あいつすぐ考えてる事読んできてキモいんだけど。
それな。気分悪いのに無理矢理雰囲気変えようとしてくるのウザいし。
心読めるって事はこの会話も聞かれてるってこと?
別に聞かれてもいいでしょ。もう『友達』じゃないんだし。
♢
蝉が校舎近くの木に止まりミーンミーンと鳴く声が余計に暑さを感じさせる今日。 高校2回目の夏が来た。
青春を謳歌するのに絶好の季節だが、愚痴をこぼす一人の男がいた。その男の名前は風間和馬(かざま かずま)と言うダジャレのような名前をした男だった。
和馬「俺は夏嫌いだなぁ」
「いや、誰も聞いてないから」
とツッコミを入れてくれたのは高校でできた唯一の友達浅木優(あさぎ ゆう)だ。
和馬「お前はいいよな、能力で暑さを凌げるんだから」
この世界の人間には『能力』を授けられる。
この能力がいつから使えていたのかはまだ判明されていないらしい。
優「和馬は能力ないんだっけ?」
和馬「まあな」
別に珍しいことではなく、能力を持つ人と持たない人の割合は半々くらいだ。しかし俺は無能力者ではない。言ってないだけだ。優には言ってあるが、公には言っていない。この世界では普通できない事が能力でできるようになってしまう。例えば100メートルを4秒で走ってしまったり、空を飛んでしまったり、俺の能力みたいに人が嘘をついたら嘘をついたと分かってしまったりといろいろある。この能力を公に言わないのはそれだけでいじめられる可能性が出るからだ。経験者は語る、こんな能力言わない方が気楽に生活できると言うものだ。
優「同じ無能力者って言えば、心さんだな」
心彩(こころ あや)クラスでも一際目立つ容姿でいつも周りには人がいる。が能力がないと本人の口から自己紹介の時に言っていた。
「心って一緒にいると気持ち読み取られてるんじゃないかって思うっちゃうくらい話が合う時あるよね!」
「それな!」
心「えー?そうかなー?」
心「って言うか心読み取るとか無理だからw」
「確かにw心能力ないって言ってたもんね」
和馬「あ……」
俺の能力が発動するとアホ毛が立つ。つまり…
和馬(嘘ついた?)