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「たまには図書室でやろうぜ~」

「んでだよ!!」

「なんか、優等生になった気分??になるっつーか。」

「そんなんでアホが治るんだったら、オレいらねーんだわ!!」

ここ最近、ノマドのヴォーカルの彼女が気になってしょうがない上鳴。おかげで授業についていけず、爆豪に教わる日々。

「そう言わずに~。ほいほいほいっ!!」

終始暴言を吐く爆豪をせっせと図書室に押し込んだ。

「やっぱ広いなー。」

「さっさ座る席決めろや。」

「へーい。じゃあ…」

窓際に目を向けると黒髪おさげの女の子が目に入った。姿勢よく、難しそうな分厚い本を読む姿が…。

「綺麗…。」

「あ゛??」

上鳴の呟きより大きい爆豪の声に、周囲の視線が一気に集まる。

「こ、ここに決ーめた。どうもすいませんね、あはは。」

周囲に頭を下げて、席に着く。爆豪も舌打ちし、向かいに座った。

「(そういや、あの子だけこっち見てなかったような…??)」

「おい。」

「はい??」

「間違ってんぞ!!」

「うぇ!?」

「教えたそばから何間違ってんだ!!集中しろやアホ面ぁ!!」

「ひぃぃ!!小声でも破壊力抜群!!」

この後も、何度か叱責されたのであった。

次の日の放課後。

「今日も図書室だぁ??」

「頼むよぉ。今日は鋭ちゃんも一緒だぜ??」

「すまねぇ爆豪。今日の授業はちょっと難しかった!!」

「ちっ…!!さっさと行くぞ!!」

安堵のため息を漏らし、図書室へと向かう。昨日と同じ席に行くと。

「(今日もいる…。)」

黒髪おさげのあの子も、昨日と同じ席に座っている。

「(毎日来てんのかなぁ…。あそこがお気に入りの席??)」

と考えてると、鋭い視線が上鳴に向いている。その視線の主はもちろん、爆豪だ。上鳴はその圧に耐えながらノートに視線を戻したのだった。

翌日の放課後。

「いやー。爆豪のおかげで今日の小テスト。補習にならずにすんだぜ。」

「ほんとほんと。さすが神様仏様、爆豪様!!」

「もっと称えろ。」

「てか、上鳴は赤点ギリギリだったろ。」

「それでも今日を切り抜けた!!」

「今日はどうすっか??」

切島の問いに、上鳴は少し間をおいて。

「あー。ちょっと…図書室行ってくる!!」

「え?あ、おう!!勉強か??」

「ま、まぁそんなとこ!!じゃ、行ってくるわ!!」

足早にその場をさる上鳴に、切島もさるとこながら、爆豪も驚きを隠せない。かける言葉もなく無言で彼を見送った。

「(やっぱりいた。)」

やはり彼女は、同じ席で分厚い本を読んでいる。が。

「(あれ、今日はうたた寝してる…??)」

まだ初対面でもないのに、その姿がなぜか愛おしく感じてしまうのは恋の芽生えなのかなんなのか。

「(声、かけるか…いや…)」

考えながらも、足は彼女の方に向かう。

「(ええい、当たって砕けろ!!)」

ついに彼女の向かいの席に座った。その気配に彼女は、驚いた顔で上鳴を見つめる。

「あのさ、何読んで??」

質問しようとすると、無言で彼女は待ってと言うように手を前に出す。不思議に思う上鳴に構わず、手際よくスマホにこう打った。

「私、耳が聴こえないの。唇の動きは多少読めるけど、こうやってスマホで会話してくれるとありがたいな。」

「え?あっ…。」

差し出されたスマホで自己紹介をする。彼女も同じように返信した。

「音無歌ちゃん。よろしくね。」

そう言うと、彼女は微笑んだ。続いて気になってたことをスマホに打つと、彼女は普通科でいつも放課後はここにいて、分厚い音楽の専門書を読んでいるとのこと。スマホでの会話を楽しんでいると、上鳴のスマホに切島からの心配メッセージが入る。

「もうこんな時間!?」

歌も辺りを見回して驚く。陽は沈みかけており人影もほとんどない。

「オレ、そろそろ行くわ!!」

と口で言いつつ、明日も来ていいかと打つと良いよの返信とともに彼女は微笑む。さらに

「私は、もう少し居るから先に帰ってて。」

とのこと。

「おう。じゃあまた明日な!!」

頷く彼女に手を振ってその場を後にした。

歌でしか聞けない君の声

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