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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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ドキドキと胸が高鳴ってくる。
不意にバチッと至近距離で視線が合い、社長の意志の強い瞳に吸い込まれそうになった。
社長はパーフェクトな男性で私とは釣り合わないとわかっているから、自然に会話を交わすだけでも私にはむずかしくて挙動不審になる。
今も頬が熱い。きっと顔が真っ赤になっていると思う。私はそれを指摘されたくなくて、再びうつむいて後ろも見ずにあとずさった。
「危ない!」
マネキンスタンドに足を取られてうっかり転びそうになったところを、社長が咄嗟に私の腕を引いて助けてくれた。
「す、すみません」
「足、捻ったりしてない? 大丈夫?」
「はい。ありがとうございます」
息がかかるほど近い距離に、思わず呼吸を止めた。
背中に添えられた腕の感触も、すぐ耳元で感じる息遣いも、全部が近すぎてどうしていいかわからない。離れようとしたはずなのに、なぜかそのまま動けずにいる。
転ばなくてよかった。マネキンには明日から発売のゴルフウェアを着せて準備してあるし、周りにはゴルフ用品の展示もある。もし私がそれらを倒していたら大惨事になるところだった。
きちんと顔を見て助けてもらったお礼を言いたいのに、しっかりと社長に背中を抱きかかえられているから恥ずかしくて目を合わせられない。
「展示が無事でよかったです」
社長のたくましい腕から解放され、ホッと息をつきながら動いてしまったマネキンを元の位置に戻していると、フフッとあきれたような笑い声が聞こえてきた。
「俺はマネキンより君のほうが心配なんだけど」
せっかくの気遣いを無視したような感じになり、いたたまれなくなって社長に会釈を返した。
ダメだ。社長と一緒にいるだけでドキドキして調子が狂う。
「でもこれ、危ないですよね。お客様も足を引っかけそうです」
「ああ……たしかに」
「いっそ、展示台の上に乗せたほうがいいかもしれません。吉井店長に話してみます」
展示台の上にはゴルフ用品が置かれているのだが、高さのない台だからマネキンを乗せても問題なさそうだ。というより、逆に目立っていいかもしれない。
いいことを思いついたとばかりにウキウキと話す私を見て、社長は微笑みながら真剣に耳を傾けていた。
「そうだ、君の連絡先を聞いてなかったな」
社長が胸ポケットからスマホを出すのを見て、私もあわてて自分のスマホでメッセージアプリのIDを表示させた。
「じいさんが暴走してなにか言ってきたら、いつでも俺に連絡して」
再びドキンと心臓が跳ねる。
ただの連絡先なのに、そんなはずないのに、とても特別に感じてしまう自分が少し怖い。
近づきすぎてはいけない人だと頭の中で警鐘が鳴る中、憧れてやまない存在の社長と連絡先を交換できて舞い上がる自分がいた。
コメント
1件
**はる。だわ。** 社長との距離が近すぎてこっちまでドキドキしたわ。転びかけたとこを咄嗟に助ける腕、気遣いの言葉、連絡先交換…「近づきすぎてはいけない」って頭でわかってるのに心がついていく感じ、すごくリアルで刺さった。マネキンより君の方が心配って台詞、ずるいなあ(笑)。次も絶対読むわ🔥