テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ネコの退屈
28
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
砂かけおば様と、子泣きおじ様は何故かニコニコしながら私を出迎えてくださった。私はそんな2人に頭を下げ、持ってきていた人間界のお土産を手渡した。
「悪いねぇ、いつもいつも」
砂かけおば様が申し訳なさそうにお土産を受け取ってくださった。
「……いえ」
私は頭を下げる。
人の気配がするから、鬼太郎さんに依頼した人間それか、付き合いのある人間が遊びに来ているのだろう。長居は無礼だろう。
「……私はこれで失礼いたします。」
私がそう言って去ろうとすると焦ったようにおふたりは私の腕を掴んだ。
「せっかく来たんじゃ、ゆっくりしていきなさい」
子泣きおじ様が私に笑いかける。
私は、断る選択肢はないのを知っているからそれに頷き、鬼太郎さんの住処である妖怪ハウスへ足を踏み入れた。
中に入ると、真ん中に大きめの机があり、その机に目玉の親父様がお椀の中にはってある湯に使っていた。その湯をやかんで冷静に継ぎ足している鬼太郎さんと人間の少女が座っていた。
「失礼いたします。目玉の親父様、鬼太郎さん。」
目玉の親父様はお椀風呂に入りながら、答えてくださった。
「よくきたのぉ、せいちゃん。」
私は身体がガチり、と固まった。
何故、嬉しそうなのか。
何故、近くにいる少女に向けるはずの笑みを私に向けているのか。
理解ができない。
「……せい。」
「はい、」
鬼太郎さんに呼ばれ、私は直ぐに返事をし、鬼太郎さんの方を向く。
「……なにかあったのか?」
なんで、なんで。
なんでお分かりになられるのですか、
鬼太郎さん。
私は答えられなかった。
私、助けを求めに来たんじゃなくて、お土産をお届けに参っただけなのに。
なんで、私のことなど嫌いなはずじゃないか。
「……ぃ……いえ……」
「……そうか。」
私はふたりとその近くに座る少女に頭を下げる。
「すみません、お土産の方を差し上げるために参った次第でございます。」
私はそう言ってお土産を差し出した。
「お忙しいのに、申し訳ございません。失礼いたします。」
私はそう言って妖怪ハウスから出ていった。