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第18章
正義が武器になる時
第131話:最初の流血
それは、
偶然だった。
市場の一角。
国家神の祈祷隊と、
神を疑う若者たち。
「邪魔をするな」
「質問してるだけだ」
言葉が、
交差した次の瞬間。
拳が出た。
血が落ちた。
――それだけで、
世界は一線を越えた。
第132話:誰も悪くない顔
倒れたのは、
祈祷隊の少年兵だった。
周囲が、
凍りつく。
「……俺は、
守ろうとしただけだ」
殴った若者は、
震えながら言った。
嘘じゃない。
全員が、
「正義」の顔をしていた。
第133話:噂は刃を研ぐ
その夜。
「反神派が、
先に手を出した」
「いや、
国家側が挑発した」
真実は、
もう重要じゃない。
怒りは、
理由を欲しがらない。
第134話:正義という免罪符
健は、
現場に立つ。
瓦礫。
血の跡。
「……これが、
俺のやりたかったことか」
答えは、
出ない。
だが分かる。
思想は、
放っておけば
必ず武器になる。
第135話:止めに来た男
「遅いぞ」
レオンが、
剣を肩に担いで現れる。
「街が割れ始めてる」
健は、
歯を食いしばる。
「俺のせいだ」
「違う」
レオンは即答した。
「お前は、
火種だ」
「燃やしたのは、
別の奴らだ」
第136話:暴徒化
夜明け。
反神派の一部が、
武装を始める。
「話しても無駄だ」
「力で止めるしかない」
その理屈は、
かつて国家が使ったものと、
寸分違わなかった。
第137話:健の選択
健は、
前に立つ。
剣も、
旗も持たずに。
「やめろ」
静かな声。
「それは、
神と同じだ」
怒号が飛ぶ。
「じゃあどうしろ!」
健は、
一瞬だけ黙る。
「……俺にも、
答えはない」
「だから、
殺すな」
第138話:殴られる覚悟
石が、
飛んだ。
健の額を、
掠める。
血が流れる。
だが――
健は、
融合を使わなかった。
殴り返さない正義。
それは、
最も理解されない行為だった。
第139話:割れた正義
その姿を見て、
立ち止まる者が出る。
「……あいつ、
本気だ」
武器が、
一つ落ちる。
次に、
もう一つ。
だが――
全員ではない。
逃げる者。
吠える者。
正義は、
完全には止まらない。
第140話:観測者の判断
観測層。
ノクスは、
静かに結論を出す。
「……確定」
「正義が、
暴力へ転化」
画面に表示される。
《均衡崩壊:不可逆段階》
「対象・野山健」
一拍置いて。
「――排除優先度、
最高位」
世界は、
もはや。
話し合いでは、
戻れない地点に立っていた。
第18章・了
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