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―side真希―
「さぁ・・・二時間ちょっとのドライブよ、おじいちゃんとおばあちゃんの所へ行きましょうね」
この日の為にあたしは借りたレンタカーの後部座席に新生児用のチャイルドシートを取り付けた
フワフワのおくるみに、あたしが買った可愛い水色のベビードレスが晴馬には良く似合った、今はおっぱいも足りてオムツも濡れていないのでとてもご機嫌だ
晴馬は信号待ちで止まったら少しグズリ出したけど高速に乗ったら車の振動が気持ち良いのかぐっすり眠ってくれた
広島のインターで哺乳瓶でミルクをあげてオムツを変えてあげた、トランクにはオムツと沢山のベビー用品を乗せてある、ベンチに座ってミルクを上げていると「かわいいわねぇ~」と何人かのおばさんに話しかけられた
「男の子?」
「はい!二か月なんです」
「あらぁ~二か月で長旅ねぇ~」
「主人の実家の広島に初孫を見せに行くんです」
「それはそれは、みなさん大喜びねぇ~」
「ハイ、義母も義父も跡取りが出来たって喜んでます」
「そうでしょうとも~♪これでご主人のおうちは繁栄するわね~」
あたしは通りすがる人達から沢山の祝福を受けた、この子を抱いていると本当に幸せだ
そして再び晴馬をチャイルドシートに乗せて俊太の実家がある広島の呉の坂道を運転する
坂道を登り切ったら見えて来る、戦後建てられた大きな鯉の池がある庭・・・小石打ちこみ仕上げになっている牡蠣漁の大きな網元のおうち・・・
あたしはおくるみにくるまった晴馬を抱いて玄関のインターフォンを鳴らした
ガラッ「ああっ!真希ちゃん!!どんなに心配したか!どうして連絡くれなかったの?お父さん!お父さん!真希ちゃんが来たわよ!」
俊太の母はあたしを見るなり涙を浮かべて半狂乱で俊太の父を呼ぶ
ドタドタッ「おおっ!お前さん!元気にしとったのか!俊太も心配していたぞ!今ヤツは養殖牡蠣の漁に出とる!スグに呼び戻そう!」
大慌ての二人に向かってあたしは弾けるような笑顔で言った
「お義父さん、お義母さん!男の子を授かりました!」