ここは記憶を保管する図書、ディプリート図書館。あなたの記憶を安全に保管する所でございます。トラウマ、悲しみ、恐れ、喜び、幸せ、自分自身 これらのジャンル分けをしており、3つのランク分けをしております。
僕達は誰も拒みません。記憶を保管するかしないかはお客様しだいでございます。図書館員一同 お待ちしております。
ア「今日の天気は雨ですか….湿気は困りますね」
ロ「そうですね。本がヨレヨレになってしまいます」
ク「アセビ!このガキどうにかしろ!!」
ア「クローバー….ガキだなんて言葉使わないでください。ちゃんと名前があるんですから」
ネ「そうだよ!私にはネリネって名前があるもん!!」
サ「僕だってサイネリアって名前があるもん!!」
ク「悪かったよ」
ロ「おや?お客様のようですね」
ア「僕が出迎えてきます」
ロ「お願いいたします」
ア「ようこそ ディプリート図書館へ。カナリア様お待ちしておりました。」
⏳「あら、私の名前を知っているのね?」
ア「もちろんでございます。カナリア様は1度こちらにいらしたことがございますから。」
⏳「あら、そうだったのね….私すぐ忘れちゃうから覚えていないの」
ア「では思い出してみるのはいかがですか?前回起こしくださった時にお預かりしたました記憶を大事に保管しております。当時、それは大切な記憶だから大事に守ってねと言われました」
⏳「そうだったのね….それじゃあ私の記憶とやらはどこにあるの?」
ア「ただいま担当の者をお呼びしますね。ネリネ、お客様ですよ。」
ネ「はーい!!あ、カナリアお姉さん!….でも今は….おばあちゃん?」
⏳「なんでもいいわよ?ネリネちゃん よろしくね?」
ネ「うん!」
幸せの本棚
ネ「おばあちゃんの本はこっちだよ!」
⏳「孫を見ているようだわ….」
ネ「孫?孫って何?」
⏳「孫っていうのはね?私の子供の子供よ?ネリネちゃんは私の孫に似てるわ」
ネ「前に来た時は娘みたいって言ってたよ?」
⏳「おや…そうだったかい?ならごめんね…?私記憶が無くってね…..今日は外を散歩していたら急にこの図書館に着いてしまったの」
ネ「お兄さんの記憶だよね….」
⏳「ん?どういうことだい?」
ネ「おばあちゃんがここに来た理由はお兄さんの記憶を預けるために来たんだって言ってたよ?」
⏳「お兄さん…..?」
ネ「あ、あった!この本だよ!んー!!もうちょっとあと少しで取れるのに…..」
ク「ネリネ 何やってんだ?」
ネ「あ、クローバー!あの本取って?」
ク「仕方ねえな….てか懐かしい顔がいるな。確か名前はカナリアだっけか?ほらよ、これをとって欲しかったんだろ?」
ネ「うん!ありがとう!!」
ク「ロベリアがおやつを作ったってよ。その本持ってばあちゃんと一緒に来な」
ネ「分かった!」
⏳「私あの子と知り合いだったかい?」
ネ「うん 楽しそうに話してたよ!おやつができたんだって!一緒に行こ?」
⏳「そうだね 行きましょうか」
ロ「カナリア様 本は見つかりましたか?」
⏳「ええ この子のおかげでね」
カナリアはネリネに微笑んだ。ネリネは昔を思い出し少し泣きそうになってしまった。前もこうやってお茶をしながら本に記憶を書き写した事を忘れることはない。
ネ「おばあちゃん….それ読んでみない?」
⏳「そうだね…読んでみようか」
しばらく読み続けているとカナリアの目からぽたぽたと涙が流れてきた。
ネ「おばあちゃん….?大丈夫?」
⏳「ネリネちゃん ありがとう….この人を大事に守ってくれて….私の大切な人なの…私はこの人と結婚できなかったけど愛していたわ。心の底からずっとずっと….」
ロ「ネリネ 良かったですね….」
ネ「うん….本当に良かった」
入口付近
⏳「ネリネちゃん これをあげるわ」
ネ「これなに?」
⏳「これはカーディガンよ。私が大切にしてたこの人との思い出よ。ずっと守ってくれたお礼よ。ありがとうね」
ネリネはアセビの方を向き、貰ってもいいのか疑問の表情を見せた
ア「カナリア様 ありがとうございます。ネリネもちゃんとお礼を言いなさい。それにこれはお客様が君に託した思い出という記憶の一つだよ?記憶を管理する者としてちゃんと持っておきなさい」
ネ「うん 分かった….おばあちゃん….いやカナリアお姉さん ありがとう!!」
⏳「本当に娘みたいで可愛いわ。」
ネ「っ!気をつけてね!!良い旅を!!」
カナリアは図書館を出ていった。
ネ「っ…..!ポロポロ」
ア「また1人旅立ってしまいましたね。彼女は良い人生を送ったのでしょう。あんな笑顔をこの世をされるのはとてもいい事です。」
ネ「最後….思い出してくれたんだ…ちゃんと覚えていたんだよ….ネリネのことをちゃんと…. ポロポロ」
ア「良かったですね….さぁお茶にしましょう。天気も晴れてきましたしね。」
ネ「うん」
人とはいずれは死ぬ、歳を取れば記憶をなくしてしまうこともある、だがごくたまに思い出す人もいる。そういう人は心優しい人であると思う。この図書館は出てしまうと記憶がなくなってしまう。だから、カナリア様は珍しいことをなさった余程ここでの出来事が楽しかったんですね。
ア「ネリネを覚えていたということはそういうことになりますね。」
ロ「あの子は純粋で心優しい子ですから」
ア「そうだね」
ネ「アセビ?ロベリア?」
ロ「今行きますね」
死ぬ直前に見るものを走馬灯と言うが、それはあくまで記憶の1部に過ぎないと考えている。死ぬ直前に大切な思い出を全て思い出せたらどれだけ幸せなのだろうかと思った。ネリネに任せてよかった
ア「それでは皆様、良い旅を」
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