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おまる
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カーテンの隙間から差し込む光が、昼過ぎの白さを物語っている。
時計の針は13時を回っていたが、私たちはいまだにベッドの中にいた。
「……ん、…っ、瞬くん、もうお昼よ」
私は彼の腕の中で、微かに身じろぎをした。
けれど、腰を抱く彼の腕はさらに力を増し、私の首筋に熱い吐息が吹きかかる。
「いいじゃないですか、休みの日くらい。……俺、まだ離したくないです」
瞬くんの声は、眠気でいつもより低く、掠れている。
彼は私の肩口に顔を埋め、深呼吸をするように私の香りを吸い込んだ。
「凛さん、肌…真っ白ですね。……昨日、俺がつけた跡が、まだこんなに鮮明に残ってる」
「……っ、見ないで」
私はシーツを引き上げたが、彼はそれを優しく剥ぎ取り、自分の胸板に私を引き寄せた。
肌と肌が直接触れ合う熱。
彼の逞しい骨格と、対照的な私の体。
その境界線が曖昧になるほど密着していると、自分が彼の一部になってしまったような錯覚に陥る。
「……ねえ、凛さん。こうしてると、あんたが本当に俺だけのものだって、実感できるんです」
彼は私の髪を指で遊びながら、慈しむような瞳で私を見つめた。
会社では誰よりも有能で、隙のない「高瀬瞬」。
でも今、私の目の前にいるのは、乱れた髪で私を独り占めしようとする、剥き出しの「男」だ。
「……私も。…こうしてると、現実じゃないみたい。……夢なら、覚めなきゃいいのに」
「夢じゃありませんよ。……もし夢だとしても、俺が何度でもあんたを引き戻しますから」
彼は私の顎を優しく持ち上げると、溶け合うような長い、長いキスを交わした。
空腹さえ忘れて、ただお互いの存在を確かめ合う時間。
何もしない。どこへも行かない。
ただ、二人の体温を分け合う。
かつての私にとって、一人の休日は「静寂」でしかなかった。
でも今は、この騒がしいほどの鼓動と、彼の温もりこそが、私の世界のすべてだった。