テラーノベル
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「――kanaちゃん、ちょっと大事な話があるんや」宿題を終え、Natuki様による一瞬の『悪即斬』で平和が戻った街の広場で、kagerou様が真剣な面持ちでわたくしの前に立ちました。
「なにかしら、kagerou様?」
「このゲームな、一人でお散歩するだけやなくて、信頼できる仲間同士で『パーティー』を組んだり、さらに大きな集まり『ギルド』を作ったりできるシステムがあるんや。……自分、これの意味分かるか?」
「まあ、パーティーにギルド……? お友達同士で開くお茶会や、ダンスの舞踏会のようなものですの?」
わたくしが首をちょこんとかしげると、kagerou様はハァと優しくため息をつき、身を乗り出していらっしゃいました。
「まあ、似たようなもんや! パーティーを組むとな、仲間が倒した敵の経験値が分け合えたり、お互いの体力や位置がいつでも画面で確認できるようになる。そしてギルドを作れば、専用のアジトを持てたり、大勢で大きな目標に挑戦できるようになるんや!」
kagerou様は周りの仲間たち――m@rio様やRico様、mira様をぐるりと見渡して、照れくさそうに頭をかきました。
「俺らはな、kanaちゃんとマーブルちゃんが心配でこうやって集まっとるわけや。正式に『パーティー』や『ギルド』を組めば、もっと安全に、もっと色んなところへ自分らを連れて行ってあげられる。……どうや? 俺らと正式にチーム、組んでみへんか?」
『kagerouマジでいい奴だな……』
『保護者たちが正式にギルド結成か!?』
『「東雲家親衛隊」ギルド爆誕生の予感ww』
『胸熱展開きたあああああ!』
コメント欄が「温かい……」「泣ける」「最高かよ」と感動の言葉で埋め尽くされる中、わたくしは心から嬉しくなって両手を胸の前でギュッと合わせましたの。
「まあ……! 皆様と正式なお仲間になれるなんて、そんなに素敵なことはございませんわ! ふふ、ぜひよろしくお願いいたしますね!」
「ワンッ!(プルプル)」
膝の上のマーブルちゃんも、嬉しそうに可憐な声をあげてシッポをフリフリいたしました。
「よっしゃ!! 決まりや! ギルド名は……まあみんなでゆっくり考え――」
kagerou様が嬉しそうに顔を綻ばせたその瞬間。
それまで凛とした佇まいでわたくしの横に控えていたNatuki様が、無言でスッと一歩前へ踏み出されました。
「……Natuki? 自分、ギルド名に何か希望でもあるんか?」
kagerou様が問いかけますと、Natuki様は重厚な低音ボイスで、一切の迷いなく言い放ちましたの。
「――御意」
「なんで『御意bot』に戻っとんねん!!??」
kagerou様の叫び声が広場に激しく轟きましたわ!
「お前さっきまで『悪即斬! 悪即斬!』って暴れてたやろ!! なんで感動のギルド結成の瞬間に『御意』だけで済まそうとすんねん!! 語彙力の波が激しすぎるんじゃ!!」
ですが、Natuki様は一切動じることなく、深々と頭を下げてわたくしを見つめていらっしゃいます。
「まあ、Natuki様。わたくしたちが皆様とギルドをお組みすること、賛成してくださいますわね?」
わたくしが問いかけますと、Natuki様はさらに深く頭を下げ、至高の誠意を込めてお答えになりました。
「――御意」
「だから会話を放棄すなーーーーっ!!」
『御意bot復活wwwwww』
『感情が高ぶりすぎると「御意」に戻る仕様草』
『kagerouのツッコミのキレが今日もキレッキレで助かる』
『「御意」だけで全てを語るサムライwww』
頭を抱えて崩れ落ちるkagerou様と、嬉しそうに笑うm@rio様やRico様。
そして、その光景を怪しく目を輝かせながら「ギルド結成に伴うステータス補正のシナジー計算……完璧……ッ!」とログを高速入力するmira様。
「ふふ、皆様という最高の『お茶会(ギルド)』の皆様と一緒に、明日からもまた優雅なお庭のお散歩を楽しみましょうね、マーブルちゃん」
「……くぅん(プルプル)」
正式な絆(パーティー)を結び、さらに賑やかさを増したわたくしたちの冒険は、たくさんの温かい指南役様方に見守られながら、どこまでも楽しく続いていくのでした。
「――待ちなさいッ!!!」
楽しげにギルド結成のお話をしていたその時です。
広場の隅から、けたたましい足音とともに一人の少年の影が飛び出してまいりましたわ!
「な、なんだあいつ……!?」とkagerou様が身構えます。
そこに現れたのは、安っぽい布のローブをまとい、顔を真っ赤にした見習い魔法士の少年。頭上のネームプレートには、ひときわ大きく【Pochi_Fan】と書かれておりましたの。
「Pochi_Fan……? 誰や、見慣れへん名前やけど……」
首をかしげるkagerou様を無視して、Pochi_Fan様はゼェゼェと息を切らしながらわたくし(kana)の目の前にガバッと飛び出してきたのですわ!
「はぁっ、はぁっ……! よ、ようやく追いついた……! ネットの配信を見て、全速力で最初の街まで走ってきたんだ……!」
「あら? ごきげんよう、お若い職人様。わたくしたちに何かご用ですかしら?」
わたくしが上品に微笑みかけますと、Pochi_Fan様はなぜか悔しそうに拳をギュッと握りしめ、叫びました。
「お前だ……! あの『初期服のポンコツお嬢様』ってネットで大バズりしてた奴は……!!」
「「「「「――……は?」」」」」
広場の空気が、一瞬にして氷点下にまで冷え込みました。
kagerou様、m@rio様、Rico様、mira様、そして Natuki様のお顔から、先ほどまでの穏やかな笑みがスッと消え去り……代わりに、殺気すら帯びた「全保護者(親衛隊)の怒りのオーラ」がぶわっと湧き上がったのですわ!
『おい今の聞こえたか?』
『初見のアンチか??』
『お嬢様を「ポンコツ」呼ばわりしたぞあのクソガキ……』
『mira、即座にIP特定してBANの準備しろ!!』
コメント欄も一瞬でブチギレモードの弾幕へと変貌いたしました。
ですが、Pochi_Fan様は周囲の恐ろしい殺気に気づく様子もなく、嫉妬に狂ったような目でわたくしを睨みつけました。
「ふん! どうせお前みたいなコネ持ちの世間知らずのお嬢様が、高レベルのプレイヤーたちにキャリーされて調子に乗ってるだけだろ!? そんな奴が『天使』だの『奇跡の配信』だともてはやされてるのが許せないね! 本当はゲームのルールも分かってない役立たずの足手まといのくせに!」
「まあ……」
わたくしは驚いて両手を頬にあてましたわ。
役立たずの足手まとい……? ひどい言われようですこと。
「ちょっとボウズ……! 口の利き方に気ぃつけや……!」と、m@rio様が重鎧を鳴らして一歩前に出ます。
Rico様もキリッと目を吊り上げ、「私の最高級ドレスとマーブルちゃんを侮辱するなんて、いい度胸ですわね……!」と魔導書を構えましたわ。
しかし、そのお二人を片手でスッと制したのは――驚いたことに、Natuki様でした。
朱色の袴を翻し、一歩前へ出たNatuki様は、鞘からカタナをわずか数センチだけ引き抜き、地獄の底から這い出るような重厚な低音ボイスを響かせましたの。
「――お主、今なんて申したか」
「ひっ……!」と青ざめるPochi_Fan様。
「我が主であり、この世界の至宝であられるkana様に牙をむくとは……その無礼、万死に値する。――悪即斬!!」
「ちょっ、Natuki待て街中でガチのプレイヤー斬ったらアカンーーーっ!!」
kagerou様が慌ててNatuki様の腕にしがみつき、決死の制止に入ります!
一歩間違えれば大惨事になりかねない一触即発の事態。
ですが、わたくしは慌てることなく、ふっと優雅に微笑み、膝の上のマーブルちゃんをそっと撫で下ろしましたの。
「ふふ、皆様、お落ち着きになって。そんなにお怒りにならなくてもよろしくてよ」
わたくしがそうお声をかけますと、暴走しかけていた保護者の方々は「しかしkana様……!」「あんな無礼な奴……!」と悔しそうに歯を噛み締めました。
わたくしはコテンと首をかしげ、ポチ・ファン様へと向き直りましたわ。
「お若い職人様。わたくしを『足手まとい』とお仰いましたけれど……ご安心なさいな。わたくし、今日のお散歩ではまだ一度もモンスターを攻撃しておりませんもの。ですので、ご迷惑をおかけすることはございませんわよ?」
「は……? 何言ってんだお前、モンスターを攻撃しないって……」
「ええ。ですが、どうしてもとおっしゃるなら……マーブルちゃん、お友達にご挨拶して差し上げなさいな」
「くぅん……♪」
マーブルちゃんが、プルプルと可愛らしく震えながら、ポチ・ファン様へとつぶらな瞳を向けました。
**【固有スキル:あざtoi威嚇(キュン♡)発動】**
「――っ!?」
パァンッ!! と目に見えない可憐さの衝撃波が、ポチ・ファン様を直撃いたしました。
「な、なんだこれ……!? 急に身体の力が抜けて……胸が……胸が締め付けられる……っ! なんて可愛……いや、違う、俺はアンチで――ふにゃあ……」
あんなに威勢よく怒鳴り散らしていたポチ・ファン様が、次の瞬間にはおめめをハートマーク(?)にして、地面に「ぽてん」とお腹を見せてモジモジと転がり始めたのですわ!
「……ガ、ガウ……?(可愛い……負けた……)」
『一撃で骨抜きにされてて草』
『アンチくん、秒で陥落してて大草原』
『これがチワワの絶対的暴力(可愛さ)だ!!』
『お嬢様、怒るどころか慈悲の聖母みたいになってて尊い』
コメント欄が大爆笑と称賛の嵐に包まれる中、わたくしは転がっているポチ・ファン様を見下ろし、おっとりと微笑みました。
「ふふ、お怒りになっては健康に悪いですわ。お庭の生き物さんは、みんな仲良くするのが一番ですものね」
「kana様……なんと慈悲深いお言葉……!(号泣)」と、Natuki様が再び地面に額をつけてひれ伏し、kagerou様は「もうツッコミ疲れたわ……」と天を仰ぎました。
こうして、突如現れた迷惑なアンチ(※秒で骨抜き)をマスコットの如く無力化し、わたくしたちのパーティーは、さらに揺るぎない絆(?)を深めるのでした!
コメント
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わあ、第12話、めちゃくちゃ楽しかったです!ギルド結成の温かい雰囲気から一転、Natuki様の「御意」連発に笑いが止まりませんでした(笑)。そして現れたアンチくんがマーブルちゃんの可愛さで秒で骨抜きになる展開、最高です…「あざとい威嚇(キュン♡)」というスキル名にもセンスを感じます。保護者陣の怒りとkagerou様のツッコミのバランスも絶妙で、次回も楽しみです!