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朝から晴れて、気持ちの良い青空が広がってる。
秋風がほんの少しだけ肌寒い。
朝ごはんも美味しく頂き、私達は旅館を後にした。
近くの温泉や観光地の撮影と取材をこなし、昼過ぎには帰路についた。
『久しぶりにリフレッシュしたよ。本当に良い旅館だったね』
『ああ、そうだな』
男性2人の何気ない会話。
温泉街の風流な景色にお別れし、私達は都会へと戻った。
とりあえず、朋也さんは今日はホテルを取ったみたい。
一弥先輩とも別れ、私は久しぶりに1人の夜を過ごした。
変な感じがする…
ずっと1人が当たり前だったのに、今は…
なぜかすごく寂しいんだ。
ここに座って…
一緒にお茶を飲んで、いろいろ話して…
1人だと静か過ぎるよ。
朋也さんの少し低くてカッコいい声。
最初は怖いだけだったのに、今は…とても好きな安心出来る声になった。
朋也さん、今頃ホテルで何してるんだろう…
声、聞きたいな…
次の朝、私は1人で目覚めて、1人で電車に乗って1人で会社に向かった。
ミーティングルームに入っても、朋也さんも一弥先輩もいない。
それでも、夏希やチームのみんなに元気に挨拶して仕事に向き合った。
必ず今のプロジェクトを成功させたい。
その気持ちだけは、いつも変わらなかった。
資料室に行こうと部屋を出た時、菜々子先輩とぶつかりそうになった。
『すみません、大丈夫ですか?』
菜々子先輩はしばらく黙ってる。
私が言ったの聞こえなかったのかな?
『…恭香ちゃん』
『え、あ…はい』
どうしたんだろ?
ちょっと怖い顔…
『あなた本宮さんと自分が釣り合ってると本気で思ってるの?だとしたら本当におめでたい人ね。早く…消えなさいよ。目障りだわ』
菜々子先輩は、あまりにも唐突に吐き捨てた。
とがった言葉が私に突き刺さる。
それは、ナイフみたいに痛くて…
涙が出て来た。
笑顔も無い、冷たい目が怖くて。
菜々子先輩は朋也さんが好き…
でも、朋也さんと私との関係を菜々子先輩は知ってるの?
知ってるからそんなに私に攻撃的なの…?
『…菜々子先輩。私、菜々子先輩に何かしましたか?どうして私のこと目障りとか言うんですか…』
その瞬間、菜々子先輩の顔つきが変わって、さらに怖い顔になった。
『あなたのその顔が目障りなの。本宮さんがあなたみたいな人を好きになるなんて信じられない。無性に腹が立つわ。あなた…どうせお金が目当てなんでしょ?どうやって誘惑したか知らないけど、その顔でよく出来たわね』
尊敬してた菜々子先輩の言葉、すごく悲しい。
菜々子先輩も、梨花ちゃんも…
同じこと言うんだ…
心が痛くてやりきれないよ。
『菜々子先輩。私は…お金持ちだから本宮さんを好きなわけじゃありません。御曹司じゃなくても、私は…本宮さんが好きです』
『あなたも本宮さんが好きなのね…本当、最低ね』
菜々子先輩は、私のすぐ横に来て見下すような視線を送ってきた。