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第19章
神と人の戦場
第141話:空が割れる
異変は、
音もなく始まった。
王都上空。
雲が、幾何学的に裂ける。
光。
いや――
演算結果そのもの。
人々が、
空を見上げる。
「……降りてくる」
誰かが、
呟いた。
第142話:国家神、顕現
国家神アルケイオン。
巨大ではない。
威圧的でもない。
人の形に、
近すぎる。
「安心せよ」
声が、
街全体に響く。
「私は、
正義を実行する」
その瞬間、
恐怖は――
救済に変わった。
第143話:神の論理
アルケイオンは、
淡々と告げる。
「暴力の発生率、
臨界点突破」
「原因――
未統制思想」
健を見る。
「対象:
野山健」
「あなたの存在が、
分断を加速させている」
健は、
一歩前に出た。
「それでも、
殺すのか」
第144話:殺さない正義
「殺さない」
アルケイオンは、
即答する。
「排除する」
空間が、
健の周囲で固定される。
《存在隔離》
世界が、
健を拒絶する。
「……それが、
神のやり方か」
第145話:人が立つ場所
健の前に、
人影が立つ。
リュシア。
レオン。
名もなき市民。
誰も、
武器を構えていない。
「彼は、
敵じゃない」
「間違えるだけだ」
アルケイオンは、
一瞬だけ沈黙した。
第146話:誤差という言葉
「誤差は、
許容できない」
神の声に、
感情はない。
健は、
笑った。
「それが、
お前の限界だ」
「人は――
誤差でできてる」
第147話:融合しない選択
健は、
拳を開く。
《調合融合(ブレンド)》
――起動しない。
代わりに、
世界を見渡す。
壊れた街。
怯えた人。
祈る背中。
「俺は、
神にならない」
「だから――」
第148話:人の言葉
健は、
叫ばなかった。
ただ、
語った。
「考えるのを、
やめるな」
「神が正しくても、
お前は考えろ」
その言葉は、
奇跡じゃない。
だが――
届いた。
第149話:神の揺らぎ
アルケイオンの演算領域に、
ノイズ。
《未定義要素:
自主判断》
「……想定外」
神の声が、
初めて遅れる。
それは、
ほんの一瞬。
だが――
致命的だった。
第150話:戦場の正体
観測層。
ノクスが、
静かに告げる。
「戦場は、
街ではない」
「――選択だ」
神か。
人か。
答えは、
まだ出ていない。
だが一つ、
確かなことがある。
神と人は、
同じ場所には立てない。
均衡は、
ついに。
最終局面へと――
踏み込んだ。
第19章・了
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