感情だけで、悪霊を怯ませた)**
……ひまりさん。
ひまり
(不機嫌そうに)
何よ。あんたがもっと頑張って、この嵐を静かにしなさいよ。私がわがまま言わなくてもいいくらいに。
(たいちは、ひまりの言葉に、自分の中の感情をコントロールしようと試みる。怒りや悲しみではなく、静かに「嵐を鎮めたい」という意志を集中させる。すると、嵐の勢いが、少しずつ弱まっていく)
すいれん(無線)
(声のみ)
たいちくんの心が、落ち着いてきてる!嵐が弱まってるよ!
クロード(無線)
(声のみ)
たいち、その調子だ。ひまりの能力で悪霊の動きが鈍っている。今がチャンスだ!
ひでゆき
(転倒から立ち上がり、バットを構える)
よし!たいちの集中力、野球で言うならゾーンに入ったな!俺のアイデアで、悪霊をぶっ飛ばすぜ!
(ひでゆきは、周囲にあった壊れた看板の破片を見て、あるアイデアを思いつく。その破片を、まるで野球のボールのように、悪霊めがけて投げつける!)
(SE: ヒュッという風切り音、命中音)
(ひでゆきの投げた破片は、悪霊の体に吸い込まれるように命中し、悪霊の体をさらに不安定にさせる)
悪霊(嵐を呼ぶ型)
(苦悶の叫びを上げ、体が黒い煙となって崩壊し始める)**
たいち
(集中し、嵐を完全に鎮める。空には、わずかに青空が覗き始める)**
……っ。
ひまり
(補聴器を外し、満足そうに)
ふん。やっと静かになったわね。あんたもやればできるじゃない。
(悪霊は、完全に消滅する。嵐も収まり、街には静けさが戻る)
りゅうき
(空を見上げて)
すげぇ!嵐が止んだ!
れあ
(呆れながらも、たいちとひまりを見る)
……なんだかんだで、あの二人のコンビ、意外と悪くねぇな。
たいち
(ひまりに、小さく)
……ありがとう、ひまりさん。
ひまり
(照れたように、そっぽを向く)
別に。あんたがうるさかっただけよ。
(空には、晴れ間が広がり始める。しかし、たいちの心には、まだ少しだけ、嵐の余韻が残っているようだった)