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太宰って中也のこと「中原」呼びすることあるのかな
バタン、と重厚なドアが閉まる音が部屋に響いた。 その瞬間、太宰の心臓が跳ね、視界から色が消える。
「……ぁ、……ちゅう、や……っ? ま、待って……行かないで、……っ」
返事はない。ただ、静まり返った部屋に自分の荒い呼吸と、頭の中で鳴り響く脈動だけが聞こえる。 両手首は中也のネクタイでソファの柱に括り付けられたまま。自由を奪われた状態で、太宰はひとり、灼熱の砂漠に放り出されたような絶望の中にいた。
「……っ、……ゔ、……ぅ……っ!!」
喉の奥から、言葉にならない、獣のような唸り声が漏れる。 中也に触れられた場所が、まるで毒を流し込まれたように疼いて止まらない。 太宰はなりふり構わず腰を動かし、ソファの布地に身を擦り付けようとした。だが、その姿勢ではどこにも届かない。動けば動くほど、手首の結び目が食い込み、自分がいかに無力な「囚われの身」であるかを痛感させられるだけだった。
「……あ、……ぅぅ、……っ、ちゅうや……っ、お願い、戻ってきて……っ!!」
シーツを噛み締め、涙で枕を濡らす。 ヨコハマを掌の上で転がすはずの男が、今や一人の男が与えた「飢え」に屈し、無様に身悶えている。 中也がいない。その事実が、どんな焦らしよりも太宰の心を切り刻んだ。
「……っひ、……あ……、ん、……ゔぅ、……っ!!」
自分では触れられない。中也は許してくれない。 もし今、勝手に果ててしまったら、次に彼が戻ってきた時、どんな「罰」を与えられるだろう。 その恐怖と、それを上回るほどの「中也に全てを支配されたい」という狂おしいほどの欲求。
太宰は力なく首を振り、震える脚を擦り合わせた。 中也の匂いが微かに残る部屋で、彼はただ、自分の内側から溢れ出す熱に溺れながら、足音が再び廊下に響くのを、今か今かと泣きながら待ち続けていた。