コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「口で言うってより見たほうが早いかもな。」俺は左腕に巻いていた包帯を剥がし始めた。
そこにあったのは赤く、けがれている細い腕。左肩の付け根付近から左手の指先までに広がっていた。
「それって… なんですか?」見たほうが早いと言われて見たとしてもよくわからない。俺が入院する病院は軽い怪我や病気でくるような病院ではない。高窓さんの左腕の見た目的には、ただの火傷のように見えた。
「…珍しい難病なんだとよ、とくに俺は生まれたときからあるのに時間が経って発症してるからな。」高窓さんはダルそうな表情を見せながら、口を使って右手で器用に包帯を巻いていた。
「なるほど…。包帯巻くの手伝いましょうか?」
「いい、俺のことは結構話しただろ。そっちはどうなんだよ。」俺がベッドから起き上がろうとしているところでまた鋭い言葉のナイフが飛んできた。今回は、なんとかそのナイフをギリギリでかわせたようだ。
「俺は〜、20の大学二回生です。プロのサッカー選手目指してるんですけど、足折っちゃって。」
俺よりも年下だからこんなガキンチョに見えたのか、と納得する。いや、プロのサッカー選手目指してんのに足折ったらだめだろ。てか、コイツの名前なんだっけ。忘れた。ん〜、思い出せねぇ。
「へ〜。てか名前なんだっけ。」言葉を発し終わった直後に思う、「俺どストレートだな」って。でも、サッカーやってるやつにはわかんねぇか。
「え?だから木口です。」口をぽっかりと開けて驚いて餌を食べる金魚みたい、と思った。
んで、俺は適当に言葉を返して会話を終わらした。そして、読み止めていた本を手にとり、病室は更に静けさを増した。