TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



-・ ・・・- --・ ・--・ 



「2人ともお待たせ……って、あれ。タクマだけ?」



「おかえり、律。

ついさっき、美紅ちゃんもお手洗い行ったよ。入れ違ったね」



「そっか。女子の方は結構混んでたから、もうちょいかかるやろなー」



「やー、にしてもさぁ……良い式だったね。

圭さんと朱音さんも息ぴったりで……さすが幼馴染って感じ」



「なー。なんか……かっこよかったなぁ、圭兄」



「あ、久しぶりに見た。律の寂しそうな顔」



「え……寂しそう?てか、久しぶりって何」



「関西居た時は、頻繁にしてたじゃん。その顔」



「え。

し、してへんよ、そんなん」



「してたしてた。

ケータイの通知見つめながら、とか。

ゲームしながら、とか。

あの貝殻眺めながら……とかさ。

誰のこと考えてるか、一目瞭然だったよね」



「…………恥ず」



「美紅ちゃん、いつも通り元気そう……に見えるね。

決着つけられたかなぁ……。

自分自身が納得できる答え、見つかってるといいんだけど」



「そーやなぁ……」



「……ねぇ。

律はさ……ほんとに思わないの?

美紅ちゃんに、”自分の気持ち伝えたい”って」



「えぇ……?

うーん……どう、やろ……。

正直、あんまりよくわからへんなぁ。

長年ずっと平行線やったし……」



「ふむ」



「今度こそ、見逃さないようにしたい……とは、思ったりするんやけど………。

美紅が、悲しんでる時とか、苦しい時とか……そういうの、全部…………って。急に何の話させるん」



「んー。

律は、もっと自分のこと大事にしてもいいと思うけどなぁ」



「え、自分って……俺自身ってこと?」



「そう。だってさぁ……

美紅ちゃんのことを第一に考えすぎて、本音が言えないんでしょ?」



「え」



「例えば……『言っても困らせるだけ』とか、『美紅ちゃんにとって自分の気持ちは邪魔なんだ』とか、勝手に考えてない?」



「な、なんでわかんの」



「しかも。

そーやって気を揉んでる自分に気付かれたくなくて、

悪態ついちゃったりするんでしょ?」



「そ……そうかも……」



「”無欲で安全圏な幼馴染”で終わりたいなら、このままでいいけどさー。どうなの、それは」



「それは……嫌やけど……でも現状しゃーないし……って、突然どうしたん。タクマ」



「いや……なんとなくさ、

2人にとって、今日が転機になる気がするんだよね。

そんな時、ボクに出来る事を考えた結果がコレ」



「??」



「……まあ、とにかく。

今は『好き』が言えないなら、

美紅ちゃんに、自分の要望を伝えるところから始めてみれば?

『〜したい』とか『〜してほしい』って感じでさ」



「ええー……そんなことして嫌われたらどうするん」



「律が多少ワガママになったところで、嫌な気分にならない……というか、むしろ嬉しいハズだよ」



「そうかなぁ……いまいち実感わかんけど」



「まぁ、大丈夫だって。

もしもダメだった時は慰めてあげるし。

……ボクの左側が、まだ空いてればね」



「……頼もしいんか無責任なんか、よう分からんなソレ」



「いやいや、間違いなく前者でしょ。

こんなに律想いな人、中々いないよ?」



「はは、それはそう」



「でしょ」



「俺さぁ……まだマシやったと思うで」



「え、何が?」



関西アッチおったとき、確かに寂しく感じることもあったかもしれんけどさ。

でも……忘れられてる時間もあったと思う」



「……なんで?」



「そら勿論、タクマがおってくれたからやん」



「え」



「タクマとはさ、”波長が合う”っていうんかな?

『これ言っても大丈夫かなー』とか『伝わってるかなー』とか、そういう細かいこと考えんでいいんよなぁ。

自分の脳内を、そのまま見せれるっていう感じ。

それが、すーげぇラクで楽しい」



「…………そうなんだ」



「あと、タクマって人のことよく見てるよなぁ。

たまに、自分の事やのに後手になったりするもん。

例えばさぁ……タクマが何も言わずにスッって帰った後で『あ。俺今、1人になりたかったんや』って気付かされる、とかな」



「……そういう時の律、同じ曲をループでかけ始めるんだもん。それが合図なんだよ」



「え。俺、そんなことしてる?ヤバい奴なのでは?」



「まぁね。いーけどね、わかりやすくて」



「あ、否定してくれへんのや……まぁ、とにかく。

タクマがおると安心するというか……なんて言うんやろ……」



「………………」



「うーん……うまく言い表せへんけど……。

“普通の友達”とはちょっと違う……”特別”な感じがあるんよなぁ……」



「……………………とく、べつ……」



「なーんて、俺の勝手な押し付けやけど……って、うわ!?

たっ…………タクマ?どーした……?」



「え……?」



「な………………なんで泣いてんの」



「………………あ」



「ごめん……なんか悪いこと言うてもた?」



「ちが…………い……いいんだよ、これは。

…………律のせいじゃ、ないし。

えっと……そう。コンタクト、ズレただけ」



「あ、マジ?

いつまでも慣れへんのやなぁ、コンタクト。

えー、どーしよ。鏡持ってないわ」



「……大丈夫。スマホのカメラで……うん、直った。

って、あれ。

ねぇ……美紅ちゃんからメッセージ来てたみたい。4分前」



「え、なんて?」



「えっと……。

あ……『ごめん、先帰る』って……」



「え………………すまん、タクマ。1人で帰れる?」



「うん。

ボクのことはいいからさ、早く追いかけなよ」



「ありがとう」



「……あ、でも。一つだけ」



「ん?」



「”ボクにとって……も”…………いや、やっぱりいいや。

ごめん。行って」



「え。

と、とりあえず来週飲み行こ。また連絡する」



「うん、気をつけてね」



「おー、タクマもな!」



「…………うん。

やっぱ、キミと同じようには言えないよ。

『ボクにとっても、特別だよ』……なんて」



——————→→→→←——————

喧嘩するけど、君がいい

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚